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News ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2013開催 ~キム・コッビ3年連続ゲスト参加&出演作3本上映

Text by hebaragi
2013/1/31掲載



 2月21日から開催される「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2013(以下、ゆうばりファンタ)」の記者発表が2月16日、札幌市内のホテルで行われた。通算23回、夕張市・財政破綻後の再開からは6回目を迎える今回の映画祭は「一歩その先へ」をテーマに、上映会場(8会場、11スクリーン)、上映本数(115本)ともに過去最多の規模になる予定。

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 ゆうばりファンタは5部門から構成されている。劇場公開前の話題作や北海道関連作品をいち早く紹介する「招待作品」、映画祭おすすめのファンタスティックな作品を上映する「ゆうばりチョイス」、日本映画を中心とした興味深い作品をイベントを盛り込みながら紹介する「フォアキャスト部門」に加え、コンペ部門として「オフシアター・コンペティション部門(以下、オフシアター部門)」と「インターナショナル・ショートフィルム・ショウケース部門(以下、ショートフィルム部門)」がある。

 オフシアター部門は、主として長編作品を対象としている。短編作品を対象としたショートフィルム部門は、今回からCG賞、アニメーション賞、実写賞が選定されるとともに次回作支援が実施されることになり、4部門(ホラー&サスペンス、ミステリー、ファンタジー、コメディ)20本の作品がノミネートされている。映画祭プログラミングディレクターの塩田時敏氏は「オフシアター部門に加えてショートフィルム部門に対する支援を実施することで、より多くの若手クリエーターの才能を発掘したい」と語っていた。

 韓国映画関係の上映作品をざっと紹介したい。

 オフシアター部門では、韓国で社会問題となっている家出ファミリーをテーマにした『少年物語』(ピョン・ジュヒョン監督)、チュ・ソヨンが出演しアラサー女子のやるせない気持ちを描いた日韓合作セクシャル・コメディ『ケランハンパン』(寒竹ゆり監督)の2本がノミネートされている。ショートフィルム部門では『未確認生命体』(ミン・ギョンジュン監督)、『影』(キム・スルレ監督)、『Cackile - コケコッコー』(キム・ジヘ、ナム・ボラ、イ・デハン監督)、『愛のゲーム』(チョン・ユミ監督)がコンペにノミネートされている。

 ゆうばりチョイスでは、「PiFan Youth Film Academy collectoin」として、プチョン国際ファンタスティック映画祭の第2回ワークショップ作品7本(『あがき』『それでも私は無視をする』『友よ』『バンッ!』『文通しませんか?』『シーソー』『俺たちのドンキホーテ』)が上映される。さらに、「Pisaf Master Class」として、2012年11月に開催された第14回プチョン国際学生アニメーション・フェスティバルから、『マリといた夏』のイ・ソンガン監督の新作『ひとりぼっちの怪物』と、『Green Days~大切な日の夢~』のアン・ジェフン、ハン・ヘジン監督の新作『蕎麦の花が開く頃』が日本で初公開される。

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『蒼白者 A Pale Woman』

 今回の大きな注目点は、ゲスト参加が3年連続となるキム・コッビが出演する作品が3本上映されることだ。フォアキャスト部門の『蒼白者 A Pale Woman』(常本琢招監督)は、大阪を舞台に血と硝煙の中で絶対の愛を貫く韓国人をキム・コッビが熱演。ヒロインの鮮烈な愛情が全てのアクションの引き金になる犯罪メロドラマで、彼女の新境地になる予想。ゆうばりチョイスの『クソすばらしいこの世界』(朝倉加葉子監督)は「ホラー秘宝」の仕掛け人・山口幸彦プロデューサーが、夕張でキム・コッビと出会ったことがきっかけで企画がスタートした青春ホラーだ。また、4人の若者の人間模様を描いた『1999、面会~サンシャイン・ボーイズ』(キム・テゴン監督)の上映も予定されている。『息もできない』で知られるキム・コッビだが、これまでの「ゆうばりファンタ」でも『いま、殺しにゆきます』、『恥ずかしくて』などの出演作が上映され、会場には入場前に長蛇の列ができる人気ぶりだった。今回も彼女の演技と素敵な笑顔が多くの観客を魅了することだろう。

