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Report ソウルの映画館から ~『タワー』でソン・イェジンの魅力再発見

Text by hebaragi
2013/1/26掲載



 2012年末、『タワー』が韓国で公開された。ソン・イェジン初のパニック映画、ソル・ギョングとの共演や大がかりなCGなど話題も多く、クリスマスにあわせた公開初日からたくさんの観客を集めているというニュースを聞き、週末の休みを利用してソウル行きの便に乗った。

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地下鉄「忠武路」駅前にある都市型シネコン「大韓劇場」

 ソン・イェジンの主演作品はほぼ一年に一本のペースで公開されている。2011年末には韓国で『恋は命がけ(原題 不気味な恋愛/2013年春日本公開予定)』が封切られた。ホラーの香りのするラブコメディという変化球な作品だ。彼女主演のラブコメは『君に捧げる初恋』『ナンパの定石』などが知られているが、『恋は命がけ』での彼女は、今までとは「はじけ感」や「突き抜け感」が違い、存分に持ち味を発揮していた。

 ソン・イェジンの魅力をひと言で表現するのは難しいが、「七変化の魅力」とでも言ったらよいだろうか。「はかなさ」と「強さ」、「優しさ」と「冷たさ」、「あどけなさ」と「妖艶な美しさ」、「光」と「陰」が渾然一体となった魅力とも言える。純愛、ラブコメ、時代劇、サスペンスなど出演作品のジャンルの多彩さは彼女の確かな演技力の賜物だ。以前、東京で開催されたファン・ミーティングやソウルでの舞台挨拶で見た彼女は天使のような微笑が印象的で、あまりの美しさに観客からため息が聞こえてきたほどだった。

 『タワー』は、誰もがひとときの夢を見るクリスマスの夜、108階建の高層ビルが舞台になっている。名曲「ホワイト・クリスマス」が流れる中、大規模火災という予想のつかない事態に翻弄される人々をめぐる人間模様がテーマだ。パニック映画の魅力は、やはり大がかりな特撮シーンだろう。『タワー』では全編を通してCG技術の臨場感に圧倒された。実在しないビルを空撮しているシーンの映像はCGとは思えない完成度。ビル火災は避難するのが難しいという事実に気付かされたのも発見だった。通常の火災とは異なり、火との戦いだけでなく、水とも戦い、閉じ込められた空間から脱出し、限られた時間内で地上へ降下しなければならないからだ。

 予想に反し、ソル・ギョングをはじめとする消防士の存在感は前面には出ておらず、消防本部の責任者を演じるアン・ソンギの登場シーンもそれほど多くない。むしろ、高層ビルにあるレストランのマネージャーを演じるソン・イェジンとビルの管理責任者役のキム・サンギョンのふたりを中心にストーリーが展開していくので、ラブストーリーという見方もできる。ソン・イェジンは、自らと愛する者、そしてビル利用客の生命を守るため、次々と的確に判断し素早く行動につなげていく演技が秀逸で、これまでの彼女にはない魅力を感じた。公開から一ヶ月足らずで観客動員500万人を突破した『タワー』。『TSUNAMI ツナミ』以来のパニック映画のヒット作になりつつあるようだ。日本公開に期待したい。

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『タワー』のチラシ5種。チラシはお土産として重宝するが、詰め込みすぎると強烈に重くなるのが難点…

 滞在中は他にも映画を見た。コ・スが演じる消防士を主人公にした『絆創膏』はテンポよく展開するラブコメで、笑いを誘うシーンも多く、楽しく見ることができた。また、筆者のお気に入り、光化門にあるミニシアター「スポンジハウス」では荻上直子監督の『レンタネコ』を鑑賞。驚いたことに、チケットカウンターに行列が出来るほどの人気で館内も満席だった。以前から荻上監督の作品がソウルで人気を集めていることは知っていたが、日本映画の上映自体が珍しかったひと昔前のことを考えると感慨深い。最近は、往復の機内でも韓国映画を見ることができる。今回は『ハナ 奇跡の46日間』を鑑賞。ペ・ドゥナとハ・ジウォンの渾身の演技が印象に残るとともに、20年後の今もほとんど変わっていない南北関係について考えさせられる一本だった。

 ソウルの映画館事情についてふれておきたい。この1~2年で観客のマナーが急速に良くなった。以前なら本編がスタートしてもおしゃべりをしている観客が少なくなかったが、最近はほとんどの観客が静かに鑑賞している。それから、ひとりで見ている観客が増えたのも大きな変化だ。以前ならチケットカウンターで枚数を聞かれ「一枚」と答えると劇場スタッフに怪訝な顔をされたものだが、最近では若い女性がひとりで見ている光景も珍しくない。一方、あまり変わっていないのは、シネコンでエンドロールがスタートすると観客が帰り始める光景だ。ただし、これは劇場スタッフが早々と場内照明を点灯し「お帰りはこちら」などとアナウンスしている影響が大きい。その証拠に、エンドロールが終わるまで照明を点灯しないミニシアターでは最後まで席を立たない観客がほとんどだ。

 帰国の日、仁川国際空港のターミナルと空港駅をつなぐ通路を何気なく歩いていると、前回なかったシネコンがオープンしていた。2スクリーンだが、悪天候などにより空港で長時間過ごさなければならない時には重宝することだろう。ちなみに、ソウルのもうひとつの空の玄関、金浦国際空港には数年前に本格的なシネコンがオープンしている。行くたびに変化と新たな発見があるソウルでの映画鑑賞。次回も楽しみだ。


Writer's Note
 hebaragi。北海道在住。ソウル滞在中、食事の時間以外はほとんど映画館にいることが多い。知人から「どこに行って来たの?」と尋ねられ「映画館」と答えて苦笑されることも。帰りの荷物が映画のチラシであふれているのはいつものこと。ちなみに『タワー』のチラシ5種類全てをゲットしたのが今回の大きな収穫だった。


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