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News 秋の映画祭ガイド ~あなたを魅了する映画の饗宴

Text by Kachi
2016/10/26掲載



 全国各地で映画祭が開催される秋は、多くの映画ファンにとって祝祭的雰囲気に包まれる特別な季節である。

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『ケチュンばあちゃん』

 この時期の映画祭の筆頭といえば、10月25日から開催されている第29回東京国際映画祭だ。アジアの若き才能を発掘するコンペティション部門「アジアの未来」に、韓国から、チャン監督『ケチュンばあちゃん』がノミネートされている。済州島で海女一筋に生きてきたケチュンばあちゃん。ところが突然、最愛の孫娘ヘジが失踪してしまう。それから12年後、ひょっこりヘジがばあちゃんの元へ帰って来る…。アクション系サスペンスの秀作『ポイントブランク~標的にされた男~』の監督なだけあって、ただでは終わらないが、韓国映画らしいハートウォーミングさもある、1本で2度美味しい家族喜劇だ。久々にスクリーンに登場するヤン・イクチュン、やはり巧い役者である。

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『危路工団』

 11月3日から開催される第3回新大久保映画祭。『暗殺』や『ヒマラヤ 地上8,000メートルの絆』といった今年の人気作に加え、『パパ』、『危路工団』、『ある人の夢』などの日本劇場未公開の新作や、韓国ニューウェーブの代表的一本『風が吹く良い日(風吹く良き日)』の上映、そして『風が吹く良い日』のイ・ジャンホ監督ら、多彩なゲストのトークも予定されている。「ともに生きる、友好のまち」というテーマのもと、韓国だけでなく、中国、ベトナム、インド、ネパールなどの作品が、徒歩圏内で気軽に楽しめるコンパクトさが魅力だ。

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『THE NET 網に囚われた男』

 世界で作家主義を貫く映画人の祭典、東京フィルメックス。今年も11月19日から27日まで、東京・有楽町朝日ホールほかで開催される。オープニング作品は、世界的名声を得てもなお、気骨ある映画を作り続けるキム・ギドク監督の最新作『THE NET 網に囚われた男』。個性と実力を兼ね備えた俳優リュ・スンボムと初めてタッグを組み、南北分断に翻弄される一人の男の悲劇を描く。

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『恋物語』

 東京フィルメックスでは、「どうしても創らねば、という気持ちで創っている本気の作品ばかり」(林加奈子ディレクター)がしのぎを削る、コンペティション部門も注目だ。韓国映画からは2本が選定されている。イ・チャンドン監督が企画総括で参加し、韓国メディアでも早くから本映画祭への出品が報道された『私たち』は、複雑な家庭で懸命に生きる子どもたちの姿を通じ、現代の韓国社会に横たわる問題を描き出す。パク・チャヌク監督『お嬢さん』(原題、2017年1月下旬公開予定)やナ・ホンジン監督『哭声』(原題、2017年3月公開予定)など、今年を代表する韓国映画のヒット作では、子役俳優の躍動に目を見張ったが、本作はその代表格ともいえるだろう。『恋物語』は、これまで男性中心のクィア・ムービーが多かった韓国映画では珍しい、レズビアン・カップルの恋模様を真正面からとらえた意欲作。感情描写の繊細な魅力が、予告編からも十分に伝わってくる。

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『今は正しくあの時は間違い』

 11月19日より東京・多摩市で開催される「映画祭TAMA CINEMA FORUM」のプログラムの一つ、「ホン・サンス/チャン・ゴンジェ -映画でめぐる夢と出逢い-」では、ホン・サンス監督の『今は正しくあの時は間違い』と、「第二のホン・サンス」と称されるチャン・ゴンジェ監督の『ひと夏のファンタジア』を併映。独創的な映画の手法で高く評価される二人の才能に触れることができる。ホン・サンス監督の新作は、2014年の『自由が丘で』を最後に日本国内で劇場公開されておらず、『今は正しくあの時は間違い』も未だ配給が決まっていない。今年の東京国際映画祭で披露される同監督の最新作『あなた自身とあなたのこと』とともに、この貴重な機会をぜひお見逃しなく。


