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Interview ハートアンドハーツ・コリアン・フィルムウィーク 『あの人に逢えるまで』カン・ジェギュ監督 ~分断という辛さだけでなく、情緒的なものも見ていただけたら

Text by Kachi
2017/7/23掲載



 カン・ジェギュ監督の短編映画『あの人に逢えるまで』で、主人公の女性がたたずむ背景が、ゆっくりと「あの日」に帰って行く。時間は不可逆だが、人の心の時間はそうではない。それを教えてくれる唯一にして無二の芸術が映画なのである。そしてだからこそ、現実の時間は戻せないという事実を、より強く私たちに感じさせ、胸をしめつける。誰かを待つという時間が、人間の人生の中で最も悲しく純粋であることが、28分間の中に凝縮された、名匠の名にふさわしい短編映画である。

 作品の核心部分に触れている箇所があります。

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カン・ジェギュ監督


── 冒頭に引用されているのは、ヨニがバスの中で読んでいる詩ですよね。あれがどういう詩なのか、また、どうして引用されようと思ったのかお教え下さい。

「ギーターンジャリ」という題名で、インドのタゴール氏(ラビンドラナート・タゴール)の詩です。私は常日頃、詩を沢山読む方ではありません。でもタゴールの詩は個人的に好きです。この詩は、待つ人の心の切実感を凝縮している詩だと私は思います。それでその詩を使いました。

── ムン・チェウォンさんとコ・スさんをキャスティングされた経緯についてお聞かせ下さい。

二人とも韓国では有名な俳優たちなので、「短編映画で彼らのような俳優を使う必要があるのだろうか?」とも考えました。撮影期間が5日間で、準備をする時間も限られていました。私が考えているヨニ、またはミヌという人物を、適切に表現してくれる人たち、特にヨニのような人を演じるには、20代と70代の演技のバランスがとても重要なのです。若い時のほんわかとしたロマンス。そして、一人の男性を生涯待ち続ける純粋な女性の表現。それを、ムン・チェウォンという女優が常に持っている人だなと思うようになりました。先にキャスティングしたムン・チェウォンさんに一番合うのは誰かな?と思って、コ・スという俳優をひとつのフレームの中に入れた時に、1950年代という時代感、「本当に愛し合っている者同士に見えるかどうか?」という条件を総合して見た時に、コ・スが一番合っているのではないかと思いました。


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── 監督からはどのような演技指導をされたのでしょうか?

まず観客は20代のムン・チェウォン(ヨニ役)を見るのですが、ヨニは実際には70代後半です。若い女性がなぜ70代の演技をするのか? それは後から分かることなのですが、20代の役でも70代後半の演技をしていることを悟られないようにするために、お二人にそれを共有し、演技をしてくださいとお願いしました。

── 監督が撮影しながらこだわったシーンはありますか?

20代のヨニが70代後半のおばあさんだったということが、鏡に映ることで分かるシーンがあります。それをどう観客に伝えたらよいのか、かなり神経を使いました。また、どのような状況でそれを見せるのが一番いい方法なのか、特に顔が変わるということをどういう方法で見せればいいのかという点に悩みました。

── 制作過程についてお聞きします。元から女性が主人公のお話だったのですか?

そうですね。『ブラザーフッド』を撮った時に、ドキュメンタリーを見ました。戦争に行った夫を待つおばあさんのお話でした。『ブラザーフッド』では少し変えて、兄弟で待つ、というふうにしましたが、元々は、生涯ずっと戦争でいなくなってしまったおじいさんを待ち続けたおばあさんの話を描きたいと思っていました。その話をこの短編に持って来ました。

── 3人の俳優が実に役にマッチしていました。特にこの映画のクライマックスシーンは、どのように演出されたのでしょうか。特にソン・スクさんは大変なベテラン女優なので、どういった演技をお願いしましたか?

この映画で、とても大事な大切なシーンです。若いヨニにも二つあります。観客に見える若いヨニは、ミヌと別れた時のその時点でのヨニです。ヨニはその後60年間という時間が、そのままの形で止まっています。20才の時は、若い時に愛する男性と別れてそれきり時間が止まってしまい、70代の後半になった今もその時のままなのです。私は二つの顔、別れる時のまま止まってしまったヨニ、そして80を目の前にした今のヨニを描きたかったのです。初めに、「やりたいように好きに演技をしてごらんなさいよ」と言うと、必ず共通性、または相違性が出て来ます。この二つの演技、そしてこの感情を見る時の想い、これは私にとってはとても揺れ動くそういう感情でした。また二つの顔、そして感情を1シーンで同時に見られるということ、それが良かったし、これを見たかったんです。ソン・スクさんに「特にこうして欲しい、ああして欲しい」という話はしませんでした。ただこのシーンは、「二人の演技を私は編集して使いますよ」ということはお伝えしました。二人は一人のヨニだからです。若いヨニが演技する時、ソン・スクさんが見ていて、年老いたヨニを演じる時は、若いムン・チェウォンさんが見ていました。


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── 監督は、南北問題といった社会的なテーマを映画にすることが多いと思います。現在、ちょうど北に融和的と言われている新政権が誕生しました。こうしたことで、監督が映画でテーマにされてきたような「韓国社会の痛み」は、今後変化があると思われますか?

南北問題がどのように進展するかによって、監督として映画を撮る状況が変わってくると思います。ここ10年程はかなり緊張していて、南北間で話し合いというのも持たれない時期が続きました。実はこの『あの人に逢えるまで』と似た内容のシナリオで長編を考えています。それは北朝鮮での撮影が不可欠になってくる作品です。今までの政権では北で撮影するなんて、口にすることもできませんでした。ですが現在の政権では、対話、またはそれに対する努力をしているので、とても肯定的に、そして平和的に進む…。そうすると撮影も北でできる、そういう可能性も出てくるのではないでしょうか。

── 楽しみに待っていたいと思います。最後に日本の観客にメッセージをいただけますか?

(この映画には)時代と歴史と個人という三つの軸があります。歴史によって、国家の利益のために個人の生きざまが変わってきます。そういう中での個人と歴史の関係性を、見てもらえると良いかと思います。また、愛というものの価値観、一人の男性と一人の女性が、お互い生涯を通して愛し続ける。これはそういう愛のお話です。また、この愛のお話を代弁するのが「待つ」という行為です。分断という辛さだけではない情緒的なものも、一緒に見ていただけたら嬉しいです。


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『あの人に逢えるまで』
 原題 민우씨 오는 날 英題 Awaiting 韓国公開 2014年
 監督 カン・ジェギュ 出演 ムン・チェウォン、コ・ス、ソン・スク
 2017年7月22日(土)より、特集上映「ハートアンドハーツ・コリアン・フィルムウィーク」の1本としてシネマート新宿ほか全国順次ロードショー
 公式サイト http://www.koreanfilmweek.com/


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