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Report マンスリー・ソウル 2019年5月 ~映画の法廷シーンから垣間見える韓国社会の今

Text by hebaragi
2019/6/3掲載



 梅雨入り前にもかかわらず夏の蒸し暑さを感じた5月下旬のソウル。今回は、韓国劇映画5本、韓国ドキュメンタリー3本、日本のアニメーション1本を見た。韓国劇映画の中では3本の作品で法廷シーンが登場し、日本との違いも描かれていて興味深い鑑賞となった。


『ガール・コップス』


 かつてのやり手女性刑事・ミヨン(ラ・ミラン)は、いまは相談センター勤務という閑職にとばされ、若い落ちこぼれ刑事・ジヘ(イ・ソンギョン)とは犬猿の仲。ふたりが勤務する警察署所轄管内で性被害事件が発生するが、署内では捜査が後回しにされる。そんな中、ふたりは独自捜査をすることになる。捜査が進むにつれ、ふたりの距離が近づき、よきパートナーとなるストーリーが展開する。派手なアクションシーンやカーチェイスも見どころの、楽しいアクションコメディだ。

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『ガール・コップス』



『教会のお兄さん』


 主人公の男性、イ・グァニが末期ガンの抗がん剤治療を続ける中、妻の血液末期がんが見つかる。そして、追い打ちをかけるような母の死。次々と起こる困難にもかかわらず、キリスト教への信仰を続けた男性のドキュメンタリー。闘病を続けながら、生まれた娘・ソヨンの成長を暖かく見守る姿に胸を打たれる。壮絶な闘病を続けながら、周囲の人々に思いを語り、最後は帰らぬ人となる主人公の生き方に観客も涙を誘われていた。

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『教会のお兄さん』



『市民 盧武鉉』


 盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領をテーマにした映画は何本目になるのだろうか? 大統領退任後、一人の市民として故郷の村に戻ってからの400日あまりの日々を当時の関係者たちへのインタビューを交えて描くドキュメンタリー。彼が農村を訪ね、農作業をしたり、ゴミ拾いをしたり、アイガモ農法をすすめたりする映像が続く。彼亡き後、関わった農村が荒れ果てている様子は痛々しい印象だ。ラストシーンは、国会議員だったときの若き日の本人の映像。大統領退任後の彼の生き方が紹介された貴重な作品といえよう。

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『市民 盧武鉉』



『きみの声をとどけたい』


 2017年公開の日本のアニメーション。鎌倉をモデルにした海辺の街が舞台の、女子高生たちが商店街限定のミニFM局のDJをする話。キャラクター・デザインは少女コミックの印象だが、背景画が綺麗なことと、それぞれのキャラクターが魅力的に描かれていることから、ストーリーに引き込まれる。最後にサプライズで奇跡も起きる。全編を通して、思春期の少女たちのまっすぐな生き方が爽やかな印象を残す秀作だ。

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『きみの声をとどけたい』



『キム・グン』


 1980年5月に起きた光州事件の際に、あちこちで目撃され、装甲車に乗る写真に写っていた人物が北朝鮮国営メディアに登場する人物に酷似しているという説を元に、当時の市民軍や当局者、メディアの記者たちのインタビューを交えて謎に迫るドキュメンタリー。39年経った現在でも事件の真相に謎が残っているというのは衝撃的だ。

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『キム・グン』



『未成年』


 女子高生ジュリ(キム・ヘジュン)は、父親(キム・ユンソク)がクラスメートのユナ(パク・セジン)の母親(キム・ソジン)と不倫をしていることを知る。その問題をなんとか穏便に解決したいと思うジュリだが、ジュリの母親(ヨム・ジョンア)にも事実が知られてしまう。ジュリとユナの関係も悪くなり、学校の雰囲気も気まずくなる。そんな折、ユナの母親が妊娠し、出産する。ジュリとユナは病院に行くことに。子どもとの出会いを通して、ふたりの関係は改善するかに見えたが、子どもは亡くなってしまう。しかし、その後のふたりは不思議な友情で結ばれていく。思春期の心の揺らめきが丁寧に描かれていたのが印象的な作品だ。

