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Review 6月の衝撃的韓国映画 ~臓器売買に腐敗した司法。社会の闇に切り込む2作品

Text by Kachi
2013/6/5掲載



 「事実は小説より奇なり」と言って、実話を基にした映画はどこの国でも需要があるが、特に韓国では、実際の事件を扱った作品は枚挙にいとまがない。

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左からチェ・ダニエル、イム・チャンジョン、キム・ホンソン監督
『共謀者』プレミア試写会にて

 『共謀者』も、そんな映画の一つだ。『復讐者に憐れみを』(2002)や『アジョシ』(2010)で描かれた、臓器売買の闇には衝撃を受けたが、韓国人夫妻が中国を旅行中、妻が誘拐され、臓器が摘出された遺体で見つかった事件をベースにした本作は、より問題に深く迫っている。これまでコメディで活躍してきたイム・チャンジョンは、登壇したプレミア試写会でも持ち前のユーモアで会場を沸かせたが、明るさを封印して臓器ブローカーのヨンギュをシリアスに演じた。「ご隠居」のニックネームを持つ密売仲間の外科医ギョンジェに扮したオ・ダルスは、アクの強い役がぴたりとはまっていて、さすが名バイプレーヤーである。

 しかしそんな名優の演技もかすんでしまうほど、臓器売買の凄惨な実態がリアルだ。5回の改編で残酷シーンを削除してさえ、目を覆いたくなる場面が続くので精神的に堪えるものがある。生きるため違法な臓器移植を切望し、「共謀者」の一人になってしまう依頼者のジレンマも切ない。これがたった4年前に起きた現実の出来事だと思うと、暗澹たる気持ちになった。

 本作で映画界への第一歩を踏み出したキム・ホンソン監督。彼の社会の闇への怒りと不満、虐げられた者を悼む思いが、事実をえぐるような描写に現れたのだろう。


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『折れた矢』

 『折れた矢』は、2007年、大学からの不当解雇を法廷で争っていた教授が、担当裁判長を矢で撃った「クロスボウ事件」を基にした作品だ。『トガニ 幼き瞳の告発』(2011)を見た時も、韓国の司法があまりに腐敗していて呆れたが、2010年に起きた大阪地検特捜部の検事による証拠改ざん事件などを思い出すと、日本も決して他人事ではない。

 裁判長と法廷でやりあう場面に緊張感がある一方、ともすれば単なる再現ドラマで終わりそうなストーリーを面白くさせているのは、やはりキム教授を演じたアン・ソンギだ。筆者は『鯨とり ナドヤカンダ』(1984)の、インテリジェンスと茶目っ気を併せ持った乞食の親分が大好きだ。本作のキム教授も、弁護士が頭を抱えるほど頑固だが、法律書を片手に小首を傾げて証拠の矛盾を問う姿には知性がありつつ、不思議なおかしさがある。

 「21世紀大韓民国で、法廷が正義を守り、秩序を守る所だと信じている人は何人いるだろう」(本作プレスシートより)と韓国の映画記者は嘆く。だが、貶められても正義を信じて闘うキム教授には希望も感じられた。


『共謀者』
 原題 공모자들 英題 Traffickers 韓国公開 2012年
 監督 キム・ホンソン 出演 イム・チャンジョン、チェ・ダニエル、オ・ダルス
 2013年6月1日(土)より、シネマート六本木ほかロードショー
 公式サイト http://kyoubousya-movie.com/

『折れた矢』
 原題 부러진 화살 英題 Unbowed 韓国公開 2012年
 監督 チョン・ジヨン 出演 アン・ソンギ、パク・ウォンサン、ナ・ヨンヒ
 2013年6月15日(土)より、シネマート六本木ほかロードショー
 公式サイト http://oretaya-movie.com/

Writer's Note
 Kachi。今月、韓国に行きます。ソウルLGBT映画祭が楽しみです。


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