 ゆうばりファンタでは、2011年にオフシアター部門でグランプリを受賞した『エイリアン・ビキニの侵略』(オ・ヨンドゥ監督)をはじめ、毎年のように韓国映画が各賞を受賞してきており、今回も大きな期待がかかる。とりわけ、昨年はコンペの対象ではなかったものの秀作が目立ったショートフィルム部門での受賞を期待したい。初期の頃から韓国映画を意欲的に紹介してきたことで知られる「ゆうばりファンタ」。今年はどんな作品やゲストとの出会いがあるのか、楽しみである。


ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2013
 期間:2013年2月21日(木)~2月25日(月)
 会場:北海道夕張市内
 公式サイト http://yubarifanta.com/

Writer's Note
 hebaragi。北海道在住。ゆうばりファンタへの参加は今回で10回目だが、毎回、今後の活躍が見込まれる若手女優を発見するのも楽しみのひとつ。今年も「降り積もる雪を溶かすくらいの熱気で盛り上げてきたい」と、ひとり決意表明の日々。


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Report ソウルの映画館から ~『タワー』でソン・イェジンの魅力再発見

Text by hebaragi
2013/1/26掲載



 2012年末、『タワー』が韓国で公開された。ソン・イェジン初のパニック映画、ソル・ギョングとの共演や大がかりなCGなど話題も多く、クリスマスにあわせた公開初日からたくさんの観客を集めているというニュースを聞き、週末の休みを利用してソウル行きの便に乗った。

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地下鉄「忠武路」駅前にある都市型シネコン「大韓劇場」

 ソン・イェジンの主演作品はほぼ一年に一本のペースで公開されている。2011年末には韓国で『恋は命がけ(原題 不気味な恋愛/2013年春日本公開予定)』が封切られた。ホラーの香りのするラブコメディという変化球な作品だ。彼女主演のラブコメは『君に捧げる初恋』『ナンパの定石』などが知られているが、『恋は命がけ』での彼女は、今までとは「はじけ感」や「突き抜け感」が違い、存分に持ち味を発揮していた。

 ソン・イェジンの魅力をひと言で表現するのは難しいが、「七変化の魅力」とでも言ったらよいだろうか。「はかなさ」と「強さ」、「優しさ」と「冷たさ」、「あどけなさ」と「妖艶な美しさ」、「光」と「陰」が渾然一体となった魅力とも言える。純愛、ラブコメ、時代劇、サスペンスなど出演作品のジャンルの多彩さは彼女の確かな演技力の賜物だ。以前、東京で開催されたファン・ミーティングやソウルでの舞台挨拶で見た彼女は天使のような微笑が印象的で、あまりの美しさに観客からため息が聞こえてきたほどだった。

 『タワー』は、誰もがひとときの夢を見るクリスマスの夜、108階建の高層ビルが舞台になっている。名曲「ホワイト・クリスマス」が流れる中、大規模火災という予想のつかない事態に翻弄される人々をめぐる人間模様がテーマだ。パニック映画の魅力は、やはり大がかりな特撮シーンだろう。『タワー』では全編を通してCG技術の臨場感に圧倒された。実在しないビルを空撮しているシーンの映像はCGとは思えない完成度。ビル火災は避難するのが難しいという事実に気付かされたのも発見だった。通常の火災とは異なり、火との戦いだけでなく、水とも戦い、閉じ込められた空間から脱出し、限られた時間内で地上へ降下しなければならないからだ。