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『未成年』



『陪審員たち』


 2008年に韓国でスタートした国民参与裁判制度に参加する、年齢も職業も様々な8人の普通の市民たちが主役の法廷ドラマ。法律の素人が証拠や証人を検討し、被告人の有罪・無罪を判断していく作業は過酷を極める。しかし、あるときから、冤罪の疑いが生まれ、再度検討した結論は当初の予想外のものに変わっていく。陪審員たちが悩みながら判断を重ねる熱心な様子が観客に伝わり、見応えがあった。法廷シーンもリアルで、陪審員は検察官の後ろに座っているのも、裁判官側に座っている日本の法廷と違っていて興味深い。また、裁判長役のムン・ソリの落ち着いた演技も印象的だった。日本でも裁判員制度が運用されているが、同様の悩みを抱えながら多くの市民たちがたずさわっていることに思いを巡らせながら鑑賞した。

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『陪審員たち』



『私の特別な兄弟』


 頭脳は明晰だが首から下の身体障がいを持ち車椅子生活のセハ(シン・ハギュン)。一方、水泳のずば抜けた才能を持つドング(イ・グァンス)は知的障がい者だ。二人は小さな頃から20年間、「責任の家」という施設で本当の兄弟のように育ってきた。ある日、ふたりが暮らす施設の神父が亡くなり、ふたりは離ればなれになる岐路に立たされる。施設は閉鎖され、ドングの今後の生活については家族と本人との意見があわず裁判となるが、法廷でドングは意外にも一度彼を捨てた両親と同居することを選ぶ。一方、セハは別の施設で暮らすことに。しかし、「責任の家」での生活を懐かしむドングは、施設の跡地へと向かう。セハは口で操作する新型の車椅子で、あてどもなく車道へと出ていく。そして、ふたりの思いにほだされた周囲の人々が、再びふたりでの共同生活をサポートするラストに感動させられた。また、ふたりの親友、水泳教室の女性講師ミヒョン役のイ・ソムがふたりを優しく見守る演出も秀逸だった。ストーリー全体を通して障がい者の人権について考えさせられたが、ヒューマン・コメディとしても楽しめる作品だ。 なお、裁判シーンの中では、日本と異なり法廷での規制がゆるいのか、傍聴人が弁護人席に駆け寄るシーンが登場するのは興味深い。

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『私の特別な兄弟』



『幼い依頼人』


 継母であるジスク(ユソン)から虐待を受けている姉弟の姉、10歳の少女ダビン(チェ・ミョンビン)が、7歳の弟ミンジュン(イ・ジュウォン)とともに法律事務所を訪ねる。やり手弁護士ジョンヨプ(イ・ドンフィ)は出世にしか興味がなく、ふたりをうとましく思いながらも、ふりまわされている。ある日、ミンジュンが殺され、ダビンが自白し警察に逮捕される。自白に疑問を抱いた弁護士は、調査を進め、ついに母親の虐待と弟の死との関連を解明し、母親は逮捕されることに。自白を強要されたダビンが、被告人である母親との間についたてが置かれた法廷の証人席で真実を語る様は、見ていて切ない思いになった。また、虐待する母親役、ユソンの鬼気迫る表情や目ヂカラは迫力があり、ドラマを大いに盛り上げていた。エンドロールでは、近年、韓国で児童虐待が急増しており、本作が実際の事件をモチーフにして制作されたことが告知されていた。こうした被害を受ける子どもたちが少しでも少なくなるようにと願いながら劇場を後にした。

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『幼い依頼人』



Writer's Note
 hebaragi。ふだん、韓国映画以外で見る映画は圧倒的に日本映画が多い。なかでもこの数年はコミック原作で高校生が主人公の、いわゆる「キラキラ映画」もよく見る。コアな映画ファンには敬遠されることも多いジャンルだが、見てみると意外に秀作が多いことに気づく。今回見たアニメ『きみの声をとどけたい』も爽やかな青春映画だった。


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