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Interview 『ハナ 奇跡の46日間』 ムン・ヒョンソン監督

Text by mame
2012/11/17掲載



 ひとつになることが金メダル獲得よりも難しかった…。『ハナ 奇跡の46日間』は、1991年の世界卓球選手権大会を前に結成された実在の南北統一チーム「コリア」の46日間の軌跡を、涙あり、ユーモアありのエンターテイメントとして描いた作品です。当時、韓国に卓球ブームを巻き起こしたスター選手、ヒョン・ジョンファをハ・ジウォンが、北朝鮮代表のカリスマ的なライバル選手、リ・プニをペ・ドゥナが熱演しています。

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 実話をベースにした作品は多くの人の関心を呼び、プレミア上映となった「2012大阪韓国映画週間」(10月26日~10月30日@シネマート心斎橋)での前売り券は完売。超満員の拍手に迎えられての舞台挨拶でした。ムン・ヒョンソン監督はまだ30代の若手。初監督作品である『ハナ』についてインタビューを行いました。


インタビュー

── 日本での反応は?

大阪での上映の前に、映画の舞台となった幕張で千人規模の試写会がありました。私も想像していなかったのですが、この試写会は実際にチーム・コリアを応援していた在日同胞の方々の21年ぶりの再会の場にもなったそうです。あの大会以降、日本に住む同胞の方々の間でも北と南に分かれてしまい、交流の機会に恵まれなかったのが、この映画をきっかけに、今やおじさん、おばさんとなった姿で再会がかなったと聞いた時、とても不思議な気分になりました。それは一緒に来ていた俳優・スタッフたちも同じだったようで、チーム・コリアの残した功績が、韓国内だけでなく日本に住む同胞にとっても大切な記憶として存在しているのを感じられたことで、強い衝撃を受けたと共に、言葉にできないほどの感謝の気持ちで胸が熱くなりました。

── チーム・コリアについては韓国では誰もが知っている事なのでしょうか?

若い世代のほとんどがこの事を知らず、「事実に基づいたストーリー」という説明を添えなければ、大部分の韓国人には分かってもらえないのではないでしょうか。年配の方に聞いても、「そんなことあったっけ?」という言葉が返ってくるぐらいです。当時は世界選手権後、2ヶ月ほど毎日その報道ばかりだったはずなんですが、実際私も当時テレビで見ていたはずなのに、すっかり忘れていた、そんな世代のひとりですしね。今の時代は皆それぞれの生活に忙しく、多くのニュースに溢れていて、若い世代の南北関係に対する関心もすっかり薄れてしまった気がします。21年前というのは忘れてしまうほど昔ではないはずなのに残念ですよね。

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ムン・ヒョンソン監督

── 北朝鮮の選手に関して、どうやってイメージを膨らませたんでしょうか?

私が初めて会った北朝鮮の方は、この映画で北朝鮮言葉を指導してくれた先生でした。その先生の言葉や、お聞きする話からイメージを膨らませたのですが、北朝鮮側の人物のイメージを作り上げるのは、失礼になってはいけないし、本当に難しかったです。同じ国だったはずなのに、なぜそんなに気を使ってしまうのかと考えると、そもそも私たちの世代には北朝鮮との良い記憶がないんですよね。生まれた時から分断されているので、違う国というイメージを持ってしまっている人も多い。私たち韓国人は北朝鮮に関する情報を教育で得ることはできるけれど、それ以上に南北関係に関心を持つきっかけはなかなかありません。そうした南北関係の教育者の方々にお会いしてお話を伺ったりしましたが、ほとんどの方が「(若者の南北関係への関心の薄さについて)教育だけでは補えないというのが今の現実だ。それでも、こうして話しあう機会を持つ事が大切なんだ」とおっしゃいました。私はこの作品を作ることで、こんな奇跡のような時間がふたつの国の間に流れていたという事を若い世代に知ってもらい、状況が劇的に変わるまではいかなくても、現在の南北関係について何かを感じてもらうきっかけにしたいと思っています。

── 事実に基づく創作という印象を受けましたが、ノンフィクションのエピソードについて教えて下さい。

この映画の資料として、在日同胞の方が制作したチーム・コリアの46日間の記録ドキュメンタリーを観たのですが、その中で一番心に残ったのが最後の日、北の選手がバスに乗せられて南の選手と離れ離れになる場面です。この場面のためにこの映画があるといっても過言ではありません。北朝鮮代表、韓国代表としてひとつのチームとなった選手たちが、この46日間で交流を深めて、最終的には選手としてではなく昔からの友人のように仲が深まったのに、離れてしまって、それから21年間、会うこともままならない。この46日間によって、まるで新しい離散家族が生まれてしまったように感じました。彼女たちはもともと離散家族ではなかったはずなのに。ですので、実在の人物、卓球についてのスポーツ映画というよりは、感情を描いたメロ・ドラマとして観て欲しいと思っています。

── 優勝したシーンで終わらず、再びライバルとして対決するシーンで終わるのには、監督の思いが込められているのでしょうか?

