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Report アジアフォーカス・福岡国際映画祭2019 ~チャン・リュル監督『福岡』がオープニングを飾る

Text & Photo by 井上康子
2019/10/13掲載



 「アジアフォーカス・福岡国際映画祭2019(以下、アジアフォーカス)」が、9月13日から7日間、福岡市内会場で開催され、アジアフォーカスのゲストとして繰り返し福岡を訪れているチャン・リュル監督が福岡で撮った『福岡』がオープニング上映されたほか、監督作品の特集上映が行われ、シンポジウムも開催された。17ヶ国・地域の27作品が上映され、観客投票の第1位には女性が受ける差別を描いた『シヴァランジャニとふたりの女』が選ばれた。


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『シヴァランジャニとふたりの女』

『シヴァランジャニとふたりの女』:『82年生まれ、キム・ジヨン』のように、インドでの女性差別を見せる


 福岡観客賞(観客投票の第1位作品に授与)を受賞したのは、インド女性が受ける差別を描いた『シヴァランジャニとふたりの女』で、奇しくも日本でも大ヒットしているチョ・ナムジュ著「82年生まれ、キム・ジヨン」のように、1980年代から現代までの女性差別を描いている。アスリートの主人公は結婚を機に家庭の中で召使のような存在になるが、自分を取り戻す。ヴァサント・S・サーイ監督が「“私は彼女と同じだ”と号泣した女性観客がいたことがある」と語ったが、福岡でも多くの観客の共感を呼んだ。『誰かの妻』もインドネシアのある島で父や夫の所有物とされてきた女性が自立を決意するまでを描いていた。


『それぞれの道のり』を筆頭に作品世界に浸る


 フィリピン映画生誕100周年を記念して製作されたオムニバス『それぞれの道のり』は、『立ち去った女』のラヴ・ディアスが密林の魔物のいる世界を、『ローサは密告された』のブリランテ・メンドーサが土地を奪われた農民を、『500年の航海』のキドラット・タヒミックは文化の継承を、描いた。個性が際立つ3巨匠作を一度に見れる贅沢な時間となった。同じくメンドーサ『アルファ 殺しの権利』は麻薬組織に対する腐敗した警察官の世界を生々しく見せ、熊本市賞(観客投票の第2位作品に授与)を受賞した。『マンタレイ』はタイの漁師がロヒンギャ難民を助けてからを幻想的に描く。監督のプッティポン・アルンペンは福岡市のアーティスト・イン・レジデンスで短編制作後に、釜山国際映画祭などの支援で本作を完成させた。若い監督の斬新な試みが光る。自由な創作のために、中国から香港に移住して活動を続けるイン・リャンが自身の状況を反映させた『自由行』は、香港人が自治を求めて抗議する現状と重なり、主人公の置かれた状況が胸に刺さった。『轢き殺された羊』は広大なチベット平原を舞台に「他者に施す」という名を持つ男の白日夢のような時間を描く。ペマツェテン監督が「自身とチベット人作家の短編小説を併せて映画化した」というだけに文学作品の味わいがあった。グローバル化への危惧からのプログラム「東南アジア・リージョナル特集」中の『フンバ・ドリーム』はインドネシアのフンバ(スンバ)島を舞台にした若者の成長の記録。草原、16ミリフィルム、島で取れる物での食事と、リリ・リザ監督がアナログでローカルなものの確かさと温かみを見せた。


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『福岡』

満を持しての『福岡』上映&チャン・リュル監督の独自性をスタッフが語る


 チャン監督が福岡で支援を受けて、福岡で撮った『福岡』。待ちに待った作品が遂に上映された。監督特集として、他に『群山:鵞鳥を咏う』『風と砂の女』『豆満江』も上映された。『福岡』では、学生時代に同じ女性を好きになったために、仲違いしたままで中年になってしまった男性二人が、若い女性の導きにより福岡での再会を果たす。韓国の国民詩人ユン・ドンジュ(治安維持法違反に問われ福岡で獄死)の詩に登場する女性と同じスニという名を持つ、彼らの愛する女性は現れない。二人と若い女性は福岡の街をそぞろ歩く。筆者にとって見慣れた街が、いつもと違う浮遊感を伴う空間になっていた。冴えない中年を演じたユン・ジェムンとクォン・ヘヒョの台詞の往来はさすがの上手さ。パク・ソダムも不思議な力を持つ若い女性をいとも自然に演じていた。

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シンポジウムでのチャン・リュル監督

 オープニング上映後の初回上映もほぼ満席で、福岡の観客の本作への興味の高さが伺えた。上映後のシンポジウムでは、通常の映画撮影と異なり、事前のシナリオで詳細な決定をせず「空間と呼吸をしながら作業を進める」という撮影スタイルや、「撮影後に現場でどんどん編集作業を行うのを見ていると監督が連続性を持っているのが分かった」と監督の緻密さについて、スタッフが明かした。

 『福岡』は別バージョンの作品もあるそうだ。そちらもぜひ見たい。


アジアフォーカス・福岡国際映画祭2019
 期間:2019年9月13日(金)~9月19日(木)
 会場:キャナルシティ博多(ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13)ほか
 公式サイト http://www.focus-on-asia.com/

Writer's Note
 井上康子。オムニバス『それぞれの道のり』中のラヴ・ディアス作品『Hugaw(Dirt)』の舞台はフィリピンの暗い密林。そこには悪魔の気配が漂う。『立ち去った女』では善なる者の心にも悪が宿り、善行を積もうと、否、善行を積んだことによって、その悪が伝播するのに打ちのめされ、主人公と共に号泣した。


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