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Review 『にわか雨』 ~突然の雨がもたらした、初恋と呼ぶにはあまりにわずかな思い出

Text by mame
2019/7/14掲載



 韓国語に精通している方でなくとも、「ソナギ(にわか雨)」という言葉は聞いた事があるのではないだろうか。韓国映画やドラマではおなじみの展開ともいえる、主人公に降りかかる突然の激しい夕立、にわか雨。濡れそぼった髪や衣服を目にし、さらには雨宿りで間近に体温を感じる事により、2人はより強くお互いを意識するようになる…。ラブストーリーにおなじみのこの光景の原点ともいえるのが、黄順元(ファン・スンウォン)の短編小説「ソナギ/소나기」だ。

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 韓国では教科書にも載っているというぐらい有名な物語を、『Green Days~大切な日の夢~』のアン・ジェフン監督がアニメーション映画化し、この度「夢見るコリア・アニメーション2019」にて日本初公開される。

 始まりから背景の美しさに目を奪われる。にわか雨を経ていきいきと成長する、エノコログサやタンポポ。さっきまでの雨がうそのように、雲の隙間から射す光。韓国の原風景ともいえそうな素朴な田舎に、赤いランドセルが少し異質な彩りを添えている。隅々まで描き込まれた、アン・ジェフン監督作品の最大の特徴といってよいだろう。

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 暑さも落ち着いた初秋、小川のほとりで少女と少年が出会う。2人はあらゆる意味で対照的だ。ソウルからやってきた色白の少女、田舎で育って日に焼けた少年。少女の「この辺に詳しい?」という言葉から、2人にとって忘れられない1日が始まる。

 植物の名前を尋ねられ、すらすらと答える少年だが、少女にいいところを見せようと格好つけたつもりがつかなかったり、戸惑う姿には誰しも心当たりがあるだろう。やがて降り出す、突然のにわか雨…。文章にするとあまりにお決まりの展開だが、圧倒的な美しさで描かれる自然を俯瞰で捉えたショットが多く、2人で見た自然の美しさを追体験しているような感覚をおぼえる。

 最大の見どころはやはり、にわか雨のシーンだろう。雨宿りで距離が近づいた事が影響してか、少女はここへ来てから誰にも話せなかったであろう心境を吐露する。まだ小学生の2人だが、雨宿りのシーン然り、端々にドキッとするような生々しいエピソードが入るところがいかにも韓国らしい。

 『にわか雨』は雨に始まり、雨に終わる。降っている間はどうすればよいのかと戸惑うが、いつしか降っていた事も忘れてしまうぐらいケロッと晴れてしまう。初恋と呼ぶにはあまりにわずかな思い出を、忘れまいと心に留める2人のそれぞれの姿が印象に残った。

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 『にわか雨』は7月27日(土)に「夢見るコリア・アニメーション2019」にて上映され、上映後にはアン・ジェフン監督と『この世界の片隅に』の片渕須直監督との対談も予定されている。他プログラムとして、ヨン・サンホ監督の短編アニメーション特集や、日韓ミュージックビデオ交流上映&トークも開催され、韓国アニメーションの幅広さを体感できる貴重な機会となっている。


夢見るコリア・アニメーション2019
 期間:2019年7月27日(土)
 会場:シネ・リーブル池袋
 公式サイト http://yumekori.jp/

Writer's Note
 mame。『にわか雨』に相当する日本の物語はなんだろう?と考えて思い出したのが、国語の授業で習った『赤い実はじけた』。胸がときめく瞬間を少女漫画風に描いた日本の作品に対して、『にわか雨』はずいぶん大人びているなぁと、国民性の違いを感じました。


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