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Report あいち国際女性映画祭2013 ~様々な女性の生に思いを馳せる、共感の場

Text by 加藤知恵
2013/9/18掲載



 昨年10月、東京国際女性映画祭が25回の歴史に幕を閉じた。第1回が開かれた1985年当時、日本の女性プロ監督はドキュメンタリー分野に数名が存在するのみであり、ゲストも羽田澄子監督(今年のあいち国際女性映画祭では『痴呆性老人の世界』を上映)一人の参加であったという。その後28年の年月を経て、今や女性監督をはじめ、映画界での女性の活躍は一般的になった。

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 東京国際女性映画祭のフィナーレを受け、現在国内唯一の国際女性映画祭となったあいち国際女性映画祭。今年は9月8日に9日間の日程を終え、過去最多の36作品が紹介された。華やかなゲストの面々に、和気あいあいとした雰囲気のスタッフやボランティア陣。観客も女性の姿が目立ち、上映の合間には方々で集いあう声が響く。「日本の女性映画人の輩出」という28年前の目標が達成された今、女性映画祭は、観客と女性映画人の交流の場であり、観客同士が世界各国の様々な女性の感性や主義主張に共感し語りあう、憩いの場にもなっている。

 今回、韓国作品は2本とも初日に上映された。まずは東野圭吾の小説「容疑者Xの献身」の韓国映画版『容疑者X 天才数学者のアリバイ』、監督は女優出身のパン・ウンジンだ。この作品は日本版と比べてみると面白い。女性演出家ならではの視点というべきだろうか、天才物理学者の湯川による謎解きが中心の日本版に対し、韓国版には湯川のようなヒーローは登場しない。隣家の女性に人知れず献身的な愛情を注ぐ、一見さえない天才数学者の話が全てだ。そして彼の心の支えとなるその隣人は、亡くなった姉夫婦の子どもを引き取って育てている(日本版では実子)「女性から見ても尊敬できる女性」(劇中でもそう語られる)。それゆえに完全犯罪を企てる動機にも説得力が増し、感情移入を誘う。

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『レッドマリア』は10月下旬より、シアター・イメージフォーラムにてモーニング&レイトショー

 キョンスン監督の『レッドマリア』は、日本・韓国・フィリピンにおいて、性労働や労働運動など、過酷な環境で働き、闘い続ける多くの女性たちの姿を捉えたドキュメンタリー。上映後には斉藤綾子コーディネーターによる解説が加えられた。前作『ショッキング・ファミリー』では自身の話を自らのナレーションで伝えるセルフドキュメンタリーの手法を取った監督だが、今作は敢えて自身の主張を明確には語らず、素材のみを提供し、作品を通じて「観客と自由に対話したい」という目的で制作したという。撮影の指針となったアイディアは「女性は子宮を持つことで男性と区別される。だから女性の労働は女性の身体(腹)と関係が深いのだ」というもの。それぞれのエピソードが完結した後、最後に登場者一人一人が衣服をめくり、腹部を見せて微笑むカットが印象的だった。

 週末上映作の中で、特に観客の反応が良く、ティーチインも盛り上がったのはインドのガウリ・シンディ監督の『English Vinglish』だ。家の中で得意の料理を作ることだけを期待され、英語が話せないがゆえに夫や子供から見下されている主人公が、英語を学ぶことで自信と自立心を取り戻していく物語。主人公は家族に隠れて通い始めた英会話学校で、様々な人種・言語・国籍・性別・性格のクラスメイトに出会い、多様な価値観に触れ、互いに理解し助けあう喜びを知る。そして久方ぶりのロマンスにも心揺れるが、最終的には「家庭を作ることは、この広い世界に小さな世界を作ること」と家族の大切さをも改めて説く、非常に前向きで清々しい作品だ。観客からもゲストの監督に対し、「心に残る言葉をたくさんもらった」「初めてインド映画を見たが感動した。早く劇場公開してほしい」など、絶賛の声が絶えなかった。

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『English Vinglish』(劇場公開予定作)ティーチインの模様

 その他にも、シングルマザーでキャリアウーマンの主人公が、実母だと信じていた日本人養母の死と、実母を名乗る貧農の中国人女性の出現をきっかけに、家族や幸せの意味を問い直す李欣蔓(リ・シンマン)監督の中国映画『親愛』や、29歳で自称キャラクターデザイナーの主人公が夢に生きるか、就職をして生活を取るべきか、はたまた結婚(恋愛)かと迷走する、香西志帆監督の『猫と電車 -ねことでんしゃー』など、上映作品には各国特有の女性の現実・悩みが反映されていた。

 トークイベントも、ゲストの半生を身近に感じるものだった。女優の吉永小百合さんは、年間16本もの作品に主演していた日活時代に、労働組合が出来たおかげで17時以降の残業(撮影)が禁止になり夜間の大学に通えるようになったこと、厳しい自然の中でのロケや多忙な撮影日程に耐えられるよう今も毎日運動を欠かさないことなど、「自分は俳優よりもアスリートだと思って仕事をしてきた」と振り返った。また同じく女優で故大島渚監督の妻でもある小山明子さんは、「大島がいつも感謝を口にしてくれたから頑張れた」と監督との思い出を懐かしみつつ、一主婦としての自分の無力さに落ち込み、4度もうつ病で入院したという介護生活や、そこから再び女優として立ち直るまでのエピソードを赤裸々に語ってくれた。

 様々な国の様々な立場の女性の人生に目を向け、思いを馳せる時間は、自身の生き方や家族への態度を見直すきっかけにもなる。今後は女性だけでなく、男性や若い世代の観客ももっと増えてくれたらいいな、と期待している。


あいち国際女性映画祭2013
 期間:2013年8月31日(土)~9月8日(日)
 会場:ウィルあいちほか
 公式サイト http://www.aiwff.com/

Writer's Note
 加藤知恵。今年のソウル国際女性映画祭では、『容疑者X 天才数学者のアリバイ』のパン・ウンジンに続き、人気女優のユン・ウネやク・ヘソンが演出した短編が上映された。彼女たちの監督としての今後も気になるところだ。


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