第29回東京国際映画祭
 期間:2016年10月25日(火)~11月3日(木・祝)
 会場:六本木ヒルズ、EXシアター六本木ほか
 公式サイト http://2016.tiff-jp.net/ja/

第3回新大久保映画祭
 期間:2016年11月3日(木・祝)~11月7日(月)
 会場:韓国文化院、歌舞伎町シネシティ広場、SHOWBOX、労音大久保会館、日本硝子工業センタービル
 公式サイト http://shinokubofilm.com/

第17回東京フィルメックス
 期間:2016年11月19日(土)~11月27日(日)
 会場:有楽町朝日ホールほか
 公式サイト http://filmex.net/

第26回映画祭TAMA CINEMA FORUM
 期間:2016年11月19日(土)~11月27日(日)
 会場:パルテノン多摩、ベルブホール、ヴィータホール
 公式サイト http://www.tamaeiga.org/2016/


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Interview 『大芝居』ソク・ミヌ監督 ~オ・ダルスは予測を越えた演技を見せてくれる俳優

Text by 井上康子
2016/10/18掲載



 アジアフォーカス・福岡国際映画祭2016で、オ・ダルス初主演作『大芝居(原題 大俳優)』が日本初上映され、監督が来日した。ソク・ミヌ監督は『オールド・ボーイ』の演出部に参加したのを皮切りに、『親切なクムジャさん』『渇き Thirst』などのパク・チャヌク監督作品で助監督を務め、本作で長編デビュー。『オールド・ボーイ』の撮影中に初めて会ったオ・ダルスが独自の演技を見せるのに引き付けられた監督が『渇き Thirst』撮影時の酒席で「映画を作る時は出演してほしい」と依頼し、彼は快諾。時間は経過したが、彼はその約束を覚えていて本作へのキャスティングが叶った。オ・ダルスの魅力や、本作に込めた思いを監督が語ってくれた。

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ソク・ミヌ監督(写真提供 映画祭事務局)


── 監督が脚本も書いていますが、最初からオ・ダルスさんを主演にと決めていたのですか?

最初からではなく、脚本を書いていく中で、演劇を20年以上やっているのに成功していないという雰囲気を漂わせていて、外見もイメージにぴったりで出演依頼しました。5年前に脚本を書き、その後、映画化の準備をしたのですが、5年の間に彼は主演ではないけど韓国映画界で欠かせない大俳優になっていて、主演でも成功すると確信しました。

── 『オールド・ボーイ』撮影中、オ・ダルスさんのどういうところに魅力を感じてファンになったのですか?

まず頭が大きくて、誰にも真似ができない個性があります。そして、彼の演技は独自の演技でとてもおもしろくて、すぐファンになりました。『オールド・ボーイ』で彼はヤクザを演じていたのですが、典型的なヤクザのイメージで演技をするのかと思ったら、彼の演技は全然違っていて、こんなヤクザがいるの?という独特な表現だったので金槌で頭を殴られたような衝撃を受けました。撮影中なので他の人たちは我慢していたと思うのですが、パク・チャヌク監督と私はよく大笑いしていました。予測できないおもしろい表現をするのです。彼の次の台詞はどうだろうと期待しました。『大芝居』に出演したイ・ギョンヨンさんも「オ・ダルスは全世界で唯一無二の俳優。自分の世界を持っている」と高く評価していました。

── パク・チャヌク監督はアドリブを使わないのでは?

パク監督の現場ではアドリブはほとんどありません。既に分っている決められた台詞なのですが、彼が言うとおもしろいのです。彼の表現は予測を越えているのです。

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『大芝居(原題 大俳優)』の韓国版チラシ

── 本作で有名俳優ソル・ガンシク(韓国のトップ演技派、ソル・ギョング、ソン・ガンホ、チェ・ミンシクから命名された)を演じたユン・ジェムンさん、そして、パク・チャヌク監督をモデルにしたカンヌ・パク監督役のイ・ギョンヨンさんはどういう経緯でキャスティングしたのでしょうか? イ・ギョンヨンさんは少し太っているけど、パク・チャヌク監督に顔が似ていると思いました。似ていることが重視されたのでしょうか?

