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読者投稿 Review 『ピエタ』

Text by hebaragi
2012/10/31掲載



 キム・ギドク監督18本目の作品。今年度のベネチア国際映画祭で最高賞にあたる金獅子賞を受賞したクオリティの高さに圧倒され、短いソウル滞在中に3回も観てしまった。

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『ピエタ』(写真提供 東京フィルメックス事務局)

 都会の片隅。金属加工を生業とする零細な町工場が立ち並ぶ、発展から取り残されたような街が舞台。主人公の男(イ・ジョンジン)はこの街でヤクザまがいの取り立て稼業をしている。そこへ、30年前に別れた母親を名乗る女が現れたことから彼の生活に予想外の変化が起こっていく。壁の絵に刺したナイフを手に今日も彼は取り立てに出かける。色のないくすんだ街を舞台に静かにストーリーが展開。主演二人の表情が秀逸。なかでも、母親役チョ・ミンスのモナリザのような微笑みが、不気味かつ不思議な魅力を醸し出す。

 借金取り立て業から足を洗う決心をした息子が母親に言った台詞が泣かせる。

   「今日で取り立ての仕事は終わりだ。必要なものはないか?
    やりたいことはないか? 死んでほしい人はいないか?」

 せめてもの親孝行のつもりで言った大真面目な言葉だったのだろう。

   息子 「金とは何だ?」
   母親 「全ての始まり、愛、名誉、嫉妬、復讐、死…。」

 街を歩く二人は、親子というより、まるで恋人同士のようだ。息子の誕生日。バースデーケーキが悲しかった。『親切なクムジャさん』のワン・シーンを思い出す。

 母親は言う。

   「人は誰もがいつかは死ぬものよ」

 息子は言う。

   「オンマ(お母さん)がいなくなったらと考えると不安だ。
    またひとりぼっちになったら、もう俺は生きていけない。」

 そこには、もはや冷酷な取り立て屋の顔はない。追い詰められた息子は「母親の代わりに自分が死ぬ」と言う。30年ぶりに再会した親子の行く末はハッピーエンドでもなければ明るい希望があるわけでもない。しかし、なぜか観た後にホッとし、また観たくなる不思議な作品だ。

 ベネチアで金獅子賞を受賞したキム・ギドク。次回作への期待が高まるが、当分はプロデュースやシナリオ執筆に専念するという。彼はあるインタビューの中で、これまでの18本の作品で一貫して込めようとしたメッセージは「資本主義と、これによって生まれた非道徳性だ」と語っている。メジャーな作品優先で上映するシネコンの商業主義を批判し、ヒット中にもかかわらず四週間で『ピエタ』の上映打ち切りを宣言したのもギドクらしい行動といえよう。また『ピエタ』の中で、素直に愛を表現できない男は『悪い男』を、エゴン・シーレ風の絵は『悪い女 青い門』を、殺生の数々は『春夏秋冬そして春』を、三人が横たわるシーンは『ブレス』を彷彿とさせる。こうしてみると、彼は『ピエタ』に過去17作品の集大成の意味合いを込めたようにも思えた。

 『ピエタ』は、初期作品からキム・ギドクに注目してきた韓国映画ファンはもとより、キム・ギドクの作品は初めての方にもお薦めしたい秀作である。日本公開が待ち遠しい。


『ピエタ』
 英題 Pieta/韓国公開 2012年
 監督 キム・ギドク 主演 チョ・ミンス、イ・ジョンジン
 第13回東京フィルメックス「特別招待作品」部門上映作
 東京フィルメックス公式サイト http://filmex.net/
 『嘆きのピエタ』という邦題で2013年6月、Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー

Reviewer's Profile
 hebaragi。韓国映画鑑賞歴24年。年数回、ソウルで映画を鑑賞する。北海道の自主上映グループのボランティア・スタッフを務める。


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