 予想に反し、ソル・ギョングをはじめとする消防士の存在感は前面には出ておらず、消防本部の責任者を演じるアン・ソンギの登場シーンもそれほど多くない。むしろ、高層ビルにあるレストランのマネージャーを演じるソン・イェジンとビルの管理責任者役のキム・サンギョンのふたりを中心にストーリーが展開していくので、ラブストーリーという見方もできる。ソン・イェジンは、自らと愛する者、そしてビル利用客の生命を守るため、次々と的確に判断し素早く行動につなげていく演技が秀逸で、これまでの彼女にはない魅力を感じた。公開から一ヶ月足らずで観客動員500万人を突破した『タワー』。『TSUNAMI ツナミ』以来のパニック映画のヒット作になりつつあるようだ。日本公開に期待したい。

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『タワー』のチラシ5種。チラシはお土産として重宝するが、詰め込みすぎると強烈に重くなるのが難点…

 滞在中は他にも映画を見た。コ・スが演じる消防士を主人公にした『絆創膏』はテンポよく展開するラブコメで、笑いを誘うシーンも多く、楽しく見ることができた。また、筆者のお気に入り、光化門にあるミニシアター「スポンジハウス」では荻上直子監督の『レンタネコ』を鑑賞。驚いたことに、チケットカウンターに行列が出来るほどの人気で館内も満席だった。以前から荻上監督の作品がソウルで人気を集めていることは知っていたが、日本映画の上映自体が珍しかったひと昔前のことを考えると感慨深い。最近は、往復の機内でも韓国映画を見ることができる。今回は『ハナ 奇跡の46日間』を鑑賞。ペ・ドゥナとハ・ジウォンの渾身の演技が印象に残るとともに、20年後の今もほとんど変わっていない南北関係について考えさせられる一本だった。

 ソウルの映画館事情についてふれておきたい。この1~2年で観客のマナーが急速に良くなった。以前なら本編がスタートしてもおしゃべりをしている観客が少なくなかったが、最近はほとんどの観客が静かに鑑賞している。それから、ひとりで見ている観客が増えたのも大きな変化だ。以前ならチケットカウンターで枚数を聞かれ「一枚」と答えると劇場スタッフに怪訝な顔をされたものだが、最近では若い女性がひとりで見ている光景も珍しくない。一方、あまり変わっていないのは、シネコンでエンドロールがスタートすると観客が帰り始める光景だ。ただし、これは劇場スタッフが早々と場内照明を点灯し「お帰りはこちら」などとアナウンスしている影響が大きい。その証拠に、エンドロールが終わるまで照明を点灯しないミニシアターでは最後まで席を立たない観客がほとんどだ。

 帰国の日、仁川国際空港のターミナルと空港駅をつなぐ通路を何気なく歩いていると、前回なかったシネコンがオープンしていた。2スクリーンだが、悪天候などにより空港で長時間過ごさなければならない時には重宝することだろう。ちなみに、ソウルのもうひとつの空の玄関、金浦国際空港には数年前に本格的なシネコンがオープンしている。行くたびに変化と新たな発見があるソウルでの映画鑑賞。次回も楽しみだ。


Writer's Note
 hebaragi。北海道在住。ソウル滞在中、食事の時間以外はほとんど映画館にいることが多い。知人から「どこに行って来たの?」と尋ねられ「映画館」と答えて苦笑されることも。帰りの荷物が映画のチラシであふれているのはいつものこと。ちなみに『タワー』のチラシ5種類全てをゲットしたのが今回の大きな収穫だった。


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Review 『王になった男』 ~権力に興味を持たない影武者

Text by 井上康子
2013/1/23掲載



 朝鮮王朝の時代を、史劇の重厚さにシットコムを彷彿とさせるユーモアも交えて描いた大作。実在した15代目の王「光海(クァンヘ)」と、彼の影武者ハソンを、イ・ビョンホンが一人二役で演じ分け、人々が望む王の姿も示して、韓国では国産映画歴代興行成績3位になった。長編デビュー作『麻婆島』を大ヒットさせ、前作『拝啓、愛しています』が昨年末から日本で公開されているチュ・チャンミン監督の最新作。王宮が舞台だが活躍しているのは王族ではなく、王宮で働く人々だ。市井の人を見つめる監督の視線は温かい。