統一に向けての華々しいムードのまま終わりたくはなかったという思いがあります。私はこの映画で統一にかけるメッセージを叫ぶというよりも、21年前にこんな出来事があったのに、今は会うこともできず、ひとつのチームとして勝利を分かちあっても、2年後には再び敵として向き合い、今も敵同士のままでいるという現実に対して、「このままで良いのだろうか?」というメッセージを投げかけるつもりであのシーンを作りました。答えは今の世代に考えてほしい。こんな奇跡のような46日間があったという事実は、21年経った今でも十分意味があると思っていますので。

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会場のシネマート心斎橋は超満席

── 韓国代表のヒョン・ジョンファ選手、北朝鮮代表のリ・プニ選手のその後について教えて下さい。

ヒョン・ジョンファ選手には、この映画の監修として携わっていただきました。撮影中はずっと一緒だったのですが、業務用の試写など観る機会は何度もあったのに、観ないと決めていたようで、幕張での試写会で初めて観た際には、当時を思い出したのか終始涙を流していらっしゃったそうです。今年のロンドン・パラリンピックで、ヒョン・ジョンファ選手は大韓卓球協会専務理事として、リ・プニ選手は朝鮮障害者体育協会書記長として再会が期待されていたのですが、残念ながら時期があわず、再会はかなわなかったそうです。

── 今回は卓球の世界選手権が舞台となっていますが、卓球に対して個人的な思い入れはありますか?

そうですね。今の韓国では卓球はそんなに人気がないのですが、映画にあるように、21年前はヒョン・ジョンファ選手の活躍もあり、韓国では卓球ブームでした。私も当時は卓球をよくやっていました。

── 日本ではちょうど今年、ロンドン五輪で女子団体が銀メダルを獲ったので、たくさんの人が関心を持って本作を見てくれるのでは?と期待しています。

私も愛ちゃん(福原愛選手)は知っています。一緒にプロモーションで回る機会が持てたら嬉しいですね!(笑)

── これからの作品の予定を教えてください。

人の感情を重視した作品を撮り続けたいですね。この映画も、実際の出来事を通して人の感情を描きたいというところから始まっています。男女関係、日韓関係など、様々な題材がありますが、人の気持ちに集中しながらその感情を重視した作品を作りたいですね。



取材後記

 この作品は舞台が日本ということもあり、在日の方々にとって忘れられない出来事のようで、劇場内では多くの韓国語が飛び交っていました。今年は『かぞくのくに』のヒットもあり、映画ファンの間でも在日や南北問題への関心が深まっているのではないでしょうか。

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 取材を終えて感じたのは、現在でも北朝鮮と韓国の接点は思ったより少ないという事への驚きでした。韓国映画を見慣れている者としては、南北問題が身近なジャンルとして成立している気がしていましたが、当の韓国では、もはや違う国とみなして関心を持たない人もいるという事実には、60年以上分断国家として存在している北朝鮮と韓国の問題の根深さを改めて感じさせられました。

 舞台挨拶で「なぜ21年経った今、この作品を作ろうと思ったのか?」との質問に対して、監督は「私も昔この瞬間をテレビで観ていたが、すっかり忘れてしまっていた。数年前たまたま製作者とその話になり、これは映画化すべき出来事だと思った。タイミングを図ったのではなく、忘れてはいけない記憶だと思ったから」と答えていました。北朝鮮への関心が薄れているという現実に対して、映画の持つ可能性に賭けたいという、熱い思いが感じられる言葉でした。

 「韓国での原題は『KOREA』なんですけど、邦題は『ハナ(韓国語で【ひとつ】の意)』なんですよね…」。ムン監督もこの邦題には感じ入るものがあるようで、ひとつひとつの言葉をかみしめるようにゆっくりと思いを語ってくれる姿が印象的でした。


2012大阪韓国映画週間
 2012年10月26日(金)~10月30日(火)@シネマート心斎橋
 公式サイト http://osaka.korean-culture.org/

『ハナ 奇跡の46日間』
 原題 コリア/英題 As One/韓国公開 2012年
 監督 ムン・ヒョンソン 主演 ハ・ジウォン、ペ・ドゥナ
 移動映画村「韓の風」 in ベイサイド、2012大阪韓国映画週間上映作
 2013年4月20日(土)より、オーディトリウム渋谷ほか全国順次公開
 公式サイト http://hana46.jp/

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Writer's Profile
 mame。1983年、岡山県生まれ。2004年、韓国・弘益大学美術学部に交換留学。韓国映画は留学を決めるきっかけにもなった。専攻は木版画。現在は会社勤めをしながら作品制作を続けている。


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