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Review 『82年生まれ、キム・ジヨン』 ~私たちで終わらせ、私たちから始めるための物語

Text by Kachi
2020/10/3掲載



 ワンシーン、ワンカットごとに、共感の痛みで胸を針で刺されたようになる。『82年生まれ、キム・ジヨン』のことだ。“84年生まれ”の筆者にも、どの世代にも当てはまるだろう。

kimjiyon.jpg

 1982年4月1日生まれのキム・ジヨン(チョン・ユミ)は、大学の先輩デヒョン(コン・ユ)と結婚して仕事を辞め、娘アヨンをもうけ3人で暮らしている。義両親の家に帰省したある日、突然人格が変わった声色になり、デヒョンら周囲を驚かせてしまう。こうした事件を契機にし、映画はジヨンの心がなぜ壊れてしまったのかを、過去と現在をクロスさせながら追っていく。

 セリフだけではなく、細部にまで行き届いた表現で、ジヨンが何に壊されていくかが描き表される。例えば、子どもを抱きっぱなしで腱鞘炎になったであろう手のサポーターや、自分に気を遣っていないことが分かる服の襟ぐりの汚れ。さらに、不安定さそのもののようなカットの編集。原作のように、ジヨンには彼女の母や祖母、慕っていた先輩の姿が憑依したようになるが、同様に観客にもジヨンの気持ちが乗り移ったようになるに違いない。

 ジヨンを追い詰めたのは、もちろん男性を中心にした強権主義である。どのエピソードにも思い当たる節でうなずく女性も多いはずだ。ただ、この映画は対立を作って終わる話ではない。NOと言わないことで衝突を避けることを、ガラスを飲み込むようにして痛みを抱え込む時代を、もう終わりにしようという強いメッセージが発信されていることが、実に心強い。

 劇中のある雪の日、ジヨンが母ミスク(キム・ミギョン)と電話で会話をするシーンが印象的だ。二人はともに淡く優しい水色の服を着ていて、彼女たちの傷が共振しているようである。そして、ジヨンの子どもが娘であるということも象徴的だ。固く強い女性たちの紐帯に、私も連なっていたい。憂鬱を私たちで終わらせて、次の社会を始めるために。


『82年生まれ、キム・ジヨン』
 原題 82년생 김지영 英題 KIM JI-YOUNG, BORN 1982 韓国公開 2019年
 監督 キム・ドヨン 出演 チョン・ユミ、コン・ユ
 2020年10月9日(金)より、新宿ピカデリーほか全国ロードショー
 公式サイト http://klockworx-asia.com/kimjiyoung1982/


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