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 光海は虎視眈々と王の命を狙う大臣のパク・チュンソ(キム・ミョンゴン)らの存在に怯えている。毒を盛られるおそれから食事もろくに摂れず、影武者を探し出すように命じる。下層階級に属し、風刺的に光海をものまねして食いぶちを稼いでいたハソンは王と瓜二つで、極秘の代役を務めることが命じられる。

 王とハソンが対面する場面は一人二役の見せ場だが、イ・ビョンホンの演技は鳥肌が立つ程、見応えがある。我が身を守ることしか考えない傲慢な王と恐怖に怯えるハソンは声も顔つきも全く異なり、同じ俳優が演じているとは到底思えない。厳密な言い方をすれば「ハソンが演じる王」も含めると彼は三役を巧みに演じ分けている。

 他の旬の俳優たちの演技も注目に値する。シム・ウンギョンは腐敗した地方官吏の取り立てで家族が離散したために、毒見役の女官になったサウォルを、キム・イングォンは有能で忠実な護衛官ト武将を演じて、各々強烈な印象を残している。また、チャン・グァンは『トガニ 幼き瞳の告発』の加害校長役のイメージを一新し、ハソンが影武者であることを知りながら彼の知恵袋となる、温和なチョ内官を好演している。本作で最も輝いているのは権力を持たず、与えられた使命を懸命に果たすこれらの人々だ。

 ハソンは金のために影武者を引き受けたに過ぎなかった。けれど、私利私欲に走る官吏や大臣たちを目にし、サウォルの苦悩を知り、虐げられている人々を助けたいという思いから、次第に真の王へと変貌を遂げていく。そして、本作はメロドラマでもあり、王妃(ハン・ヒョジュ)に対する恋も切なく描かれている。ハソンはサウォルに対しては優しい兄で、ト武将に対しては思いやりのある上司で、チョ内官に対しては甘えん坊の甥で、王妃に対しては恋する男で、さらにカリスマあふれるリーダーである。トップスターであるイ・ビョンホンの多様な姿が堪能できるのは練り上げられた脚本のおかげだ。

 王が唯一信頼している側近のホ・ギュン(リュ・スンリョン)はハソンを見つけた人物で、彼の教育係である。他人の眼がある時は影武者を上座に座らせ、そうでない時は下座に座らせるのだが、混乱から位置が逆転するというシットコムのような場面が何度も繰り返される。ハソンが大勢の女官の前で排便を余儀なくされることも笑いを誘う場面として描かれた。これらの笑いは、実質的に意味のない権威付けに対する監督の嘲笑だろう。

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韓国版ポスター 左が初期の版、右が後に出た版。イメージが全く異なる。

 本作の韓国でのポスターは当初、黒を基調とした暗いイメージのもので、筆者は「影武者が王の富と権力を欲する作品に違いない」と考えた。その後、ポスターも明るめの色調のものが出たが、実際の内容も、予想を心地よく覆すものだった。ハソンは王が所有しているものを何一つ欲しない。ただ、子どものように好奇心を持つだけだ。これは長編監督デビュー作『麻婆島』で、ロトの当たりくじを求めて島に来た者たちが、農業で自給自足をする、文字通り地に足の着いた生活をする老婆たちに、程なく取り込まれたことを見せて以来、チュ・チャンミン監督が一貫して示してきた思想の表れである。

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日本のチラシは豪華4ページ二つ折り。裏面はイ・ビョンホンの二役を強調している。

 昨年の大統領選では、格差と競争に疲憊した韓国社会がどのようなリーダーを求めるかが話題になった。本作は選挙戦中に公開されていたこともあり、虐げられた人々の思いに応えたハソンを理想のリーダーと見なす報道も見受けられた。

