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Report 「チョン・ウソン シネマナイト」 ~ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2015より

Text by 加藤知恵
Photo by Kachi
2015/6/24掲載



 6月7日(日)、ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2015の審査員として招かれたチョン・ウソンが、トークイベントを行った。チョン・ウソンといえば韓国はもちろん日本や中国でも俳優として絶大な人気を誇る一方、近年は短編映像作品の監督や長編映画のプロデューサーとしても活躍を見せている。今回のイベントでは2001年の監督作であるgodの『悲しい愛』のMVと、昨年制作の短編映画『殺し屋(原題 킬러 앞에 노인)』が上映され、その演出にまつわる裏話を語ってくれた。

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 『悲しい愛』のMVはヤクザの男(チョ・インソン)と恋人(シン・ミナ)の切ない愛をテーマにした作品で、『ばか』『知らないでしょう』という別の2曲と併せて3部で構成されている(3本をまとめたものは、『LOVE♭』として過去にミジャンセン短編映画祭などで上映)。一方の『殺し屋』は、とある老人の殺害を依頼されながらもなかなか実行しようとしない殺し屋と、その老人との不思議な関係を描く独特なタッチの作品。チョン・ウソン自身とも共通するような、アンニュイな雰囲気の中に時折現れるシュールなユーモアセンスが面白い。

 トークに先立ち、まずはキム・アジュンと共に主演した短編映画『ザ・プレゼント』(キム・ジウン監督、2009年)の上映が行われ、しばし観客はスクリーンの中のチョン・ウソンに釘づけになった。そして上映後に本人が鮮やかなブルーのスーツ姿で登場すると、会場には女性ファンの黄色い悲鳴が響き渡り、思わず司会者も戸惑う様子を見せた。「テレビ番組の取材やイベントでは、いつも楽しんでもらえたかどうか不安になる」と語る彼。今回のトークにおいても、終始誠実な態度で質問に答えつつ、観客を楽しませようとユーモアを忘れないところが非常に印象的だった。


トーク詳録


チョン:ご招待下さりありがとうございます。日本に来るのは久しぶりですが、このように皆さんと対話をする時間を下さった映画祭の方々に感謝しますし、大変嬉しく思っております。

司会:本日は監督としてチョン・ウソンさんをお迎えしていますが、まずは俳優として出演された短編映画『ザ・プレゼント』について思い出話を伺いたいと思います。

チョン:出演については私的な感情で決めました。『グッド・バッド・ウィアード』(2008年)のあと、監督はこの作品を撮るにあたってキャスティングに悩んでいたようで、僕の所にオファーが来ました。すごく頼みにくそうな感じでお願いされたので、返事を長引かせるのも申し訳ないなと思い、すぐに「やります」と答えました。ただその時点では、このようなヤクザもののアクション映画だとは知りませんでした。

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司会:短編の場合は、普段出演されている長編映画とはスケジュールが全く違うと思いますが、その辺の違いはどうですか?

チョン:休憩時間があまりありません(会場笑い)。長編とは完全に違う環境ですよね。短い時間で、凝縮された内容の映像を撮り切らなければいけないので、常に集中してエネルギーを注ぎ込むことが必要です。でも長編の商業映画のように興行面でのプレッシャーはないので、その点は自由でもあり、果敢な表現にも挑戦できると思います。

司会:キム・ジウン監督はハリウッドでも活躍されており、ウソンさんは彼の長編にも出演されていますが、ショートフィルムの演出において長編と違う部分はありましたか?

チョン:特に違いはありませんでした。サングラスで目を隠して、何を考えているのか分かりづらいという、いつもの雰囲気のままでした。監督によっては現場で激しい口調や態度で考えを示す人もいますが、キム・ジウン監督は静かにじわじわと迫ってきて、こちらの内面に深く入り込んでくるような感じの人です。

司会:今、ウソンさんに見つめられて、私もドキドキしてしまいました(会場&ウソン笑い)。少し頭が混乱していますが、早速ウソンさんの監督作品を紹介したいと思います。godの『悲しい愛』のMV、それから去年の香港国際映画祭でも上映された『殺し屋』という短編映画です。

(2本を続けて上映)

司会:『殺し屋』を監督することになったきっかけは何だったのですか?

チョン:香港国際映画祭から僕に依頼がありました。当時は『愛のタリオ』を撮り終え、『私を忘れないで』という作品をプロデュースしている最中でとても忙しかったのですが、忙しさを理由に断るのではなく、何とか時間を作って自分の作品を撮ってみようと思いました。映画の内容については、アイディアを考えている時に、通っているジムで1人のお年寄りの姿を見ました。その方は劇中の老人ほど弱々しい感じの方ではありませんでしたが、まずは老人を主人公にしてみようと思い、それからもし彼を狙う殺し屋がいたらどんなドラマが生まれるだろうと考えて、想像を膨らませました。

司会:クレジットを見ると脚本担当者の名前もありましたが、そのストーリーを基に、プロの脚本家と一緒にシナリオを作られたのですか?

