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Report マンスリー・ソウル 2019年12月 ~“夜回り先生”、小樽ロケ作品、そして14年ぶりのイ・ヨンエ新作との出会い

Text by hebaragi
2019/12/22掲載



 12月のソウルは冬本番で朝夕底冷えがしていた。今回は多忙な年末ということで実質2日間の滞在だったが、韓国映画7本(『ヨンファらしい日々』『昨日のことは全て大丈夫』『ユニへ』『家の話』『違わなく同じ彼女』『俗物たち』『私を探して』)を見ることができた。以下、印象に残った3作品を紹介する。


『昨日のことは全て大丈夫』


 “夜回り先生”として知られる水谷修氏の生き方をベースとして、韓国の都会を舞台に再構成したヒューマンドラマ。今年の全州国際映画祭でも上映された。監督は水谷氏の友人でもあるイ・ソンハン氏。彼は最愛の娘を中学校でのいじめによって亡くしている。その彼女が最後に読んでいた本が水谷氏の「夜回り先生」だったとのこと。水谷氏は、イ・ソンハン氏の娘への思いを考えるとともに、映画という文化交流を通して日韓関係が少しでも改善されればとの思いから、原作の著作権をイ・ソンハン氏に譲ったという。

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『昨日のことは全て大丈夫』

 本作は主人公の教師ミンジェが、学校や街角で様々な事情を抱える少年少女たちに声をかけ、彼らの話を聞き、親身になって彼らに寄り添っていくストーリーだ。彼の穏やかな人柄は少年少女たちからも信頼を受けるものであり、じんわりと胸を打つ。日々の少年少女との関係では様々な出会いや出来事、そして別れもあるが、ミンジェは全ての出来事を淡々と受け止めていく。本作の英語タイトル『The Fault Is Not Yours.』は若者たちの未来への前向きなメッセージをこめたエールなのだろう。

 また、人気の日韓ガールズグループIZ*ONE(アイズワン)のメンバー、キム・ミンジュが主要メンバーとして出演しているのも話題のひとつだ。

 本作は原作に忠実に制作されていることから、全州国際映画祭を訪れた水谷氏も「素晴らしい映画でした」と太鼓判を押すほどの秀作だ。水谷氏やイ・ソンハン氏の思いがたくさんの人々に届くよう、ぜひ日本公開が実現することを望みたい。


『ユニへ』


 ことしの釜山国際映画祭のクロージング上映作品。一通の手紙をきっかけに初恋の記憶をたどる小樽への旅に出た主人公ユニ(キム・ヒエ)と娘。20年の時を経て登場人物たちの思いが交錯していくストーリーは小樽の街にふさわしく、ファンタジックな印象だ。

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『ユニへ』

 ユニの長年の友人、ジュンを演じた中村優子、ジュンと同居するおば役の木野花ら日本人キャストも好演。中村優子が動物病院のドクター、木野花が街の小さなカフェの主人という設定も作品に彩りを添える。さらに、全編を通して小樽の街の風景が魅力的に描かれていたのも印象的だ。小樽は1990年代に中山美穂主演の映画『Love Letter』の韓国でのヒットにより注目を集めた街でもある。『ユニへ』をきっかけに、いわゆる「聖地巡礼」ブームの再来にも期待したいものだ。


『私を探して』


 今回の訪韓の一番の目的だったイ・ヨンエの新作と初対面。彼女の映画への出演は活動休止前の『親切なクムジャさん』以来であり、実に14年ぶりとなる。余談だが、『親切なクムジャさん』を見たのがソウル・明洞聖堂近くの今はなき「中央シネマ」だったことを思い出し、歳月の流れを感じた。

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『私を探して』

 オープニングで、ほぼノーメイクの憔悴しきった様子で海辺を歩くイ・ヨンエの姿に心を鷲掴みにされる。そして、ナースのユニフォームに身を包んだ彼女がてきぱきと働く回想シーンへ。前半は、懸命に子どもを探す母親としてのストーリーが続くが、プライベートでも活動休止後に結婚・出産・育児を経験した彼女の迫真の演技が胸に迫る。キッチンで食事の支度をするシーン、思いがけず訪れた夫の死にやつれきった様子の喪服姿、子どもを探すために車を運転する様子など、初めて見る様々なシーンでのイ・ヨンエが印象的だ。

 ストーリーは、6年前にいなくなった子どもを探す良き母親、イ・ヨンエとしての展開を予想していたが、後半、秘密を守ろうとする地域住民たちとの激しい乱闘と銃撃戦となり、予測不可能なサスペンスストーリーへと変わっていく。ラストまで体当たりの演技に圧倒されるシーンの連続だ。果たして子どもと再会することができるのか。息詰まる展開に目が離せない

 本作でのイ・ヨンエは14年のブランクを微塵も感じさせない熱演を見せてくれており、また、凛とした美しさも健在で、オールドファンもひと安心といった作品だ。そして、今まで見たことのない彼女の新たな魅力にふれることもできる、まさにお得感満載の一本だ。彼女は映画誌「CINE21」のインタビューに答え「40代、50代の女優が主流映画でいくらでも活躍できるということを見せつけたい」とも語っている。たくさんのファンのためにも本作の日本公開を切望したい。


Writer's Note
 hebaragi。今年になってからのソウル訪問は今回で10回を数えました。毎回、貴重な作品との出会いがあり、有意義なものでした。2020年の予定ですが、本業の休暇の都合もあり1月から隔月の訪問となる予定です。回数は減りますが、今年同様に充実したレポートをお届けできるよう努力してまいりますので、本年同様のご愛読をよろしくお願いいたします。


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