 権威的なことを避け、寡黙に使命を果たす市井の人々を見つめるチュ・チャンミンの作品は、現在の韓国社会が強く求めるものである。彼の活躍は今後も続くだろう。


『王になった男』
 原題 광해, 왕이 된 남자 英題 Masquerade 韓国公開 2012年
 監督 チュ・チャンミン 出演 イ・ビョンホン、リュ・スンリョン、ハン・ヒョジュ
 2013年2月16日(土)より、新宿バルト9、丸の内ルーブルほか全国ロードショー
 公式サイト http://becameking.jp/

Writer's Note
 井上康子。福岡市在住。観たい作品が地元で上映されず、シネマコリアの記事を楽しみにされている方がいらっしゃると伺っています。そういう声を励みに、作品の良さをお伝えできるよう今年もがんばります。





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News 誰も抗えないアノ味の魔力を描いたイム・サンス最新作『蜜の味 ~テイスト オブ マネー~』、「未体験ゾーンの映画たち2013」にて上映

Text by Kachi
2013/1/19掲載



 1月12日(土)、「未体験ゾーンの映画たち2013」がヒューマントラストシネマ渋谷(東京)とシネ・リーブル梅田(大阪)で初日を迎えた。これは、海外では高評価だが、日本では劇場公開されにくい話題作を選りすぐるプログラムで、昨年に引き続いての開催となる。まだ日本で誰も知らない、自分だけの一作を見つけたい映画ファンにおすすめしたい企画だ。韓国からは、第65回カンヌ国際映画祭コンペティション部門にノミネートされたイム・サンス監督『蜜の味 ~テイスト オブ マネー~』がラインナップされている。

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 イム・サンスといえば、中流家庭が崩壊する恐怖を独特な雰囲気で描いたキム・ギヨン『下女』(1960年)を原案にした『ハウスメイド』(2010年)があり、今回はその続編的作品だ。

 注目したいのは、この3作品の「家」が、韓国社会を端的に反映していることだ。公示価格に即して毎年「一番高い家」が発表され、そのランキングに国民が強い関心を寄せる韓国。『下女』の主人公の音楽教師は、2階建てマイホームを持ち、家政婦を雇っているが、1959年に住居の価格が上昇したことで、人々は「家」を最も信頼性の高い資産と認めていた。『ハウスメイド』、そして『蜜の味』の舞台は、超がつくほどの上流家庭。家が財力の証しなのは日本も同じだが、「上流」「下流」という、埋まることのない階級差が厳然とある韓国では特に豪邸は人々の強い羨望と妬みの的になる。

 『ハウスメイド』『蜜の味』は、ともに家を舞台に繰り広げられる「持つ者」と「持たざる者」との階級闘争がベースだが、さらに『蜜の味』は、一度「お金の味」を覚えた両者の執着心を露悪的に綴る。韓国最高峰の金持ちの家がどんなものか、のぞき見する楽しみもあり、ドロドロとした人間模様の観察は、行儀悪いからこそ<蜜の味>だ。

 『蜜の味 ~テイスト オブ マネー~』は、1月19日(土)~1月25日(金)まで大阪のシネ・リーブル梅田、2月17日(日)~2月22日(金)までヒューマントラストシネマ渋谷にてそれぞれ上映。「未体験ゾーンの映画たち2013」は4月以降、静岡・千葉ほか全国で順次開催予定となっている。


未体験ゾーンの映画たち2013
 1月12日(土)~3月22日(金)@ヒューマントラストシネマ渋谷
 1月12日(土)~2月8日(金)、3月9日(土)~3月29日(金)@シネ・リーブル梅田

『蜜の味 ~テイスト オブ マネー~』
 原題 돈의 맛 英題 The Taste Of Money 韓国公開 2012年
 監督 イム・サンス 出演 キム・ガンウ、ペク・ユンシク、ユン・ヨジョン、キム・ヒョジン
 未体験ゾーンの映画たち2013上映作
 韓国版公式サイト http://money2012.kr/

Writer's Note
 Kachi。1984年、東京生まれ。図書館勤務。年末、パク・チャヌクの『復讐者に憐れみを』をスクリーンで初めて鑑賞。伝わる痛さはDVDの倍以上でした。