チョン:スタッフと現場でストーリーを共有するためにはシナリオが必要ですよね。でも忙しくて書く時間がなかったので、僕がストーリーを口頭で説明して、それを脚本家の方にシナリオにしてもらいました。その過程で脚本家の方の想像力も加わって内容に深みも出たので良かったと思っています。本当は可能ならば現場に簡単なメモだけ持って行って撮影したかったのですが…。そういう変わった監督の一面もあります。

司会:godのMVやCMの監督もされていますが、俳優として活動しながら演出に興味を持ったきっかけは何ですか?

チョン:僕は映画に関して、学校などで体系的な教育を受けたことはありません。幼い頃から俳優を夢みていて、その後実際に俳優を始めてからストーリーについて深く考えるようになりました。その他、映画に関することは全て撮影現場で学びました。現場で会った監督や同僚、スタッフたちの姿を見ながら映画作りについて理解を深め、そのうちに自分の作品を作りたいという気持ちも自然に芽生えてきました。僕が映画に対して最初に興味を持ったのは、小学生になる前です。裕福な家ではなかったので、テレビで吹替えの洋画を見るのが唯一の楽しみでした。映画の中に出てくる人たちの姿がすごく自由に見えて、経済的にゆとりのない生活を送っている自分の家の現実から逃避できるような感じがしました。心の支えになっていたんですよね。それから成長するにつれて、それが映画というものなのだと認識するようになり、映画俳優になりたいと思い始めました。

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司会:幼い頃からいろいろな作品を見てこられたと思いますが、俳優や監督を目指すうえで影響を受けた作品や監督の存在はありますか?

チョン:僕が10代の頃、韓国では香港映画が非常に人気でした。当時はアジア全体で香港映画が人気を集めていた時期だと思います。そんな中でウォン・カーウァイ監督の作品を見るようになりました。彼の『楽園の瑕』という作品はアクション映画でありながら切ない愛を抒情的に描いていてとても印象的でした。『花様年華』や『欲望の翼』、『いますぐ抱きしめたい』といった作品からも無意識に影響を受けていると思います。具体的な点を説明するのは難しいのですが、大人になってから振り返ってみると、彼の作品には情緒的に惹かれるものがあり、きっと影響を受けているだろうなと感じます。

司会:そう言えば『花様年華』の音楽は梅林茂さんで、以前に本映画祭の審査員もして下さいました。ウソンさんの作品の音楽も非常にブルージーというか、ギターの音やムードのある曲が印象的でしたが、監督として音楽の使い方にもこだわられていますか?

チョン:そうですね。僕はストーリーを考える時、音楽を聴きながら想像を膨らませます。音楽は映画の息使いでもあり、上着のような存在だともいえます。このような台詞の少ない短編作品の場合は特に重要だと思います。

司会:この短編映画は、長編映画を監督するためのステップとして制作されたのでしょうか。それとも今後も1つのアートとして短編の制作を続けていきたいとお考えですか?

チョン:監督をやりたいと思い始めた時から、長編の監督を目指していました。特に短編を先に撮っておきたいという気持ちはなかったのですが、このような機会をいただけたので短編も撮ってみました。長編については以前から監督をすると公言しているので、準備中のシナリオも4本ほどあり、1本は既に完成しています。撮影に関してはタイミングを見計らっているところです。もちろん長編だけでなく短編も重要だと考えています。長編はどうしても商業的な面が濃くなりますが、短編は映画をより健康的なものにするために必要なジャンルだと思います。ですから今後も良い機会やオファーがあれば、短編の制作も行っていきたいです。

司会:恐縮ですが、本映画祭のコンペにもぜひ出品いただければと思います。今年はムン・ソリさんの作品もコンペに入っておりますので。

チョン:まずは今年、一生懸命審査をしてみてから考えます(会場笑い)。

司会:監督をする際には他の俳優の演技を演出する立場になりますが、同じ俳優としてどのように指導をされましたか?

チョン:キャラクターの特性についてははっきりと伝えましたが、表現方法に関しては現場の雰囲気を生かしつつ、俳優の考えに委ねました。僕が想像するキャラクター像や演技に固執して真似をしてもらうのは違うと思うので、まずは「僕がイメージしているのはこれだけです。その中でやりたいようにやってみて下さい」と伝え、観察をしていました。具体的にどうしてほしいと言うのではなく、ひたすら観察をするんです。その中で一番自然だと感じられる表現を選択しました。僕の想像を超えるようなアイディアを発見して、良い刺激になることもありました。

司会:ありがとうございました。それでは観客の方から質問を受け付けたいと思います。

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質問者1:日本に来て下さってありがとうございます。とても嬉しいです。劇中で『MUSA-武士-』の映像が流れていたのが印象的でしたが、この短編は老人が主人公で、『MUSA-武士-』のヨソルは若さの象徴なのかなと思いました。だから若い殺し屋がヨソルの姿を見ることで、老人と対比させているのかと思ったのですが、意図を聞かせていただきたいです。

