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Review 『ザ・タワー 超高層ビル大火災』 ~ガラス細工のような現代文明の危機に立ち向かう人々

Text by hebaragi
2013/7/15掲載



 ソウルを訪れた旅人が空港から都心に入る手前で必ず目にする漢江(ハンガン)。その雄大な流れを眺めていると「大陸に来た」という実感がわいてくる。そして、韓国の経済成長を形容する言葉として知られる「漢江の奇跡」の象徴が「ソウルのマンハッタン」とも呼ばれる汝矣島(ヨイド)だ。そこにそびえ立つ大韓生命63ビルは、建設から30年近く経った今でも燦然と輝いている。

tower_main.jpg

 『ザ・タワー 超高層ビル大火災』の舞台は、大韓生命63ビルの隣にある108階建ての架空のビル「タワースカイ」。ツインタワーをガラスの連絡通路が結ぶデザインは近未来のイメージそのものだ。クリスマスイブ、ビルの中ではスタッフたちがパーティーの準備に追われている。この時期、キリスト教信者が多い韓国では街全体が華やいだムードに包まれる。タワースカイのパーティー参加者たちも夢のような時間が続くことを信じて疑わない。

 しかし、思いがけず発生した大規模火災が楽しい時間を一瞬にして打ち砕いてゆく。超高層ビルの火災は恐ろしい。火との戦いばかりでなく、水との戦いでもあり、脱出までの限られた時間との戦いでもあり、地上までの気の遠くなるような距離との戦いでもあるからだ。一瞬の判断が生死を分けるシーンが続くが、極限状況に追い詰められた人間の行動は様々だ。他人を突き飛ばしてでも逃げようとする者がいる一方で、自らの避難だけでもひと苦労と思われる身重の女性が若いカップルの避難を手助けしたりする。まさに社会の縮図である。

 世界有数の経済大国となって久しい韓国だが、その恩恵に浴さない人々も少なくなく、格差社会の是正が課題となっている。本作ではそんな韓国社会の光と影を垣間見ることもできる。着飾った男女が参加するパーティーを支えているのはレストランやビルの裏方スタッフたちであり、清掃作業員として働きながら息子を大学に通わせている母親である。また、スタッフから防災設備の不備を指摘されていながら安全よりも利益を優先するビルの経営陣や、一般市民よりも有力者の避難を優先する消防局幹部の呆れた実態が皮肉たっぷりに描かれているのも興味深い。ビルの居住空間にある司祭の部屋に飾られたダ・ビンチの名画「最後の晩餐」は、まるでビルに集う人々の行く末を暗示しているかのようだ。

 火災発生後、消防士たちはカン・ヨンギ隊長(ソル・ギョング)の指揮の下、懸命の消火活動を続けるが、未経験の超高層ビル火災は想像以上に手強く、活動は困難を極める。しかし、そんな状況でもあきらめずに事態を打開しようと奮闘する隊長の表情が印象的で、後輩消防士たちを思いやる言葉の数々も胸を打つ。ラスト近く、少しでも多くの命を救うために下された「ある決断」がビル利用者ばかりでなく消防士たちの運命をも変えていくことになる。超高層ビルに限らないが、現代社会はガラス細工のようなハイテク技術によって成り立っている。しかし、トラブルが起きた際のとっさの判断は人の手にかかっている、という当たり前の事実に改めて気づかされる。

 ストーリーは、フードモールのマネージャー・ユニ(ソン・イェジン)と施設管理チーフ・デホ(キム・サンギョン)を中心に展開する印象が強く、ラブロマンスの要素も込められている。また、副士長・ビョンマンを演じるキム・イングォンのコミカルな雰囲気や、新人消防士ソヌ(ト・ジハン)に対する先輩隊員の“温かい”歓迎ぶりは、緊迫したシーンが続く中で一服の清涼剤といえる。さらに、シングルファザーであるデホと娘の交流シーンも見どころのひとつと言えるだろう。消防署長役のアン・ソンギは他の出演作同様、今回もキーとなるシーンで重厚な存在感を示す。そして、状況を的確に判断し素早く行動につなげていくソン・イェジンも、これまでの出演作品以上に強い輝きを放っている。

 もちろん、パニック映画の醍醐味である大がかりな特撮シーンは大きな見どころだ。ほとんどが実写で制作されたという火災シーンの迫力に加え、ビルの空撮映像も特撮とは思えない完成度で、見る者を圧倒する。果たして、登場するカップルや家族たちは無事に脱出し再会できるのか。最後まで息詰まるようなシーンが続く。

 ソウルの夜景は美しい。その光と影に翻弄される人間模様を、韓国映画ならではのダイナミックなスケール感で味わえる作品である。


『ザ・タワー 超高層ビル大火災』
 原題 타워 英題 The Tower 韓国公開 2012年
 監督 キム・ジフン 出演 ソル・ギョング、ソン・イェジン、キム・サンギョン
 2013年8月17日(土)より、シネマート新宿ほか全国順次公開
 公式サイト http://www.thetower-movie.info/

Writer's Note
 hebaragi。高所恐怖症なのに展望台が好き。大韓生命63ビルの展望台にも行ったことがある。もし本当に「タワースカイ」が出来たら、ぜひ行ってみたいと思っている。


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