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Review & Interview 日本映画『つむぐもの』キム・コッビさん ~映画初主演・石倉三郎との異色の組み合わせで魅せる心の交流

Text by mame
2016/2/9掲載



 頑固な和紙職人と、気の強い韓国人。容易には相容れないふたりが心を通わせていく様を描いた映画『つむぐもの』が、3月4日より開催される第11回大阪アジアン映画祭コンペティション部門で世界初上映された後、3月19日より全国の映画館で順次公開される。脳腫瘍により半身マヒになった和紙職人、剛生役に石倉三郎、和紙づくりの手伝いのつもりが、思いがけず剛生を介護するヘルパーとして派遣されたヨナ役にキム・コッビと聞き、実力派の共演に期待が高まった。

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 キム・コッビといえば、どこか影のある神秘的な役が多いイメージだが、今回は将来を模索する若者を等身大で演じ、新境地を見せている。石倉三郎演じる剛生とは初対面から衝突しあうが、いつしか悪友のように「タケオ!」「おい、韓国人!」と呼びあい、不思議な化学反応を見せてゆく。ヨナは腹が立つと韓国語でニッコリと暴言を吐き、剛生はヨナの作る料理にぶつくさ文句を言いながらも、お互いに無理をしない、絶妙な距離感を保っている。冒頭の扶余(プヨ)の博物館では仕事中に悪態をついていたヨナだが、剛生の工房を開放して観光客にデモンストレーションを見せるシーンでは心から楽しそうで、見ているこちらも顔が綻んでしまう。
「周囲が扱いに困るほど気性の荒いふたりですが、似た者同士だからこそ、一緒に居て楽だったのではないでしょうか」
と、1月27日に東京で開かれた完成披露試写会にあわせて来日したキム・コッビさんは、インタビューでにこやかに語ってくれた。

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完成披露試写会での舞台挨拶の模様

 映画では介護の現実も描かれる。剛生が訪問介護を受ける介護施設で「福祉とは『ふだんのくらしのしあわせ』の頭文字なんですよ」と、誇らしげにヨナに語る介護福祉士の涼香(吉岡里帆)だが、一見乱暴にも見えるヨナの入居者への接し方に触れ、自分の理想としてきた介護のあり方に思い悩む。理想と現実が入り交じる介護の世界では、一概にどの方法が正しいとは言い切れない。だが、入居者を危険から遠ざけようと思うあまり、時にはその行動を制限してしまうヘルパーが多い中で、入居者の表情から、今何が求められているかを読み取ろうとするヨナの向きあい方には、ハッとさせられる。
「いつでも過剰なほど親切にされると、入居者は『もしかしたら本心じゃないのかも』と不安になってしまうのではないでしょうか。それに対してヨナは、入居者を感情のある人間として扱い、向きあっています」
 ヨナは彼女なりに剛生を支えようと奮闘するが、韓国人という事で、剛生の息子から偏見の目を向けられる。かつては剛生も偏見のかたまりだったが、ヨナとの共同生活を経て気持ちが変化してゆき、最終的に剛生の事をいちばん理解しているのは、ヨナに他ならなかったのだと気づかされる。

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 キム・コッビさんにとって日本映画への出演はこれが初めてではないので、
「いちばん最初に日本の作品に出る時には、何か先入観があったかもしれないですが、今となってはそれも思い出せません」
と語る。
「日本と韓国、両方の映画制作を経験してみて思うのは、日本の方がやや保守的かも。あと、日本人は秩序を大切にする。規則を変えようとする時に、上の人へ意見するのを少しためらったりとか。それから、これは最近韓国人にも当てはまる気がしますが、必要以上に自分を卑下する傾向があるかも。『ありがとう』と素直に言えば良いところを、『すみません、申し訳ありません』と謝ったりとか」
 鋭い指摘に思わずうなずいてしまう。調和を重んじるばかりに意見を言えなくなってしまったり、自信過剰に思われたくないと、自分を卑下してしまう事は、誰しも思い当たるのではないだろうか。

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舞台挨拶での石倉三郎さんとコッビさん

 周りの人間に感情をぶつけながら成長してゆくヨナは、今までコッビさんが演じてきた中で、最も親しみやすいキャラクターかもしれない。
「私はヨナほど怒りっぽくありませんが(笑)。私の中にある、ヨナに似た部分を引き出して表現するよう心がけました。いつも演じる時に考えるのは、様々な顔を持っているのが人間で、それは置かれた境遇や、人間関係によって変化するものだと思うんです。ここで喋っている私と、違う人と一緒にいる時の私とでは、全く違う人間のように思われるかもしれませんし。置かれた状況次第で、人間の性格は変わるものなのではないでしょうか」
 時に近寄りがたいほどのカリスマ性を漂わせたり、ふと見せる笑顔が愛らしかったり、どんなシーンでも違和感なく演じられるキム・コッビの演技の秘密は、こうした柔軟な考え方に基づいているのかと、感じられた瞬間だった。

 剛生との共同生活を経たヨナが、今後どう変わってゆくのか。それは微妙に移ろう彼女の表情から予感する事ができる。言葉で説明するのではなく、表情で見せる。随所に抑えた演出が光る作品だった。

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『つむぐもの』
 日本映画 日本公開 2016年
 監督 犬童一利 出演 石倉三郎、キム・コッビ、吉岡里帆、森永悠希、宇野祥平、内田慈、日野陽仁
 2016年3月19日(土)より、有楽町スバル座ほか全国順次ロードショー
 公式サイト http://www.tsumugumono.com/

Writer's Note
 mame。犬童監督(犬童一心監督とは特に血縁関係は無いそうです)がこだわりを見せた、相手と自分の親指を合わせる「指キッス」。見覚えがあるので、韓国では一般的なのかな?とコッビさんに聞いてみると、そうでもないようです。「でも、指切り→ハンコ(親指を合わせる)→サイン→コピー(手のひらを合わせる)はありますね」と聞き、「あ!これだったか!」と納得しました。


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