チョン:監督というのは時々、映画の内容とは全く関係なく、遊び心でいたずらをすることがあります。殺し屋が映画を見る場面でどんな映像を流そうかと考えた時に、まずは自分の出演作にしようと思いました。その後キャラクターのイメージとの関連で、自然と『MUSA-武士-』のヨソルが思い浮かびました。ですので決して深い意味はありません。(日本語で)すみません。

司会:遊び心といえば、殺し屋がロッカーに行った時に、後ろにマッチョな男性の写真が貼ってありましたが、あれはウソンさんだったのでしょうか。微妙に顔だけ映っていませんでしたが。

チョン:違います。僕にとって、あそこはすごく大事なシーンだと思っています(笑)。

司会:それは大変失礼しました。

質問者2:この作品はアクションがクールでしたが、ウソンさんは韓国でアクションものにたくさん出演されていて、少し前には『愛のタリオ』というエロチックな作品にも出演されましたよね。これまでコメディタッチの作品には出演されていないと思うのですが、そういったジャンルの作品に出演したい、もしくは監督したいという気持ちはありますか?

チョン:実はロマンチック・コメディに関しては、前々から挑戦したいと思っています。ただ商業映画の中で一番難易度が高いのはロマンチック・コメディだと思うんですよね。現在韓国映画界で出回っているシナリオの中でも、ロマンチック・コメディの魅力的な作品を見つけるのは難しいですし。でも僕自身も映画を作る立場になったので、最近は真剣に考えています。どうすればロマンチックで笑える作品が作れるかなと。

質問者3:中国から来た留学生です。中国のファンを代表して質問しますが、中国のジョン・ウー監督や他の監督と一緒に、また作品を撮る予定はありますか?

チョン:ジョン・ウー監督にはすごく可愛がっていただき、有難く思っています。中国映画やアジアの合作に関してよく声をかけて下さるのですが、いつもタイミングが難しいんですよね。僕も韓国で忙しく活動していますし、1年くらい前にオファーをいただければいいのですが、監督の性格上、長く迷った末に準備が全て出来上がった段階で急に声を掛けて下さるので、なかなかタイミングが合わないんです。

質問者4:監督として、今後起用してみたい俳優はいますか? 個人的には1万ウォンで契約したという、ある方を演出されている姿を見てみたいのですが。

チョン:1万ウォンで契約した俳優というのはイ・ジョンジェさんです。酔った勢いで契約してくれました(笑)。すごくカッコいい役になるか、情けない役になるかは僕の気分次第です。僕によくしてくれないといけませんね。

司会:ちなみに監督をされている時は、どんな服装なのですか? サングラスをして怖い感じなのか、キム・ジウンさんのように破れたジーンズをはいてらっしゃるのか。

チョン:サングラスはしません。色彩的な面で影響を受けてしまうので。服装は撮影現場によって違います。市内で撮影する時は少しきちんとした格好をしますし、セットで撮影する時はラフな格好をします。

質問者5:godのMVとこの短編では、大分スタイルが違う気がしました。撮りたいシーンのイメージに合わせてキャラクターを考えるのか、それともキャラクターを作ってから背景や設定などを考えるのか、その点を教えていただきたいです。

チョン:godのMVについては、アルバム中の3曲が全て違う雰囲気の曲で、その3曲を通して1つのストーリーが完成する形になっています。今日ご覧いただいたのは、その真ん中のパートです。当時はドラマ形式のMVが流行していたので、ストーリーの深みよりは、MVらしいタイプの映像を意識しました。3曲合わせて12~14分程度の長さがあったので、以前から撮ってみたかったアンダーグラウンドな世界を背景にしました。カメラもスーパー35ミリのフィルムを使用して撮影しました。『殺し屋』については、短編映画的なテーマで撮りたいと思っていたので、最初にキャラクターを完成させてからその他を膨らませました。自分としては、単純に死にゆく老人と殺し屋の話ではなく、社会問題も込めたつもりです。家族間の断絶や物質主義への疑問といったメッセージを込めたかったので、まずは老人のキャラクターを作り上げることが重要でした。

司会:それでは時間が来ましたので、イベントはここまでです。本当にありがとうございました。


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ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2015
 期間:2015年6月4日(木)~6月15日(月)
 会場:表参道ヒルズ スペース オーほか
 公式サイト http://www.shortshorts.org/

Writer's Note
 加藤知恵。彼が2000年に監督したgodの『君が僕から去った後に』のMVでは、画面を左右半分に割って異なる映像を流すという当時としては斬新な手法を用い、その後同様の形式のMVが流行したとのこと。常に新しいことへ挑戦しようとする姿勢は、俳優として出演作品を決める際にも反映されているようだ。


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