ユンさんは素晴らしい演技をする人で、でも、悪役が多いのが残念でした。私は黒澤明監督の作品が好きですが、ユンさんは韓国の三船敏郎といえる人だと思います。それで私が作品を作る時にはカッコいい役で出てもらおうと思っていました。イさんをキャスティングしたのは彼がパク監督作品に主演したこともあり、パク監督のことをよく知っていたからです。パク監督の話し方とか、知らない人に理解してもらうのは難しいので。パク監督は絶対に怒らない人なのです。パク監督を知っているイさんが演じなかったら、怒る監督になってしまったでしょう。実際のイさんはパク監督に似ていません。髪が短くて監督らしい権威が出ないのでかつらをかぶってもらったらそっくりになったので、別の設定にせず、パク・チャヌク監督をモデルにした監督という設定にしました。オさんを含めて、主演3人の俳優さんは現場で自分の意見を主張するのではなく、私の指示に従って、でも、自分で探してそれ以上の演技を見せてくれました。ベテラン俳優と仕事ができたことは光栄でした。

── パク・チャヌク監督の演出部からスタートされましたが、それはパク監督作品が好きだったからですか?

もちろん、パク監督作品は好きですが、それまでに5本の映画の演出部に応募して落ちて、知り合いの助監督が声をかけてくれて、『オールド・ボーイ』の演出部の一番下っ端に参加できることになったのです。『オールド・ボーイ』は準備段階でだめになったり、興行的に失敗することもないと思えたので安心して参加できました。

── パク・チャヌク監督から学んだことはありますか?

パク監督を見て、自分も死ぬまで守らなくてはと思っているのは「良い監督は良い人だ」ということです。現場はトラブルが多いですが、何が起こってもそれに屈せず、懸命に乗り越える。誰かのせいにせず、新しい方法を見つけて映画製作を続ける姿を学びました。

── 主人公の設定ですが、演技があまり上手くないのが実際のオ・ダルスさんと異なっていることもあって意外でした。

あれは実力がないということではなく、演劇と映画のメカニズムの違いによるものです。主人公のような演劇俳優はすごく情熱を持っていて、最初に実力を出し切ってしまうのです。でも、映画は何テイクか撮り、状況によって良い時と悪い時があるというものです。何テイクか撮って、OKをもらっても演劇出身の人は納得できないところがあり、肩を落として帰宅するのを見てきたので彼らの姿を表現したいと思っていました。

── エンドクレジットに本作に出演した脇役の俳優さんたちのインタビュー映像が挿入されていましたが、中でも「映画に主演したが、それから2年休んでまた俳優を再開した」という俳優さんの話が印象的でした。有名俳優にはなれないかもしれないけど、演じることが好きで続けるという意思が伝わってきました。この作品の主人公の生き方につながるところがありました。

彼は私と20年の付き合いがあり、彼が活躍したのも、辞めたのも、再開したのも見て来ました。こういう作品では主人公は失敗しながら最後は成功で終わるのがほとんどですが、私はそういう終わりにしたくありませんでした。夢に向かって頑張って、失敗かもしれないけど負けではないという生き方があると思います。



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取材後記


 「失敗かもしれないけど負けではない生き方」という監督の言葉が長く胸に留まっている。「社会的な意味での成功は収めることはできなくても、人として誠実に生きていけばよい」という意味ではないだろうか。アジアフォーカス・福岡国際映画祭2016の関連企画、福岡アジアフィルムフェスティバル2016で上映された韓国映画『オフィス 檻の中の群狼』の主人公は企業のインターンで、正社員になれるかどうかという緊張した日々を過ごして、追い詰められていく。現在の韓国では大企業に正社員として就職できる人はわずかで、多くの若者が非正規職などで不安定な仕事を続ける。「負けではない」という監督の思いは作品を通じて、さまざまな状況でつらい思いをしている人々を励ましたに違いない。


アジアフォーカス・福岡国際映画祭2016
 期間:2016年9月15日(木)~9月25日(日)
 会場:キャナルシティ博多ほか
 公式サイト http://www.focus-on-asia.com/

