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Review 『ビューティー・インサイド』 ~奇抜な着想から紡がれる、ありふれた恋の試練と感動

Text by Kachi
2016/1/7掲載



 誰しも恋をすると、その人に会う次の朝を待ちわびるものだ。でもたとえばもし、眠りについたが最後、もう好きな人に会えなくなるとしたら…。

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 『ビューティー・インサイド』の主人公キム・ウジンは、18歳の朝、目を覚ました瞬間から寝て起きるたびに心以外の性別、年齢、国籍さえも違う人間になるという、奇妙な体質になってしまう。初めは驚き絶望するも、やがて自らの運命を受け入れていく。彼の秘密を知るのは、母(ムン・スク)と、親友のサンベク(イ・ドンフィ)だけだった。やがてウジンは通販限定のオートクチュール家具職人として注目を集めるようになる。目覚めたら別人になってしまっているので、恋愛はいつも一晩限り。そんなウジンが、家具店に勤める女性イス(ハン・ヒョジュ)に一目で心を奪われてしまう。

 私たちは好きな相手の顔を日に何度も思い出すわけだから、その顔が毎日違ってしまうのは、なるほどこれは恋愛において究極の試練である。「恋が始まるのは外見からと考えていたし、それを皮肉的に表現してみたくもあった」と、ペク監督は語る(プレスシートのインタビューより)。「恋愛で大事なのは見た目より中身」という言葉がきれいごとなのはまぎれもない真理だ。個々人の希望通りに作るオーダーメイドの家具のように、好きな誰かの好みぴったりの自分になれたら、どんなにいいだろう。とはいえ人を愛する理由は複雑なものだ。「どうしてこの人を好きなのか?」なんて、一生解けない命題である。

 総勢123人に1人の役柄を演じさせるという突飛な筋立てに、CMディレクターの映画デビュー作と聞くと、こだわりの強い映画ファンは、監督の手腕を疑ってしまうかもしれないが、これが新人らしからぬ手堅い作りなのである。ウジンが別人の姿になる仕掛けのディテールの説明を潔く省き、彼の秘密という設定の妙によりかかることなく、むしろ二人が歩む、決して甘くない恋の道のりにフォーカスしていったことが奏功している。恋に落ちるのは簡単でも、愛が続いていくことはたやすくない。必ずしも理解してくれるとは限らなくても、好きな相手にこそ、自分のハンディキャップを知ってほしいし、受け入れてほしい。そんな、恋愛の本質だからこそ直面する難しさを描き切った監督の姿勢に、作品への真摯さが好もしい。

 俳優陣にも恵まれた。ユ・ヨンソクやチョン・ウヒ、日本の女優、上野樹里といった演技巧者を、ストーリーの要となるシーンでウジン役に据えたことで、画面がグッと引き締まる。さらにイスを演じたハン・ヒョジュは、ウジンをその奇妙な体質ごと受け入れようとする葛藤を、かすかに曇ってゆく表情で繊細に表現した。

 とんでもなく数奇な運命を背負った一人の男性と、彼を愛することになった女性がたどる恋の軌跡。ぜひ劇場で観て、心を震わせていただきたい。


『ビューティー・インサイド』
 原題 뷰티 인사이드 英題 The Beauty Inside 韓国公開 2015年
 監督 ペク監督(ペク・チョンヨル) 出演 ハン・ヒョジュ、キム・デミョン、ト・ジハン、ペ・ソンウ、パク・シネ、イ・ボムス、パク・ソジュン、キム・サンホ、チョン・ウヒ、上野樹里、イ・ジェジュン、キム・ミンジェ、イ・ヒョヌ、チョ・ダルァン、イ・ジヌク、ホン・ダミ、ソ・ガンジュン、キム・ヒウォン、イ・ドンウク、コ・アソン、キム・ジュヒョク、ユ・ヨンソク
 2016年1月22日(金)より、TOHOシネマズ新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
 公式サイト http://gaga.ne.jp/beautyinside/

Writer's Note
 Kachi。お気に入りの俳優や女優がどのシーンのウジンを演じるのかも、本作を観る楽しみにするのも良いのではないでしょうか。しかし私の大好きなチョン・ウヒがあのシチュエーションで登場するなんて!


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