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Review 見逃し厳禁! 1月の韓国映画『消された女』『殺人者の記憶法』 ~コリアン・ホラー再興の兆しと、元祖カメレオン俳優の面目躍如

Text by Kachi
2018/1/18掲載



 2017年の今頃。『お嬢さん』『アシュラ』の公開を控え、韓国映画ファンは期待と戦慄を胸に抱いていたことだろう。嬉しいことに、今年も祭りは続く。小粒でも舌に痺れる見逃し厳禁韓国映画が、1月から目白押しなのだ。

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 『消された女』は、まっ昼間の都会の雑踏の中で、1人の若い女性スア(カン・イェウォン)が、突然不審な車に引きずり込まれるシーンから始まる。彼女が連れて行かれたのは精神病院。スアは強制入院させられたのだ。それから1年後。不祥事により有名ドキュメンタリー番組をはずされたプロデューサー、ナムス(イ・サンユン)は、B級心霊番組の担当に辟易していた。ところが、撮影で立ち寄った廃病院で、大やけどを負ったけが人を発見。そこは去年、患者による放火で全焼していた。時を同じくして、ナムスに一冊の手帳が届く。偶然にも、書いたのはあの病院の患者だった。スクープを嗅ぎつけたナムスは、手帳の差出人に会いに行く…。

 「保護者2名の同意と精神科専門医1人の診断があれば、本人の同意なしに“保護入院”の名のもとで精神病院へ強制入院が可能である」。『消された女』は、一昨年に違憲と判断されたばかりの「精神保健法第24条」の悪用が引き起こした、実際の拉致監禁事件を扱った映画だ。言うまでもなく、韓国映画における実話をベースにした作品は膨大な数になる。中でも本作は、『奴隷の島、消えた人々』などと同様、題材へかなりストレートにアプローチしている。

 その上で、重いテーマを恐怖映画という娯楽に、大胆に落とし込んでいる。のみならず、『カル』や『H[エイチ]』といった2000年代初期頃に多く作られた、韓国独特のジャンル映画に続く雰囲気を持っているのだ。ひたむきなまでにえげつなく、はっきりした解答が示さずに観客の腹に薄気味悪さを残すコリアン・ホラー独特の味つけに、ジャンル再興の兆しを感じさせてくれる。

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 一面の雪景色の中に、一人の男が姿を現した。これ以上ないほど肉の落ちた頬、くぼんだ顎、白く乾いた肌。私はこの男を知っているはずだ。しかし一瞬、本当に誰だか思い出せなくなった。

 それほどまでに、『殺人者の記憶法』のファースト・シーンは、あまりに変身した容貌のソル・ギョングに、観ているこちらの意識が全て持って行かれてしまう。

 ビョンス(ソル・ギョング)は獣医師の傍ら、社会の毒となるような人間を、何年にも渡って次から次へと闇に葬ってきた。家族に暴力を振るう父や夫。飼い犬を虐待する女性…。ところが近頃、アルツハイマーの症状が出始めたことで、錯乱しては娘ウニ(キム・ソリョン)を手こずらせるばかりだった。町で女性を狙った猟奇殺人事件が連続する中、ビョンスは「自分と同じ」雰囲気を漂わせる男ミン・テジュ(キム・ナムギル)と出会う。

 同名原作(2017年にクオン社が邦訳を出版)では、ビョンス個人が犯した殺人と並列するようにして朝鮮戦争や軍事政権が描かれており、韓国の暗黒史を奇妙に照射する。他方、映画ではビョンスが最初に殺した実父の迷彩服に当時が想起されるくらいである。社会性が薄いからといって、この映画を指弾するつもりはない。いずれにしても殺人行為は、ビョンスの個人的な世界なのだ(その証拠に、ビョンスは遺体を目につかないところに埋めており、殺人を誇示しない)。ここが、ビョンスがカルチャーセンターに詩を習いに行くことと不思議に繋がる。詩作とは、極めて内的な探求だからだ。少なくとも『殺人者の記憶法』では、おぞましい犯罪行為がそう捉えられていることに何故か納得させられてしまう上に、ビョンス本人は殺人に「大真面目」なので、ユーモラスにさえ映るのである。

 原作小説は毎日まめにつけられた日記のようでもあり、時系列がバラバラになった断章を再構成したような印象もある。記憶喪失者の時間は、直線的に一方の向きへ流れていくものではないからだ。語り手であるビョンスの思考に違いないが、映画も同様だ。この強烈なイメージが、作られた偽物だったら…と脳裏によぎるたび、自分のいる世界が足元から揺らぎ始めるほの怖さがある。

 後半、ギアを入れ替えたように、研ぎ澄まされたアクション描写がたたみかけられるように現れる。手垢のついた感が否めない北朝鮮工作員という題材を見事にエンターテイメントとしてブラッシュアップ&アップデートした『サスペクト 哀しき容疑者』のウォン・シニョン監督ならではである。


『消された女』
 原題 날, 보러와요 英題 INSANE 韓国公開 2016年
 監督 イ・チョラ 出演 カン・イェウォン、イ・サンユン、チェ・ジノ
 2018年1月20日(土)より、シネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国順次ロードショー
 公式サイト http://www.insane-movie.com/

『殺人者の記憶法』
 原題 살인자의 기억법 英題 MEMOIR OF A MURDERER 韓国公開 2017年
 監督 ウォン・シニョン 出演 ソル・ギョング、キム・ナムギル、ソリョン(AOA)、オ・ダルス
 2018年1月27日(土)より、シネマート新宿ほか全国順次公開
 公式サイト http://www.finefilms.co.jp/kiokuho/


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