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Report アジアフォーカス・福岡国際映画祭2017 ~想像力を呼び覚ます映画たち

Text by 井上康子
写真提供:映画祭事務局
2017/10/21掲載



 「アジアフォーカス・福岡国際映画祭2017(以下、アジアフォーカス)」が、9月15日から10日間、福岡市内会場で開催され、27回目の今年は22ヶ国・地域の63作品が上映された。韓国映画はチャン・リュル監督『春の夢』が上映され、監督と、俳優として主演したパク・ジョンボム、ユン・ジョンビン両監督も来福するという豪華な顔ぶれとなり、シンポジウム「パク・ジョンボムとユン・ジョンビンが語るチャン・リュルの世界」も開催された。「タイ映画大特集」は個性の異なる8作品を一挙に上映し、各々シンポジウムも行い注目を集めた。福岡で活躍するクリエーターの作品を上映する「福岡パノラマ」では堀江貴大監督『ナギョンとキヌカワ』が上映されたが、会場は大勢来場した若いクリエーターの熱気に包まれた。


『ワンダーボーイ・ストーリー』が見せた国のアイデンティティと『アジア三面鏡2016:リフレクションズ』が見せた交流


 今年、華やかにオープニングを飾ったのはディック・リー共同監督・主演による音楽家としての自身の誕生までを描いた『ワンダーボーイ・ストーリー』。シンガポールはいかなる国かと考え、欧米曲のカバーでない、独自の歌を創造していく。対照的に静謐な作品だが『蜜をあたえる女(ひと)』もブータンの仏教説話が背景にされた独自の作品だった。また、他国との交流をテーマにした作品もあった。『アジア三面鏡2016:リフレクションズ』は行定勲、フィリピンのブリランテ・メンドーサ(『ローサは密告された』)、カンボジアのソト・クォーリーカーという国際的に活躍する3監督によるオムニバス映画で、いずれも主人公は事情があって異郷で過ごす人物。


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『頭脳ゲーム』ナタウット・プーンピリヤ監督

格差社会に生きる若者:人気投票1位『頭脳ゲーム』、2位『バイオリン弾き』


 「アジアの新作・話題作」の中で、観客による人気投票で1位の「福岡観客賞」に選ばれたのはタイの若手ナタウット・プーンピリヤ監督『頭脳ゲーム』。飛びぬけて秀才の女子高生が留学費用を得るために、富裕層の子弟に組織的にカンニングをさせるというストーリー。想定外のトラブルに彼女は果敢に対応する。前提になっている家庭の経済格差と、人生で大切なのは金銭なのかという監督の問いかけが作品を深みのあるものにしていた。2位の「熊本市賞」を獲得したのはイランのベテラン、『柳と風』でも知られるモハマド=アリ・タレビ監督の『バイオリン弾き』。市場でバイオリンを弾いて家族を養っている主人公を始め、登場する人物はすべて実在の人物で、監督も本人役で登場する。監督は街で撮影しながら台本を考えたというが、市井の人が与えられた台詞でなく自身の言葉で語る思いの中に、何と素朴な思いやりのあることか。他にも、若い監督が厳しい環境に置かれた若者を描いた作品は切実さがあり胸に響いた。『フーリッシュ・バード』(中国)では、主人公の女子高生は出稼ぎ中の母親と離れて暮らしており、彼女を顧みる大人が不在の中で、トラブルに巻き込まれる。『はぐれ道』(マレーシア)は1990年代のマレーシア社会の中で低い地位に置かれていたタミル人の状況を一人の少年を通して見せた。『ダイアモンド・アイランド』(カンボジア)はセレブのための巨大マンション建設に従事する無垢な青年たちの生活を描いている。


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『春の夢』シンポジウムの模様

『春の夢』上映&シンポジウム「パク・ジョンボムとユン・ジョンビンが語るチャン・リュルの世界」


 『春の夢』は監督でも俳優でもある、ヤン・イクチュン、パク・ジョンボム、ユン・ジョンビンが各々自作で演じたキャラクターのイメージでチンピラ、脱北者、障害をもつ人として登場。さえないトリオにとって、ハン・イェリ扮する居酒屋の女主人はマドンナのような存在だ。そして、寝たきりの父親の介護を続けるイェリも彼らに支えられている。じんわりと暖かく、だがラストは人の一生を春の夢の如くはかないものに感じさせ寂寥感が漂う。シンポジウムでは本作の話題や映画人として考えることを3監督が活発に語った。


「福岡パノラマ」の『ナギョンとキヌカワ』:アジア各地から若者が集合


 アジアフォーカスと国際交流基金アジアセンターが共催で実施する、アジアの若手映画製作者向けのワークショップである「Fukuoka Film Forum」で作られた、福岡の玄界島を舞台にした短編。韓国の済州島出身の写真家ナギョンが、海女の写真撮影のために島を訪れ、元海女で、認知症になったキヌカワに出逢い、彼女の思いを島の人々に伝えていく。会場には堀江貴大監督を始め、アジア各地から本作の出演者やスタッフが集い、島での撮影時の思い出を達成感に満たされた笑顔で語った。


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『噂の男』ナワポン・タムロンラタナリット監督

「タイ映画大特集」:秀作を見せ、作品の豊饒さを語り、未来へ渡す


 多様な8作品を上映し、上映後は作品スタッフ・関係者を招いてのシンポジウムが開催された。デジタル修復版『サンティとウィーナー』上映後は本作の復元に至るまでやフィルム保存についての取り組みが紹介された。『いつか暗くなるときに』は学生運動が弾圧された事件をモチーフにアノーチャ・スウィチャーゴーンポン監督が「映画はどこまで真実に近づけるか」という実験をした前衛作品。「観客が想像するのが映画」であり、出来事の関連の分かり易さは排除されている。ナワポン・タムロンラタナリット監督『噂の男』(大阪アジアン映画祭2016で『あの店長』というタイトルで上映)は鑑賞できる映画が限定されていたタイで、古典から新作まで世界中の作品を販売していた目利きの海賊ビデオ店主について、インタビュアーである監督の質問に利用者たちが一人ずつ登場し証言していくというドキュメンタリー。多様な経験から多様な意味が生じる。アジアフォーカス梁木靖弘ディレクターは「今はまだリアリズムの次が見えていない時代だが、彼のようなパーソナルなものがリアリズムの次の方法になる可能性がある」と興奮気味に語った。監督はいずれの証言にも解釈を挟むことは一切せず「判断は観客に委ねる」。終始、想像力を呼び覚まされる、特別な鑑賞時間になった。


アジアフォーカス・福岡国際映画祭2017
 期間:2017年9月15日(金)~9月24日(日)
 会場:キャナルシティ博多ほか
 公式サイト http://www.focus-on-asia.com/

Writer's Note
 井上康子。『アジア三面鏡2016:リフレクションズ』の行定勲監督が『カメリア』制作時の主演者ソル・ギョングの発言を紹介した。韓国人スタッフが「韓国人はこのような振る舞いをしない」と監督を批判した時に「韓国人監督がやればただの韓国映画。合作のねらいとは何なのか。感性が異なることから生じる違和を不自然に感じさせないのが俳優の仕事」と語ったというのに感動。


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