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Column 謹賀新年! 「2012年 私の3本」

2013/1/9掲載



 遅ればせながら、明けましておめでとうございます。

 シネマコリアのライター陣が、2013年を見据えつつ昨年を振り返って「私の3本」をお届けします。2012年に見た韓国映画(劇場、映画祭、DVD、TV、韓国で鑑賞、新作・旧作など何でもオーケー)から各自が自由にテーマを設定して、とっておきの3本をチョイス。

 皆さんのお気に入りの作品は入っているでしょうか?!

 2013年も皆様が素敵な韓国映画と出会えますよう、願いを込めて。


井上康子

 年が明けても私の心に留まったままで、今年、日本でさらに注目してほしい作品。『はちみつ色のユン』は、国際養子という社会問題を描いているだけではない。アイデンティティの模索、心の成長という人生の問題をリアルに描いている。個々人の人生の悩みを解決してはくれないまでも、励まし、歩みを促してくれる名作。『子猫をお願い』『もし、あなたなら~6つの視線』のチョン・ジェウン監督によるドキュメンタリー『語る建築家』はソウルで見た。建築家チョン・ギヨンの活動を晩年のインタビューや建築物によって紹介し、ガンを患っていた彼が亡くなるまでの過程も描いている。仕事や人生の意味を考えさせてくれる秀作。アジアフォーカス・福岡国際映画祭で上映された『バラナシへ』は、登場する女性たちの悲しみが作品独自の破壊的なエネルギーによって心に焼き付けられて消えない異色作。

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『はちみつ色のユン』 ポレポレ東中野、下北沢トリウッドで上映中&順次全国公開


hebaragi

 女優の存在感が印象的だったものを3本挙げる。韓国映画の観客動員記録を更新した『泥棒たち』では、チョン・ジヒョンが縦横無尽に活躍するアクション・シーンが楽しい。「ルパン三世」の峰不二子を彷彿とさせるような彼女の衣装も見どころのひとつで、ファンにとってはサービス満点のシーンの数々がストーリーを華やかに彩る。『白夜行-白い闇の中を歩く-』では、これまで純愛やラブコメの印象が強かったソン・イェジンがイメージを大きく覆す「屈折した愛」の形を演じ切り、新たな魅力を解き放つことに成功した。彼女の「氷の微笑」を日本版ドラマでの綾瀬はるかや映画版の堀北真希と比較してみるのも興味深いだろう。キム・ギドク監督がベネチア国際映画祭で最高賞を受賞した『ピエタ(原題)』では、聖女と悪女が同居しているかのようなチョ・ミンスのミステリアスな表情が見る者の心に深く迫り、キム・ギドク ワールドの魅力をさらに高めている。

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『ピエタ(原題)』 今夏、Bunkamuraル・シネマにて公開予定


加藤知恵

 2011年に新人賞を総なめにし、2012年も猛進を続けた若手俳優イ・ジェフンの出演作から、ジャンルも規模も異なる作品をピックアップ。まず彼の長編初主演作であり、繊細で不安定な思春期の高校生を丁寧に演じた『番人/Bleak Night』。インディペンデント映画としては異例の2万人を動員し、国内外の映画祭でも高評価を受けた。そして若き中隊長役として一気に知名度を高めた出世作『高地戦』。心理戦の秀逸な描写により、いわゆる戦争ブロックバスターとは一線を画す傑作だ。最後は他の2作とはイメージを一新、恋愛に奥手で純粋な男子学生の役で女性の心を掴んだ『建築学概論』。この作品は「初恋ブーム」を巻き起こし、ここ数年不振だった韓国の恋愛映画に新たな潮流をもたらした。作品の質・量ともに充実し、かつてないほどの盛り上がりを見せた2012年の韓国映画界。10月末に入隊したイ・ジェフンが復帰する2年後もこの勢いが続いてくれることを願う。

