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Report 第6回別府日韓次世代映画祭 ~『観相師 ―かんそうし―』『サイビ』『ソウォン(願い)』上映、監督・俳優来日

Text by 井上康子
2014/7/8掲載



 第6回別府日韓次世代映画祭(Japan & Korea Film Festival:以下、JKFF)が3月28日から30日、別府市中央公民館を会場に開催され、今年もJKFFディレクター下川正晴氏が交流を続けてきた韓国映画評論家協会の協力により、「映画評論家協会賞」を受賞した人気俳優チョ・ジョンソク(助演男優賞)、オム・ジウォン(主演女優賞)が来日し、出演作『観相師 ―かんそうし―』が日本初上映され、『ソウォン(願い)』が先行上映された。他に『サイビ』日本初上映、『北朝鮮強制収容所に生まれて』特別上映なども行われた。


『ソウォン(願い)』 オム・ジウォン トーク


 性暴行被害に遭い、心身に障害を負った少女が両親の支えにより生きることの喜びを感じるまでに回復していく。監督が性暴行のシーンを描かなかったのは、少女に対する敬意からだろう。地方都市の慶尚南道・昌原(チャンウォン)が舞台で、理不尽な困難に耐える家族を思いやる周囲の人々の純朴な暖かさがじんわりと胸に染みる。

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オム・ジウォン

 ダマー映画祭 in ヒロシマ2013での上映時はイ・ジュニク監督と父親役ソル・ギョングの話を聞くことができたが、今回は母親役オム・ジウォンが登壇した。夫のお古のような、ダボッとしたシャツを羽織って、なりふりを構わずに家族のために働く母親と、目の前にいる美しい女優さんの姿の落差に、会場からは驚きの歓声がもれた。

 「2年前に出演依頼があった時は、独身の自分は母や妻の心を表現できないと思った。けれど、ソル・ギョングの妻で、私も共演したことがあるソン・ユナから勧められて、この役を演じるのが運命で、女優として乗り越えなくてはならないと思って引き受けた」との言葉通りに、無愛想だが愛情に溢れた母親役を完璧にこなしている。出演者の中で慶尚南道の方言が最も自然だと思っていたら、それもそのはずで「ネイティブ・スピーカー(笑)」だそうだ。彼女はゲストと観客の交流会では、別府の有名な流しの方の演奏舞台に気さくに上がってリズムを取り観客を大いに喜ばせてもくれた。


『観相師 ―かんそうし―』 監督&チョ・ジョンソク トーク


 「観相」とは、手相のように顔を見てその人の運命や性格を読みとるもので韓国では今も根強く利用されている。本作は15世紀、朝鮮王朝時代を舞台にした大型時代劇。観相師ネギョンは天才的な能力により、王の弟・首陽大君の謀反の企てを見抜き、歴史の渦の中に巻き込まれていく。

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ハン・ジェリム監督

 ハン・ジェリム監督は「歴史の大きなうねりの中では人は小さな存在に過ぎない。敗者の視線で弱い人間の空しさを描こうとした」と語ったが、ネギョンが命を懸けて謀反を阻止しようとする姿、息子を思う姿は熱く感動的だ。国民的な信頼を得た俳優であるソン・ガンホ(ネギョン役)をはじめとして、イ・ジョンジェ(首陽大君役)、チョ・ジョンソク、キム・ヘスら、カリスマ性を漂わせた大スターの絡みには眼が釘付けになる。

 チョ・ジョンソクが登場すると、満席の会場からは女性ファン一同が共感しての「カワイイー」という声が響き渡った。前夜、別府に到着した時には発熱していたそうで、まだ体調が充分回復していなかったはずだが、終始にこやかで体調の悪さを全く感じさせなかった。

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チョ・ジョンソク

 監督が「彼をネギョンの義弟ペンホン役にキャスティングしたのは、『建築学概論』で彼の演技が一番印象に残り、彼は観客が何を求めているか知っている俳優だと思ったため。また、ソン・ガンホも彼のドラマを見て良い評価をしていた」と語ると、チョ・ジョンソクも「監督の作品が好きだったこととソン・ガンホ先輩と共演したいという思いから出演を決めた」と応じた。ペンホンはお調子者かつ短気でコミカルな演技が続くが、悲劇的な結末を迎える複雑な人物であったことについては「コミカルなところも悲劇も好きで役割を考えて演じた」。さらに、ペンホンの役割について「ネギョンの息子から言えば叔父だが母の役割を果たしていたし、ネギョンに対しては妻の役割も果たしていた」となるほどと肯ける分析の冴も見せてくれた。撮影のためにトークを中座するという過密スケジュールぶりに旬の俳優の忙しさが伺えた。


『北朝鮮強制収容所に生まれて』 九州初上映


 元毎日新聞記者の経歴をもつ下川氏の「現在進行している人権侵害を放置してはならない」という強い思いがこめられた特別上映で、ゲストは「救う会」大分代表の伊藤田雄三氏だった。会場はほぼ満席で、作品や北朝鮮の問題に対する人々の関心の高さが伺えた。

