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Interview 『バラナシへ』 チョン・ギュファン監督

Interviewed by 井上康子
写真提供:映画祭実行委員会事務局
2012/10/10掲載



 アジアフォーカス・福岡国際映画祭2012で公式招待作品として日本初公開された芸術映画『バラナシへ』。同じアジアフォーカスで上映された『ダンシング・クイーン』と同様に中年の男女が主人公の作品だが、全く異なるタイプの作品で韓国映画の幅広さを感じる。ソウルで出版社を経営する男性とその妻、男性の愛人の作家、そして妻と恋に落ちるレバノン出身の青年が登場するメロドラマだが、青年がテロリストとしてバラナシに出向くところから、通常のメロドラマの想定をはるかに越えて、過激な終息へと突き進んでいく。

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ティーチインの模様(左:監督)

 チョン・ギュファン監督はインディーズ・アート系の監督で海外での評価が高く、本作はベルリン国際映画祭に招待されている。また、今回の来日直前に、新作『重さ/The Weight』でベネチア国際映画祭・クィア獅子賞(性的マイノリティを描いた優れた作品に与えられる賞)を受賞したばかりのまさに時の人である。受賞の話題に満面の笑みを浮かべる監督に話を伺った。


実験的メロドラマで宗教・人間の偽善を描く

── この作品はメロドラマで、これまでに撮ったタウン三部作(『モーツァルト・タウン』『アニマル・タウン』『ダンス・タウン』)とは異なるが、どのように構想を練ったのか?

タウン三部作は都市の社会的問題を描いたもので、本作はジャンル的挑戦、ジャンル的実験がしたくて撮ったメロドラマ。一般のメロドラマはすでにホ・ジノ監督のようなうまい監督がいるし、もともと私は一般的なメロドラマには興味がない。それで自分のスタイルで作った。インドのバラナシが出るし、過激派による爆弾テロがある。宗教の偽善や人間の偽善を描きたかった。登場人物のケリムの場合、アメリカの攻撃で家族を失ってレバノンから韓国にやって来たが、レバノンよりさらに貧しいバラナシで自爆テロを行い、貧しい人々を巻き込んで犠牲にしてしまう。本来、宗教はよいものだが、人間が解釈して行動するとおかしなことが起きてしまう。それを偽善という。ケリムはさらに主人公の妻と不倫関係に陥るがそれも偽善。自分の欲望を隠して理性的な面を見せるというのも偽善だ。

── 妻がバラナシへ行ってしまって、主人公は表面的には妻を心配しているものの不倫相手の作家の家に留まり、すぐにはバラナシへ行かなかったのが不可解だった。また、作家が生理用品をもてあましている様子は妊娠したい思いを秘めているようで印象に残るシーンだった。これらも偽善ということか?

そうだ。妻のことも思っているが肉体を他の女性のところに預けているのは偽善。作家が生理用品を見て、主人公のワイシャツを見るというシーンは、主人公を自分のものにしたいということを表現するためだ。他人の男性を得たい、子どもが欲しいという欲望を隠している。


影響を受けたのは小津・今村・黒澤、そして印象派の巨匠たち

── 暴力的なシーンもスタイリッシュであることが斬新に感じられたし、映像の美しさが秀逸。俳優チョ・ジェヒョンやソル・ギョングのマネジメントをしていたなど経歴が特異だが、映像や美術について学んだことは?

キム・ギドク監督、パク・チャヌク監督など優れた監督はいずれも映画についての専門教育を受けていないが私もそうだ。俳優たちのマネジメントをしている時にキム・ギドク監督やイ・チャンドン監督の撮影現場にいたが、彼らの作品と私の作品は作品の文法が異なるので影響を受けたとは言えない。むしろ、小津安二郎、今村昌平、黒澤明といった日本の監督たちから受けた影響が大きいし、小さい頃からよく絵を見て音楽を聞く方だったので、印象派のモネやルノアールの影響を受けている。ファッションにもすごく興味があり、作品の背景から小物まで自分でやっている。


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左:チェ・ミエ プロデューサー 右:監督(撮影:井上康子)


車を売って映画を作る

── これまで資金の捻出のために弟妹から譲られた車まで売り、低予算で苦労して制作していると聞いている。本作の場合はどうだったか?