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『建築学概論』 初夏、新宿武蔵野館、シネマート心斎橋ほか全国順次公開


Kachi

 傑作に埋もれてしまうマニアックな3本を選出。『人類滅亡報告書』は、人類滅亡のディストピアとユートピアを、キム・ジウン、イム・ピルソンの2人が描く。韓国映画にはめずらしいゾンビも登場する壮大な悪ふざけと、端正な物語のオムニバスを大いに楽しんだ。キム・ギヨン『玄海灘は知っている』は、特集上映「アジア映画の森」で鑑賞。戦争の悲惨さと差別がテーマだが、様相はホラーか怪獣映画。しかし、計算されたセリフと悪趣味さは唯一無二と改めて実感した。タイトルがすごい『カエル少年失踪殺人事件』。猟奇的雰囲気はあるが、実は「センセーショナリズムの犠牲」に切り込んでいる意外さに驚いた。ジャンル分けできない怪作だった。社会派の名作が続く韓国映画だが、もっとハチャメチャなカルト作も見たい。今年公開の『ヨンガシ 変種増殖』に期待している。

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第25回東京国際映画祭<アジアの風>部門で上映された『人類滅亡報告書』


西村嘉夫

 「私の3本」は『ワンドゥギ』『サニー 永遠の仲間たち』『合唱/ドゥレソリ』です。大の好物、青春映画から選びました。特に『合唱/ドゥレソリ』はオリジナル楽曲の音楽性も抜群! ハム・ヒョンサン先生からいただいたサントラCDが今でもヘビロテしてます。2012年はシネマコリアにとっても変化の一年になりました。新たにお二人からレビュー執筆の申し出を頂戴したのをきっかけに、インターネットを通じた情報発信活動は、情報中心から記事中心に。ウェッブ、メルマガをマイナーチェンジし、ツイッターの正式運用も始めました。シネマコリアは自発性重視の団体ゆえ、一個人の「これをやりたい!」という強い思いがそのまま団体の活動につながっていくのだということを再確認しました。2013年も韓国映画が、私たちの生活にどんな出会いと変化、そして潤いをもたらしてくれるのか、楽しみにしています。

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異例のロングランとなった『サニー 永遠の仲間たち』



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Interview 『グレープ・キャンディ』 キム・ヒジョン監督 ~ある女性の不安定な心と成長物語

Text by Kachi
2013/1/5掲載



 東京フィルメックス2007上映作『13歳、スア』で、思春期の少女の心の機微を丁寧に追ったキム・ヒジョン監督の新作『グレープ・キャンディ』が、第13回東京フィルメックス(2012年11月23日~12月2日@有楽町朝日ホールほか)で上映された。

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 主人公の女性ソンジュ(パク・チニ)が中学生時代についた、いたいけな嘘は、ただ自分が友人に愛されているか不安だったからだが、聖水大橋崩落事故と絡んで思いもよらぬ悲劇を呼ぶ。さらに、過ちを認める怖さから記憶を失い、大人になってまた同じ嘘を繰り返してしまう。だが中学時代の友人ソラ(パク・チユン)との再会が彼女を変えていく。

 過ちと向き合い、受け入れる過程でソンジュが失ったものは大きかった。しかし、大都会の雑踏に入っていくソンジュの背中には、大人の女性として自立して生きていける強さを感じた。


インタビュー

── ソンジュの記憶の断片をフラッシュバックで見せていましたが、鏡やガラスを使った映像には、どのような狙いがありますか。

ソンジュの心の奥深いところ、忘れている過去を映し出そうとしました。例えばソンジュが嘘をつくところでは、割れたガラスに彼女の顔が映っていますが、何らかの破片・亀裂で、彼女の心理状態を表そうとしました。

── 映画のワンシーンに、実際の事故の写真が使われています。

新聞記事の写真を著作権料を払って使いました。ただし、写真をそのまま使ったのではなく、CGをかけています。ソンジュの記憶の断片という設定でしたので、ある箇所はぼかしたり、バスのところを目立たせたりしました。

── 印象的なラストには試行錯誤があったのでは?