 唯一の収容所生まれの脱北者とされるシン・ドンヒョク氏が彼の半生を振り返ったドキュメンタリーで、ドイツ人マルク・ヴィーゼ監督による作品。3月の公開前にシン氏が来日し、インタビューで語られた「14歳の時、母と兄が公開処刑されたが、2人が収容所から逃げる計画を密告したのは自分だった。当時は家族の愛を知らなかった」などの衝撃的な事実に震撼した。本作では、ニュース用に短時間に編集されたインタビューでは多くがカットされたであろう、過酷な体験を語り始めるまでの彼の躊躇の表情や、沈黙の時間も映し出され、彼の苦悩がさらに生々しく感じられた。


『サイビ』 ヨン・サンホ監督トーク


 JKFF執行委員長に就任したイ・ミョンセ監督が下川氏に「次世代」作家として推薦したのがヨン・サンホ監督だ。ヨン監督の前作『豚の王』を見たイ監督は強い衝撃を受けたそうだ。『サイビ』も前作同様に暗く暴力的で、強いショックを受ける映像とサスペンスを含むストーリーで展開される。次回作『ソウル駅』も本作同様アニメだが、その次の作品は実写の予定で、縦横無尽に活躍する次世代の旗手になる監督だろう。

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ヨン・サンホ監督

 ヨン監督は「子どものころからハッピーエンドが好きではない」ため、彼の作品はハッピーエンドにはならない。そういう作風ゆえに、いわゆる大ヒットにはならないが、批評家やシネフィルからは高い評価を得ている。別府でも、残念ながら観客は多くなかったが、東京など遠方からファンが来場していた。「これからも自分が作りたい作品を作っていいのか? お金を儲けることを考えた方がいいのか?」と観客に挙手を求め、「ここに千人以上いて、作りたい作品を作れと手を挙げてくれたなら、そういう作品を作ろうと思うが(笑)」と悩みを吐露。「日本のアニメを見て育ち、今敏や古谷実の影響をたくさん受けた。『サイビ』のエンディングは『あしたのジョー』へのオマージュになっている」。

 『サイビ』という韓国語は「ニセ」を意味する。ダム建設で水没予定の村に、村人が受け取った補償金を巻き上げようとする詐欺師が、若い牧師ソンチョルを表に立て、キリスト教団体としてやって来る。家族から金を巻き上げようと村に戻ったミンチョルは彼らがニセであることに気づき、暴こうとする。偽のキリスト教団であるが、救われると信じた村人は心の平安を得ていく。本物が善で、偽物が悪という単純な対立では割り切ることができない現実が鋭く描かれている。声優をつとめたヤン・イクチュン、オ・ジョンセもうまい。


日韓学生合作映画はJKFFの真骨頂


 日韓学生合作映画『8月の小さな物語』はソウル芸術大学と下川氏が教鞭をとる大分県立芸術文化短期大学の学生が、昨年8月に作ったオムニバス映画だ。出演した日韓学生が相手の言語できつい悪口を言ったりするのが楽しい作品だった。下川氏のゼミ生で映画に主演した女子学生は照明に興味を持ち、卒業後に舞台照明を行う会社に就職した。日韓交流、そして次世代の育成は着々と行われている。

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若き映画祭スタッフたち

 今年8月には、また大分市内で日韓学生の短編映画製作交流を行う予定で、併せてイ・ミョンセ監督を招待して、監督作品を上映することも検討中だそうだ。


第6回別府日韓次世代映画祭
 期間:2014年3月28日(金)~3月30日(日)
 会場:別府市中央公民館
 公式サイト http://ameblo.jp/jk-nextfilm/

『観相師 ―かんそうし―』
 原題 관상 英題 The Face Reader 韓国公開 2013年
 監督 ハン・ジェリム 出演 ソン・ガンホ、イ・ジョンジェ、ペク・ユンシク、チョ・ジョンソク、イ・ジョンソク、キム・ヘス
 2014年6月28日(土)より、シネマート新宿、シネマート六本木ほか全国順次公開
 公式サイト http://www.kansoushi.net/

『ソウォン/願い』
 原題 소원 英題 Wish 韓国公開 2013年
 監督 イ・ジュニク 出演 ソル・ギョング、オム・ジウォン、キム・ヘスク、イレ
 2014年8月9日(土)より、新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー
 公式サイト http://www.hopemovie2014.com/

Writer's Note
 井上康子。別府日韓次世代映画祭では韓国映画評論家協会所属の評論家による上映前ポイント解説が楽しかった。中でも同映画祭特別顧問で同協会常任顧問のキム・ジョンウォン氏による『観相師 ―かんそうし―』の解説は、氏の上品でユーモラスな語り口と韓国映画史を踏まえた内容に魅了された。


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