Writer's Note
 井上康子。オ・ダルスのファン。『オールド・ボーイ』から注目していたが、信頼厚い高校教諭・夫であり、異性装者を演じた『フェスティバル』で、彼の演技に完全に参ってしまった。フリフリのレース下着を身に着けて悩む彼の表情はソク・ミヌ監督の言うように予測を越えていた。


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Report アジアフォーカス・福岡国際映画祭2016 ~四半世紀継続の力を見せる

Text by 井上康子
2016/10/18掲載



 「アジアフォーカス・福岡国際映画祭2016(以下、アジアフォーカス)」が、9月15日から11日間、福岡市内会場で開催された。26回目となる今年は24ヶ国・地域の85作品が上映された。<アジアの新作・話題作>として、韓国映画はオ・ダルス主演『大芝居(原題 大俳優)』、バフマン・ゴバディ監督最新作『国のない国旗』などが、<特別上映作品>ではマジド・マジディ監督の超大作『預言者ムハンマド』、行定勲監督『うつくしいひと』などが上映された。また、近年、急速に変化を遂げたベトナム映画の特集があり、作品上映の他にシンポジウムも開催された。大勢の映画スタッフや俳優が来福し、観客が詰めかけ、上映後のQ&Aは活発で、サイン会も賑わった。中でも、福岡で活躍する若い映画人の作品を上映した<福岡パノラマ>は若者の熱気でたいへんな盛り上がりだった。


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震災前の熊本ロケ作品『うつくしいひと』で登壇した行定勲監督(写真提供 映画祭事務局)

マジディ監督新作、観客賞受賞作は、信仰・民族の真の姿と誇りを伝える


 マジディ監督の8年ぶりの新作となる『預言者ムハンマド』(イラン)がアジア初上映された。イスラム教の祖ムハンマドの誕生から青年に至るまでを描いたスペクタクル映画。大迫力のアクションも見物だが、主軸は特別な能力を持つ者として命を狙われる主人公を守ろうとする家族の情愛と、自分を殺そうとした他民族をも助ける主人公の意志にあり、監督のこれまでの作品同様に清冽な余韻を残す。監督が本作の目標にしたという、テロや暴力のイメージに染まったイスラムではない、本当のイスラムの教えを見せたいという思いがひしひしと伝わる。

 「福岡観客賞」(観客投票1位の作品)受賞作『ハラル・ラブ』(独・レバノン)はベイルートに住む3組のカップルが恋愛・結婚生活の中で、イスラムの教えを守るべく奮闘する姿をコミカルに描いた作品。毎晩セックスを求める夫に辟易して第二夫人をあてがっておきながら、第二夫人に嫉妬するようになる妻とか、男女間の感情は万国共通なのだとイスラム教の国に親しみを感じた観客が多かったことが受賞につながったのだろう。

 「熊本市賞」(観客投票2位の作品)受賞作『セブンレターズ』(シンガポール・マレーシア)はシンガポールを代表する7名の監督により、シンガポール建国50周年を記念して作られた、7本の短編からなるオムニバス映画で各々の監督が故郷に抱く思いを描いており、強い郷愁に誘われた。エリック・ク―監督が『Cinema』で民族の壁を越えて映画を作ってきたことに対する映画人の誇りを見せたのを始めとして、多民族国家らしく、他民族との交流を見せる作品が多かった。


不安定な時代をしなやかに生きるマイノリティ、溢れるノスタルジー


 <アジアの新作・話題作>では、第二次世界大戦中にナチスの迫害を受ける主人公を詩と絵画を交えて高い作家性を持って描いた『風は記憶』(トルコ・仏・独・ジョージア)をはじめとして、過去・現在の不安定さを見せる作品が多かったが、そのような状況にあってもしなやかに生きるマイノリティを描いた作品に特に感銘を受けた。『国のない国旗』(イラク)は『酔っぱらった馬の時間』『サイの季節』などの著名な作品があり、アジアフォーカスにも馴染み深い、クルド人バフマン・ゴバディ監督の最新作。クルド人の置かれた深刻な現実の中で、子供たちに夢を抱かせようと活動を続ける実在のクルド人二人を描いたドキュメンタリーでありながら、ユーモアを湛えたファンタジックなドラマでもあり、作品世界に魅了された。監督がプロデューサーを務め、クルド難民キャンプの子供たちが脚本・監督・撮影をこなした『国境に生きる ~難民キャンプの小さな監督たち~』も本作に併せて特別上映された。『ラジオ・ドリーム』(米・イラン)は米国に亡命したイラン人を中心に、自由さを失わない、風変わりな人々が登場し、楽しめた。『プラハからの手紙』(インドネシア・チェコ)は1960年代にインドネシアのスカルノ政権が失脚し、新政権を否定したためにプラハから帰国できなくなり、そのまま老いた人々と彼らの信念を味わい豊かに見せた。『ぼくは詩の王様と暮らした』(フィリピン)はフィリピンの少数言語パンパンガ語を操る詩人に言葉で思いを伝えることの大切さを改めて教えられた。

