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Interview 短編『セーフ』ムン・ビョンゴン監督 ~カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した期待の新星

Text by 井上康子
2013/12/1掲載



 今年のカンヌ国際映画祭短編部門で最高賞にあたるパルムドールを受賞した『セーフ』が、10月に開催された「フォーカス・オン・アジア&ワークショップ」で上映された。

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短編『セーフ』

 舞台はギャンブルの違法な交換所。日本で言えば、パチンコの交換所のように換金を行う所だ。そこでアルバイトをする女子大生は客に渡すべき現金の一部を着服し続けていたが、そのことに気づいたギャンブル中毒の客によって、過激で皮肉な制裁を受けることになる。空間と音響の使い方が素晴らしくて、狭く密閉された交換所、紙幣を計数する器械音などで、観る者の緊張を短時間で高めておいて、一気に終息させる手法が鮮やかだ。短編ならではのおもしろさがあることを実感させてくれた。

 「フォーカス・オン・アジア&ワークショップ」で来日できなかったムン・ビョンゴン監督が、メールで質問に答えてくれた。


── 違法な交換所に関心をもったきっかけは?

大学映画学科の同級生が書いた『セーフ』の原作がおもしろく、違法交換所に関心を持つようになった。同級生は実際に違法な交換所でアルバイトをしていた。違法という点を除けば、銀行での両替行為と何も変わらず、一般の人々は手数料をあまり気にしない点がおもしろいと思った。

── 韓国にはギャンブル中毒者が多いと聞いている。作品では詳細に語られていなかったがギャンブル中毒の男はどんな設定か?

韓国で実際にギャンブル中毒者が多いかどうかはよく分からない。男は、一ヶ月前に会社をクビになり、退職金でギャンブルを始めた日にすべてのお金を失った。独身で田舍に住む親兄弟と行き来がなく、お金を稼いで何かしたいといった夢は持ってないが、お金がないと不安という漠然とした強迫観念を持っている設定。彼はお金を手段ではなく、目的と見なしている。

── 実際の駐車場に交換所を作ったのか? 暗く、狭く、密閉された交換所がこちらの緊張感を高めてくれた。映像効果のために意識したことは?

ビルの地下駐車場に交換所を作った。あからさまに「危険な場所だ」と美術・映像表現で見せるのではなくて、「よく見かける空間なんだけど、ちょっと中には入りにくい」といった雰囲気が出るよう心がけた。

── 紙幤を数える器械音とそれに同期して男が指でコツコツたてる音により、男の焦燥や不安が感じられた。音響で配慮したことは?

指音は男の苛立ちを効果的に伝えようとしたもの。指音から計数器の音へ、そして、計数器の音から、男が金庫をハンマーで叩く音へと、音を繋げて拡大させ、男の怒りと事態の深刻さを伝えようと思った。

── お金を着服していた女子大生がセーフなBOXである金庫に隠れ、出られなくなるという結末が何とも皮肉だった。この結末に込めた思いは?

「皮肉」という側面を強調したかった。女子大生は交換所を早く辞めるために行った着服行為により、交換所のもっとも暗く奥深い空間である「金庫」に閉じこめられてしまう。これは会社勤めの友人から聞いた話、そして、そこから感じたことを反映させた。サラリーマンの友人の多くは、少しでも早く会社で稼いで独立したがる。しかし、そうやって頑張れば頑張るほど昇進してしまい辞められなくなる。早く辞めようと独立資金を銀行で借りると返済のために退職することができなくなる。結局、会社を辞めるどころかますます深く会社組織の一部になっていく。そんな皮肉としか言いようがない状況を作品に込めた。

── 金庫は本物と聞いた。最初から本物の金庫を使うつもりだったのか?

そうだ。小さい作り物の金庫では女子大生が中に入ることができないからだ。

── 女子大生役にイ・ミンジさんをキャスティングした理由は?

まず、他の作品を見て演技がうまいと思った。そして『セーフ』の女子大生のキャラクターにピッタリと感じた。彼女は、表面上は純粋で善良に見えるけれど、見ようによっては、ずる賢くも見える。そんな二面性を持っているから。


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作品とはイメージが異なるイ・ミンジさん

── 映画監督になろうと思ったのはどういう理由から?

映画スタッフの熱情的な姿がすてきだと思った。何より映画を見るのが好きなため。

── カンヌ映画祭で受賞した所感は? 受賞による環境の変化はあったか?

受賞は本当にうれしいことで、環境も大きく変わったが、平常心で次の作品に臨まなくてはと思っている。激変する周辺環境に素早く適応するのも大事だが、結局、私がすべきことは次の作品だ。これまで通り、熱心に本を読み、映画を見て、多くの人に会い、シナリオを書こうと考えている。



 返信をもらって、やはり空間と音響について明確な意図と表現手段を持っている監督だと感心した。また、友人に聞いた話から皮肉な結末を創作したということからは、慧眼とストーリーテラーとしてのセンスの持ち主であることが伺えた。パルムドール受賞後も平常心で精進している監督の次回作が楽しみだ。


ショートショートフィルムフェスティバル&アジア
フォーカス・オン・アジア&ワークショップ
 期間:2013年10月24日(木)~10月27日(日)
 会場:東京都写真美術館
 公式サイト http://www.shortshorts.org/focus_on_asia_2013/

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Writer's Note
 井上康子。『セーフ』を見て、アジアフォーカス・福岡国際映画祭2013で上映された香港映画『奪命金』を思い出した。文字通り「命を奪う金」、即ちカネの奴隷になり命を落とす人々が描かれた作品だ。無関係だった登場人物がカネのために絡んでいく構成が素晴らしく、また黒社会・金融機関で香港らしさを堪能させてくれた。


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