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Report 第8回大阪アジアン映画祭 ~アジアの熱風に沸いた10日間

Text by mame
2013/4/2掲載



 行ってきました! 初の大阪アジアン映画祭。

 「大阪発。日本全国、そしてアジアへ!」を合言葉に、世界初上映作品を含む全44作品が集い、アジアの最新映画を楽しめる10日間。私が観ることができたのはおよそ半数でしたが、幸い天気にも恵まれ、映画館の間を自転車で縦横無尽に往復し、爽快な気分で幕を閉じました。偶然にも最後の作品に選んだ『セブン・サムシング』では2PMのニックンがマラソン・ランナーを好演。ニックンに励まされながら完走をめざす主人公に自分を重ねると感動もひとしおでした。

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『セブン・サムシング』のティーチイン

 ひとまずの感想は、映画祭って体力勝負! 短期間でこんなにたくさんの映画を観たのは初めての経験だったので、最初はごはんを摂る時間もなく、空腹による頭痛に悩まされましたが、最終的には映画と映画の合間に食べ物をかっ込むという技を習得し、売れっ子アイドルのような多忙感に浸ることができました。そして、こんな時こそ大阪のソウルフード、たこ焼きは短時間でお腹が満たされる上に美味しく、持ち運びも便利で、私も大変お世話になり…。

 そんな話は置いといて、肝心の映画祭の内容に参りましょう。


きらびやかなアジア映画の数々


 まずはプレ・オープニング、『セデック・バレ 第一部 太陽旗』(台湾)から! 昨年、本映画祭で上映され、大好評を博しての凱旋上映でしたが、噂に違わず男気に溢れた戦闘シーンは見どころ充分! 続編と含めて劇場上映が決まっているので、これはぜひ大きなスクリーンで観たいところです。

 ウォームアップも充分なところで、オープニングは香港ノワールの巨匠、ジョニー・トー監督の最新作『毒戦』。上映前に監督の舞台挨拶も行われ、華々しい雰囲気に胸が高鳴ります。中国を舞台に麻薬捜査を巡る攻防は敵と味方が激しく入れ替わり、その息もつかせぬ展開の速さに、観終わった後は頭がクラクラと痺れっぱなしでした。

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オープニングセレモニーのゲスト

 きらびやかなアジア作品の中で、日本映画も確かな光を放っています。赤塚難監督の『春くんとの密月』は別れた後も恋人の連れ子と交流を続ける女性の心理を、美味しそうな食事シーンを交えてテンポ良く描き出し、女性ならではの繊細な洞察力にハッとさせられました。

 中国のリー・ユー監督特集では、『ブッダ・マウンテン~希望と祈りの旅』を鑑賞。社会での居場所を求めてさまよう若者3人組と、大家の女性が次第に心を通わせていく様が、圧倒的な自然を背景に描かれ、主演女優ファン・ビンビンの匂いたつような美しさも相まって、忘れられない印象を残しました。


特徴が際立つ韓国映画3本


 韓国映画3本については、それぞれの特徴が際立ったセレクトに。

 コンペティション部門の『裏話 監督が狂いました』は韓国映画好きにはたまらない、豪華キャストによるオフレコ話満載の意欲作で、日本での上映作品も多いイ・ジェヨン監督の新たな魅力が発揮されています。

 特別招待作品部門の『1999、面会~サンシャイン・ボーイズ』は、若手キム・テゴン監督の実体験を基にした青春ロードムービー。3人のボーイズトークに笑わされながらも、青春時代のほろ苦さにしんみりする場面もあり、韓国でリピーターが続出しているのも納得の娯楽作でした。

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『離ればなれの』監督(左)、主演のチュ・ダヨン(中央)、チョン・テッキョン(右)

 インディ・フォーラム部門の『離ればなれの』はあまりの救いのなさに愕然…。何の説明もなしの設定に戸惑いましたが、キム・ベッチュン監督のトークによると、韓国にとって中国・北朝鮮・ロシアから越境してくる同胞の話は商業映画でも扱われる普遍的なテーマ(『クロッシング』、『哀しき獣』など)と知り、改めて国の違いを感じさせられました。


大阪アジアン映画祭が生み出した『Fly Me to Minami~恋するミナミ』


 多彩なゲストとの交流も映画祭の楽しみのひとつですが、ゲストにとっても映画祭での出会いが次回作のきっかけとなっています。昨年上映された『大阪のうさぎたち』は杉野希妃さんとイム・テヒョン監督の出会いから生まれましたが、今回もリム・カーワイ監督(マレーシア)が昨年のインディ・フォーラム部門のゲストとして来日したペク・ソラさんを主演に、英語、中国語(広東語)、日本語、韓国語が飛び交う作品『Fly Me to Minami~恋するミナミ』を撮り上げました。リム監督といえば『マジック&ロス』、『新世界の夜明け』と、作品ごとに魅力的なミューズを発掘する手腕にいつも感心させられますが、今回も香港・韓国から招かれた2人の女優を主演に、心がほっこり暖かくなる、まさに大阪アジアン映画祭にふさわしいラブストーリーに仕上がっていました。

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サインに応じるリム・カーワイ(左)とペク・ソラ(右)