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『国のない国旗』バフマン・ゴバディ監督(写真提供 映画祭事務局)

 恋愛映画2作品は、オープニングを飾った『再会の時~ビューティフル・デイズ2~』(インドネシア)が古都を、『この街に心揺れて』(台湾)は歴史ある街を舞台に、カップルの過去と現在を交錯させ、韓国で大ヒットした『建築学概論』のように強いノスタルジーを感じさせた。

 『凱里ブルース』(中国)は初老の男の魂の彷徨と回帰をエキゾチックな映像で表現した正統派の芸術映画。『くるみの木』(カザフスタン)は釜山国際映画祭2015でNew Currents賞(新人監督賞にあたる)を受賞した作品で、伝統的な結婚式・出産・育児を通じ、独自の寓話のような趣を持って、人の一生を語る。両作品は若い才能の到来を実感させた。


韓国映画好きにはたまらない作品:オ・ダルス初主演映画『大芝居』


 名脇役オ・ダルスの初主演映画。20年間、演劇俳優を続けているが、児童劇団で「フランダースの犬」の台詞のない犬役でしかない主人公が、話題の映画に出演して有名俳優になろうと大芝居に打って出る。パク・チャヌク監督作品の助監督を長く務めたソク・ミヌ監督のデビュー作で、パク監督の『オールド・ボーイ』『渇き Thirst』をはじめ、『ペパーミント・キャンディー』などの名作のシーンがオマージュとして使われ、パク監督をモデルにした監督が登場し、オ・ダルスと監督に縁があるユ・ジテやキム・ミョンミンがカメオ出演する。映画、スタッフ、俳優への敬意を映画にしたような作品で韓国映画ファンであれば誰もが楽しめる。主人公の息子を演じた子役の良さもあって、家族愛にもほろりとさせられた。


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『大芝居』

アジアフォーカスの足跡と未来


 アジアフォーカスはマジディ監督の監督第2作『父』を1996年に上映して以来、『天使のようなこどもたち(劇場公開題 運動靴と赤い金魚)』『カラー・オブ・パラダイス(劇場公開題 太陽は、ぼくの瞳)』を日本初紹介した。他にも、ゴバディ監督や、リリ・リザ監督(今回上映の監督作『再会の時~ビューティフル・デイズ2~』)の作品を紹介し、監督たちの成熟の軌跡を見せてきたことはアジアフォーカスの足跡のひとつだ。

 そして、2013年に作品が上映され、来福したタイのアピチャッポン・ウィーラセタクン監督との交流も続き、<福岡パノラマ>では天神アピチャッポンプロジェクト(TAP)ワークショップに集った若い映像作家が共同製作した『光の記憶“Memory of Lights”』が上映された。若者の成長も支えており、二度目の四半世紀もアジアフォーカスは成長を続けることだろう。


アジアフォーカス・福岡国際映画祭2016
 期間:2016年9月15日(木)~9月25日(日)
 会場:キャナルシティ博多ほか
 公式サイト http://www.focus-on-asia.com/

Writer's Note
 井上康子。アジアフォーカス・福岡国際映画祭2016では熊本出身の行定勲監督が熊本地震前に熊本各地をロケして製作した『うつくしいひと』が上映された。監督は「続編も作り、熊本の人を元気づける」と熱を込めて語った。映画の力を信じる思いの強さに圧倒された。


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