最初の作品から数えて、これまでに車は6台売った。自分で車を買うと3ヶ月もしないうちに制作資金に変えてしまうので、もう買わないようにしている。通常は映画のスタッフは80から100名だが、私の場合は10人程度。撮影もチェ・ミエ プロデューサーが照明を行うなどして、助監督と撮影監督のあわせて4人でやっている。涙なしでは撮れない(笑)。韓国も日本も芸術映画は隅に追いやられている。映画祭に招待されて上映されることで良さを分かってもらいたい。


バラナシは生と死が共存する空間

── バラナシを舞台に選んだ理由は? 絵になることを重視したのか?

そうではなくて、バラナシは生と死が共存するところだからだ。川辺では火葬が行われ、その周りには世界中から観光客が来ていて、また実際にテロも起きている。


時間軸の交錯で不安や混乱を表現

── 時間軸がバラバラになっていることで、ある出来事と次に示される出来事の関係が強く感じられたし、鑑賞中ずっと緊張を強いられた。監督の意図は?

不安や混乱で多くの人がたくさんのストレスを受けていることを示そうとした。シナリオを書く段階で時間軸をどう交錯させて出来事を描くかは決定して書き込んだ。

── 撮影は時間軸に沿って順撮りしたのか? また撮影期間は?

撮影はある場所で撮るなら、そこでのシーンをすべて撮るというやり方で、およそ12日で撮りあげた。撮影はスムース。たいへんなのはお金(笑)。


全裸シーンも含めて、俳優に求めるのは自然な演技

── 俳優たちの演技がとても自然で素晴らしかった。俳優の方は短い期間で撮影を行うことに負担がなかったか? 女性の演技が特に自然で、そのためもあって妻が夫に女性の気配があることを悟って寂しさを感じていること、そして作家が愛人であるために子どもを産めないことを辛く感じていることのいずれにも共感できた。彼女たちの演技経験が資料で確認できなかったがどういう経歴か?

短い期間で撮るので、俳優はキャラクターをつかむのが大変だ。「撮影が終わる頃にキャラクターをつかめた」と俳優たちが話すのをよく聞く。けれど、海外の映画祭に行くと「俳優の演技が素晴らしい」と評価される。今回、主人公を演じたユン・ドンファンについて言うと、彼はシナリオを読んで「不倫をする男性なんだ」という程度の理解で撮影が始まり、私が考えるキャラクターと彼が考えるキャラクターも一致はしていなかった。彼は撮影が終わって映画を見て「こういうキャラクターだと分かった」と言っていた。私が俳優に求めるのは自然な演技。通常「良い演技だ!」という時は、演技だということを見せている状態でそれは私にとっては良い演技ではない。妻役の女優は演技経験がない人。劇団でデビュー準備中だったが、役のイメージに合ったのでスカウトした。彼女は「自信がない」と言ったが説得した。作家役は事務所に出入りしていた一般の人だ。


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レッドカーペットを歩くユン・ドンファン

── 作家役は全裸のシーンがあるが、一般人である彼女はスムースに出演依頼に応じたのか? ユン・ドンファンも全裸に抵抗はなかったのか?

大金を積んで何日も説得するようなことはできない。私は口がうまいので5分で説得している(笑)。「あなたがさらけ出すことをしてくれたら作品が完成できる」と自分の思いを正直に言う。ユン・ドンファンは「露出が多い」ということで以前断られたことがあるが、タウン三部作を見て彼の方から「やらせてくれ」と言ってきた。『重さ/The Weight』に出演したキム・ソンミンも最初は「できない」と言っていたが、自然な流れで応じてくれ、最後は「演技者として自由になれて意義深かった」と言っていた。


ベネチア受賞作『重さ/The Weight』

── 新作『重さ/The Weight』について見どころを紹介してほしい。

ジャンル的挑戦として撮った。ヴィクトル・ユーゴーの小説『ノートルダム・ド・パリ』を素材にしたファンタジーだがグロテスクな作品。他の人が撮るようなファンタジーではない。


 『バラナシへ』は、妻や作家と同年代の中年の女性観客から「彼女たちの気持ちがわかる」と多くの支持を得ていた。来年のアジアフォーカスでは、是非『重さ/The Weight』を持って再来福してほしい。


『バラナシへ』
 原題 バラナシ/英題 From Seoul To Varanasi/韓国劇場未公開
 監督 チョン・ギュファン 主演 ユン・ドンファン、チェ・ウォンジョン
 アジアフォーカス・福岡国際映画祭2012公式招待作品
  公式サイト http://www.focus-on-asia.com/


特集 アジアフォーカス・福岡国際映画祭2012
 Report アジアフォーカス・福岡国際映画祭2012
 Interview 『ダンシング・クイーン』 イ・ソックン監督
 Interview 『バラナシへ』 チョン・ギュファン監督


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