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Review 『暗数殺人』 ~ヒューマンドラマとして観る者の心をつかむ「ファクション」

Text by Kachi
2020/3/28掲載



 刑事ヒョンミン(キム・ユンソク)は、ある日なじみの情報屋から一人の男を紹介される。男の名はカン・テオ(チュ・ジフン)。「金を渡されて死体を運んだ」と饒舌にまくしたてるテオの話を軽く聞いていたヒョンミンだったが、突如強行班が乗り込んできてテオを逮捕。容疑は恋人の殺人罪だった。しばらくして、テオから「ヒョンミンにだけ話すことがある」と連絡があり、怪訝な気持ちで拘置所へ向かうと、衝撃的な告白を聞かされる。「俺が殺したのは一人じゃない。全部で7人だ」 警察では誰一人関心を示さなかったが、ヒョンミンはひそかに行方不明者たちの捜査を開始する。執念で遺骨の一部を探し出すが、テオは突然、供述を翻すのだった…。

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 テオ役のチュ・ジフンは、『コンフェッション 友の告白』『アシュラ』と来て、さらに演技をアップグレードさせたようだ。自己顕示欲のかたまりで、しかしこけおどしに終わらない狡猾さのある殺人者を見事に演じている。一見人懐っこいが、それだけに底知れない闇が身体の奥に広がっているようなキャラクターだ。刑事ヒョンミンに扮したキム・ユンソクも、テオという狂気のかたまりを貫禄で受け止めている。二人の俳優のコントラストが良い。

 『暗数殺人』の中の事件は、家族という絆のもろさも浮き彫りにさせる。ささいな気持ちの行き違いから、疎遠になってしまったなら、心の中で「死んだ」ことにしてしまうかもしれない。大人になってしまえば、なおのことだ。ヒョンミンは、テオの要求のままに差し入れや金銭を渡し、さらに自白を引き出そうとする。テオに翻弄されても遺体をみつけようと奔走する。刑事としての職務ではなく、この世でごく普通に生きていたはずの誰かを「探す」という、人としての信念に突き動かされているのだ。

 事実の出来事をもとに作られたホラーやサスペンスなどのジャンル映画をくくる言葉として、ファクト(fact)とフィクション(fiction)を合わせた「ファクション」という造語がある。本作には、他の「ファクション」作品とは違う、ヒューマンドラマとして観る者の心をつかむに違いない。


『暗数殺人』
 原題 암수살인 英題 Dark Figure of Crime 韓国公開 2018年
 監督 キム・テギュン 出演 キム・ユンソク、チュ・ジフン
 2020年4月3日(金)より、シネマート新宿ほか全国ロードショー
 公式サイト http://klockworx-asia.com/ansu/


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