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Review & Interview 『裏話 監督が狂いました』 ~イ・ジェヨン監督、大阪アジアン映画祭で『裏話』の裏話を披露!

Text by mame
2013/3/31掲載



 「監督が現場にいなくても映画は撮れるのか?」

 スカイプを使い、遠隔操作で映画を撮るという斬新なテーマに挑んだ意欲作。この映画を言葉で説明するのはとても難しい。劇中劇をする俳優たち、それを撮影するスタッフも俳優が演じ、さらに彼らの撮影・メイク・衣装等を担当する本当のスタッフ達がいるという三重構造。複雑な環境を統括するはずの監督がいない事によって起こる混乱は、虚構とドキュメンタリーが入れ替わり、観ている側も混乱する。だが、映像の随所に遊び心が感じられ、エンドロールまで退屈する事がない。韓国映画好きにはたまらない、豪華なキャスト陣はもちろん、普段だったら絶対に聞けないであろう業界の裏話を聞けるのも楽しい。

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『裏話 監督が狂いました』

 監督は独特の映像美で知られるイ・ジェヨン。大阪アジアン映画祭での日本初上映に併せて来日した際に、映画に関する「裏話」をたくさん披露してくれた。そもそもこの映画は、ハ・ジョンウを主演にスマートフォンで短編映画を撮るという企画から派生したもので、ハ・ジョンウが映画監督に扮した短編映画『10分間で恋に落ちる方法』(YouTubeで鑑賞可能)、メイキングとなった本作『裏話 監督が狂いました』(2013)と、監督は遠隔操作で2本の映画を同時に制作したことになる。

「今はインターネットがあれば何でもできる時代。スマートフォンで映画を撮るという企画をいただいた時に、遠隔操作という手段を思いついた。まるで新しい発明をしたような気分になり、過去にそんな映画があったのかを調べたりした。」
 英題の「Behind The Camera」の通り、普段はカメラに映らない立場だが、今回は監督自身がカメラの前に立って出演している。その感想を聞いてみると、

「設定上、自分がカメラに映らなければ話が進まないので、出るしかないという気持ちで出演した。劇中、疑心暗鬼になった俳優たちがドッキリを仕掛けるシーンがあり、実は少し気づいていたが、表面上は分かっていないふりをした。編集の段階で、自分の演技の不自然さが見えたりして、自分としては墓穴を掘ってしまった映画だと思っている(笑)。」
 実際の撮影期間は3日間だが、17台のカメラを駆使して撮影された時間数は計200時間以上。そこから8ヶ月の編集を経て完成したという本作。かつてなく混乱した現場に、出演した俳優の中には「完成するとは思っていなかった」と言う者もいたという。プロの俳優達が演じる混乱は、演技なのか、本心なのか、それは俳優のみが知るという、演じる側・観る側からの考察も楽しい。

 イ・ジェヨン監督といえば、これまで『情事』(1998)、『純愛譜-じゅんあいふ-』(2000)、『スキャンダル』(2003)、さらには『多細胞少女』(2006)、『女優たち』(2009:日本未公開)と多様な作品で知られるが、作品の発想の源は何だろう?

「映画を作るときにいつも頭をよぎるのが、“これこそが映画だ”という王道的な作風と“果たしてこれを映画と呼べるだろうか?”という実験的な作風。今回は後者となり、大衆的というよりは、映画好きの人に対して喜んでもらえるような映画になったと思う。“映画とは何か?”という問いに対して自分の中で結論を出さず、常に疑問を持ち続ける事が、作品を作り続ける原動力になっている気がする。」
 劇中には名だたる映画監督の名言が折り込まれ、そうした問いに答えを与えてきた先達の名言を引用する事で、未だに自分なりの答えを模索している姿勢が感じられる。数々の商業映画を成功させながらも、映画の持つ可能性を模索し続けるイ・ジェヨン監督。次回作は?との質問には、

「今度はもう少し、観客が共感できるテーマでと思っている。今回はスマートフォンからの発想だったが、その時自分が関心のあるものによって題材が変わるので、まだわからないですね。」
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イ・ジェヨン監督

 監督にとって映画を撮る最大の楽しみは、映画祭に作品を持って現地を訪れ、ゆったりとした時間を過ごしながら、次回作の構想を練ることだという。実際、大阪アジアン映画祭にも余裕をもった日程で来日。大阪の良いところは「京都が近いところ(!)」という絶妙な褒め言葉もいただいた。両親を招待し、一緒に旅行を楽しんだとの事だが、旅行の計画も来日してから思いつき、スマートフォンで全ての手続きを済ませたというのだから、まさに『裏話 監督が狂いました』は監督ならではの作品といえるだろう。

 どこかシニカルな印象を漂わせるイ・ジェヨン監督。今回の来日は次回作の糧になっただろうか? 映画に対する挑戦の姿勢を崩さない監督が、今度はどんな作品で私達を驚かせてくれるのか、大いに期待したい。


第8回大阪アジアン映画祭
 期間:2013年3月8日(金)~3月17日(日)
 会場:梅田ブルク7、シネ・ヌーヴォ、梅田ガーデンシネマ、第七藝術劇場、プラネットプラスワンほか
 公式サイト http://www.oaff.jp/

『裏話 監督が狂いました』
 原題 뒷담화 : 감독이 미쳤어요 英題 Behind the Camera 韓国公開 2013年
 監督 イ・ジェヨン 出演 ユン・ヨジョン、パク・ヒスン、カン・ヘジョン、キム・ミニ

特集 第8回大阪アジアン映画祭
 Report 第8回大阪アジアン映画祭 ~アジアの熱風に沸いた10日間
 Review & Interview 『裏話 監督が狂いました』 ~イ・ジェヨン監督、大阪アジアン映画祭で『裏話』の裏話を披露!
 Interview 『1999、面会~サンシャイン・ボーイズ』キム・テゴン監督、主演キム・チャンファンさん独占インタビュー

Writer's Note
 mame。豪華キャスト陣の『裏話 監督が狂いました』の中でも特に笑いを誘っていたのが、名女優ユン・ヨジョンによる、ホン・サンス『3人のアンヌ』、イム・サンス『蜜の味 ~テイスト オブ マネー~』出演時のエピソードを語った「2人のサンス論」。そんなユン・ヨジョン先生に向かって「俺達は“顔が良くない”という意味で同類ですよね」という衝撃発言を放ったキムCが、私のお気に入りとなりました。


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