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Review 『藁にもすがる獣たち』 ~「人を狂わせるものは金」という原理に忠実に作った黒い群像劇

Text by Kachi
2021/2/18掲載



 人間を狂わせるものは何だろうか。男女関係、劣等感、名誉欲。しかし、突き詰めてみるならばやはり金であろう。『藁にもすがる獣たち』は、この原理に忠実に黒い群像劇を構築したサスペンスである。

warasuga.jpg

 港の出入国審査官であるテヨン(チョン・ウソン)は、失踪した恋人が残した多額の借金を抱えて金融業者(チョン・マンシク)から矢の催促で取り立てを受けている。ナイトクラブのやり手オーナー、ヨンヒ(チョン・ドヨン)は、暗い過去を精算して新たな人生を歩もうとしていた。サウナで下働きのアルバイトをするジュンマン(ペ・ソンウ)。事業に失敗し、老いた母(ユン・ヨジョン)を抱えて生計を立てようと必死だが、楽にはならない。ミラン(シン・ヒョンビン)は借金のせいで夫からDVを受け続けていた。ある日、ジュンマンが勤め先のロッカーの中に忘れ物のバッグを発見。その中には10億ウォンもの大金が入っていた…。

 主要人物たちの登場は、あらすじ通りには行かず、関係は絶妙な点と線で結びついて、中盤以降に全容が見えてくる趣向だ。そんな本作の緊張感を、話法の展開が支えている。また、『新しき世界』を例に引くまでもなく、港町ノワールには傑作が生まれることが多い。海と、そこに反射する夜の暗がりが作る独特な青黒さが理由なのかもしれない。『藁にもすがる獣たち』も、登場人物たちの抱える後ろ暗さと背景の闇がみごとに調和している。高い評価を得た『悪のクロニクル』、『犯罪都市』、『悪人伝』を制作したBAエンターテイメントが本作の制作プロダクションを担当したそうで、今後も覚えておくべきプロダクションになることは間違いないだろう。

 誰も彼も濃く味わい深い役者が揃った中で、一人だけ名前を挙げるならやはりヨンヒ社長を演じたチョン・ドヨンだろう。全員、自らの行いの報いによって八方ふさがりになってしまい、「なぜその手に乗ってしまうのか?」という方法を取ってしまうのだが、ただひとり彼女だけは、確信犯的に、何のためらいもなく凶器を握っているように感じた。そのふてぶてしさに快哉を叫んだ。


『藁にもすがる獣たち』
 原題 지푸라기라도 잡고 싶은 짐승들 英題 BEASTS CLAWING AT STRAWS 韓国公開 2020年
 監督 キム・ヨンフン 出演 チョン・ドヨン、チョン・ウソン、ペ・ソンウ、ユン・ヨジョン、チョン・マンシク、チン・ギョン、シン・ヒョンビン、チョン・ガラム
 2021年2月19日(金)より、シネマート新宿ほか全国ロードショー
 公式サイト http://klockworx-asia.com/warasuga/


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