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Review 『軍艦島』 ~過酷な状況で必死に生きる人々を描くアクション・エンターテイメント・ドラマ

Text by hebaragi
2017/8/10掲載



 長崎県の端島(はしま)は、別名「軍艦島」と呼ばれる。2015年にユネスコの世界文化遺産に登録され、現在は観光地にもなっている。島にある炭鉱での労働のためピーク時には約5千人もの人々が住んでいたが、その中には、朝鮮半島から様々な名目で連れて来られ徴用工として労働を強いられた人々も少なくないといわれている。

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 映画『軍艦島』のストーリーは、リュ・スンワン監督が「歴史的事実にインスピレーションを受けて制作した」とコメントしているように、強制徴用という史実を元にした「集団脱走」というフィクションの要素を含むものとなっている。

 映画のストーリーはこうだ。

 主人公ガンオク(ファン・ジョンミン)は、クラリネットを演奏する楽団長であり、京城(現在のソウル)のバンド・ホテルでの生演奏を生業としていた。あるとき「日本で稼げる」という誘いに乗り、ガンオクはまだ幼い一人娘ソヒ(キム・スアン)、チンピラのチルソン(ソ・ジソブ)、日本統治下の朝鮮で苦難の日々を送ってきたマルリョン(イ・ジョンヒョン)らとともに軍艦島に行くこととなる。

 島に到着した日。印象深いシーンがある。一行を迎えた炭鉱会社の職員が、軍歌「同期の桜」をリクエストし、ガンオクたちが情感たっぷりに演奏するところだ。もちろん、日本の植民地支配の時代であり、朝鮮人にとって日本の軍歌を演奏することは屈辱に違いない。しかし、ガンオクは、島で生きていく覚悟を決めたかのような演奏ぶりだ。一方、一緒に軍艦島に渡った労働者たちは、事前の予想に反し、地下一千メートルの危険な採炭現場で過酷な労働を強いられる。ガス爆発などの事故も発生し、また、労働者の賃金もピンハネされるなど苦難の日々が続く。また、連れてこられた女性は島内の遊郭での労働を強いられ、客から乱暴な仕打ちを受けたりもする。そんな中、労働者たちは、過酷な現実から逃れようと集会を開くなどして団結を強めていく。

 日本の敗戦が濃厚となっていくなかで、会社は数々の不当な行為を隠蔽しようとして関係書類を焼却したり、労働者たちを坑道に閉じ込めて爆破し、自らに都合の悪い事実を隠蔽しようと画策する。一方、朝鮮から派遣された光復軍のムヨン(ソン・ジュンギ)が、そうした企てに気づき、労働者たちを島から脱出させるための行動を決意することとなる。

 切迫した状況の中で、労働者たちは脱出を企てるが、それを阻止しようとする会社側と銃撃戦となり、多数の労働者が倒れる。生き残った労働者たちは、帰国すべく石炭運搬船に乗り込み、長崎港を目指すが、その日は奇しくも1945年8月9日。長崎に原爆が投下された日であり、船上からキノコ雲を見ることとなるラストシーンでエンドロールを迎える。

 本作は、ストーリーをめぐり、公開前から日本と韓国で様々な話題を呼んできた。たとえば、作品中、島から脱出するためのロープを作るために主人公や労働者たちが旭日旗を引き裂くシーンがあり、日本では「反日映画では」との評価も聞かれる。

 確かに、そのような指摘も否定はできない。しかし、リュ・スンワン監督は、全編を通じて過酷な状況を必死に生き抜く人々を描くとともにアクション的要素も盛り込んでおり、エンターテイメント作品として見ることもできよう。また、舞台となる軍艦島のセットは大がかりなものであり、多額の制作費をかけた力作として見ることもできる。本作のテーマは重く過酷だ。しかし、見終わった後はアクション大作としての演出に圧倒された印象が強い。

 軍艦島については、世界文化遺産に登録された際にユネスコからの勧告もあり、日本が2017年末までに徴用工などに関するインフォメーションセンターを設置することを表明している。その事実については本作のラストにも掲載されているが、未だに実現の見通しは立っていない。

 本作は、韓国では公開(7月26日)から8日間で500万人の観客動員を記録する大ヒットとなっている。日韓の歴史を考え、相互理解を深めるためのひとつのきっかけとして、多くの日本人にも見てほしい作品である。


『軍艦島』
 原題 군함도 英題 The Battleship Island 韓国公開 2017年
 監督 リュ・スンワン 出演 ファン・ジョンミン、ソ・ジソブ、ソン・ジュンギ、イ・ジョンヒョン、キム・スアン
 日本未公開作
 公式サイト http://www.gunhamdo2017.co.kr/

Writer's Note
 hebaragi。半年ぶりに訪れたソウルでは、『軍艦島』のほかにも、イ・ジュニク監督の『朴烈(パク・ヨル)』、ポン・ジュノ監督の『オクジャ』を見た。いずれの作品もジャンルこそ異なるが、心に伝わってくるものがあったのが大きな収穫だった。


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