 そんなリム監督が司会を務めた、インディ・フォーラム部門の海外ゲストによるトーク・セッション「アジアン・ミーティング」は、各国のインディーズ映画の現状が窺える興味深い場となりました。


アジア各国のインディーズ事情


 普段はインディーズと商業映画の区別をあまり気にした事がなかったのですが、大阪アジアン映画祭ではインディ・フォーラム部門の会場が独立して設定されているため、その違いがより顕著に感じられます。今回、同部門の海外3作品『離ればなれの』(韓国)、『卵と石』(中国)、『貧しき人々』(ミャンマー)に共通していたのが「暗い…」という印象。コンペ部門で「近年稀に見る救いのない映画」として話題だった『誰もいない家』(キルギス・ロシア・フランス)ですら、この3作品に比べるとまぶしいぐらいですが、『離ればなれの』は救いのない状況で泥に足をすくわれながらも必死にもがく少女、『卵と石』は少女の謎めいた行動の意味が明らかになる時の悲痛な叫び、『貧しき人々』は荒涼とした風景に生きる人間の小ささが、それぞれ脳裏に焼きついて離れない、独特の力強さを感じさせる作品でした。

 映画を作る状況では恵まれている韓国、情報操作に悩まされる中国、政治情勢が不安定なため、台湾で映画製作をしているミャンマー。3監督とも劇場での一般公開を目標としていますが、韓国では商業映画による独占、中国では厳しい検閲、ミャンマーでは上映機会がないという障害が立ち塞がっています。それに対してミニシアターが多いので上映機会は増えたものの、作品の質が下がっている(自己満足な作品が多く観客は関係者ばかり)という日本。どちらが絶望的な状況なのか考えてしまいました。

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「アジアン・ミーティング」参加者

 収入源についての質問も出ましたが、キム・ベッチュン監督(韓国)の「映画では収入を得ることができないので、別の仕事で収入を得て、妻に投資を勧められ…」という涙ぐましいエピソードに、インディ・フォーラム部門の富岡邦彦ディレクターから「これ以上は本人の名誉のために聞かないであげましょう」と、心優しい制止が入る一幕も。韓国ではインディーズ映画が年に100本以上生まれ、助成金を出す団体も国から企業まで幅広いのですが、それゆえに熾烈な競争に勝ち残らなければならないようです。韓国では映画祭の観客が若い事も話題にあがり、富岡ディレクターの「日本で1960年代に起こった映画ブームの再現を見ているよう。最近の韓国映画は社会的なテーマを扱う商業映画も増えてきて、若い頃から映画を観続けてきた人が、自分達の満足できる作品を作っている事で、質が上がってきている」とのコメントも興味深く思われました。

 広告の仕事で収入を得ているワン・シンホン プロデューサー(ミャンマー)、撮影監督である日本人の夫(大塚竜治さん)を捕まえた事が何よりの成功!と茶目っ気たっぷりに語ってくれたホアン・ジー監督(中国)。最終的には、リム監督の「好きに映画を撮るためには、周りの支えと理解・コネクションが不可欠」という結論に達しました。「海外の作品に出演したい!」というインディ・フォーラム部門出演俳優、三浦英さんからのアピールも飛び出し、「日本人はなかなか自分からアピールする人がいないので嬉しいですね」と、リム監督も感心していました。


大阪の新たなる名物へ


 初めての大阪アジアン映画祭。体力は消耗しましたが、それ以上に多くのものを映画から、登壇したゲストの方々の話から、また劇場で一緒に鑑賞した方々の話から得る事ができた、熱い10日間でした! 映画好きの方に加え、アジアに関心がある日本人、日本に住むアジア人と、参加された方の動機も様々なので、それぞれのジャンルに広がっていって、大阪の新たな名物として定着していって欲しいです。

 これぞアジア!を感じさせるきらびやかな印象の映画もあれば、自分の国の問題に正面から向き合った社会派作品もあり、アジアの奥深さを感じさせられ、来年もリピーター必至の予感。この時期だけ自分の体が3つぐらいに分裂してくれたら良いのに…と頭を悩ますのが、これからの3月の定番となりそうです。


第8回大阪アジアン映画祭
 期間:2013年3月8日(金)~3月17日(日)
 会場:梅田ブルク7、シネ・ヌーヴォ、梅田ガーデンシネマ、第七藝術劇場、プラネットプラスワンほか
 公式サイト http://www.oaff.jp/

特集 第8回大阪アジアン映画祭
 Report 第8回大阪アジアン映画祭 ~アジアの熱風に沸いた10日間
 Review & Interview 『裏話 監督が狂いました』 ~イ・ジェヨン監督、大阪アジアン映画祭で『裏話』の裏話を披露!
 Interview 『1999、面会~サンシャイン・ボーイズ』キム・テゴン監督、主演キム・チャンファンさん独占インタビュー

Writer's Note
 mame。大阪に根強いファンを持つリム・カーワイ監督は日本語も流暢で、サインにも気さくに応じてくれました。とても親しみやすい雰囲気をお持ちなので、『Fly Me to Minami~恋するミナミ』に流れるどこかほんわかした空気も「リム監督の人柄ならではだね」という感想がちらほら。「こんな監督なら周りの支えと理解、コネクションも掴んでしまえるだろうな~」と、気づけば私もファンになってしまいました。


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