前作『13歳、スア』もそうでしたが、私はいつも、想像でしかない世界のままで映画が終わるというのは嫌なんです。ソンジュは現実の日常を生きて、その中で変わっていかなければならない人物です。だからあのような終わり方を選びました。またラストシーンでは、大勢の中の一人としてソンジュがいるのですが、「皆さんももしかしたらそうなのかも知れない」という思いを込めています。

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ティーチインの模様 中央が監督

── 監督は、ソウル芸術大学卒業後、ポーランドの国立ウッチ映画大学に在学した経歴がありますが、ソラの外国暮らしのエピソードはその反映でしょうか。

私とソラは外見は違いますが(笑)、経験をいくつか反映することになりました。というのも、ポーランドに7年いた中で、実際ルームメイトがケニア人だったんです。そのルームメイトも自然が恋しくて仕方がなく、暇さえあれば森に行きたがっていました。またこの脚本はフランスで書いたのですが、「ソラがフランスにいた」という設定でその経験も生かされています。

── 少女たちがつく嘘には、何か元ネタがあるのですか。

私が子供の頃、仲がいい子が3人いまして、彼女たちによくいたずらを仕掛けていたのですが、あるとき「隣の街に引っ越す」と嘘をついてみたんです。中学の頃って自分がどれだけ愛されているか知りたいものなんですよね。自分はどれだけみんなにとって必要なのか確認したいんです。

── 次回作について教えて下さい。

今までは低予算のものが多かったのですが、次回作はもっと大衆的で、ノーマルな予算枠の作品になる予定です。内容はファンタジー・メロドラマで、元パイロットが男性主人公。他に10代後半の女の子も登場します。とはいっても、キム・ヒジョンが書くものなのでそういう(私の個性が出た)シナリオになるでしょう。今まで以上に大きなどんでん返しがありそうな作品なので、大衆受けはあると思います。第一稿が出来上がったところなので帰ったら手直し作業に取りかかりますが、今は東京フィルメックスを思い切り楽しみたいですね。




第13回東京フィルメックス
 期間:2012年11月23日(金・祝)~12月2日(日)
 会場:有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ 日劇、東劇
 公式サイト http://filmex.net/

『グレープ・キャンディ』
 原題 청포도 사탕: 17년 전의 약속 英題 Grape Candy 韓国公開 2012年
 監督 キム・ヒジョン 出演 パク・チニ、パク・チユン、チェ・ウォニョン
 第13回東京フィルメックス・コンペティション部門招待作
 韓国版公式サイト http://blog.naver.com/gg_candy

特集 第13回東京フィルメックス
 Report 第13回東京フィルメックス ~女性の成長・美しさ・強さを考える4本
 Interview 『グレープ・キャンディ』 キム・ヒジョン監督 ~ある女性の不安定な心と成長物語

Writer's Note
 Kachi。1984年、東京生まれ。図書館勤務。キム・ヒジョン監督は日本語もかなり理解できる方で、インタビュー中、私の質問を通訳を待たずに「そうそう!」と相づちを打たれることもしばしば。割愛しましたが、ソンジュの恋人のセリフについての質問から話があらぬ方向へ転がっていくなど、楽しい取材となりました。


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Report 第13回東京フィルメックス ~女性の成長・美しさ・強さを考える4本

Text by Kachi
2013/1/5掲載



 昨年末、韓国で朴槿恵(パク・クネ)が大統領に当選した。強い家父長制と男権社会のイメージがある韓国で、初の女性大統領が生まれることに対し、変化のきざしを感じずにはいられなかった。そんな情勢を反映しているわけではないだろうが、去る11月に開催された第13回東京フィルメックスで上映された韓国作品は、奇しくも女性を主題にした秀作が揃っていた。

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ティーチインの模様 『私には言いたいことがある』のイン・リャン監督

 オープニング作品は、シネマート新宿で特集『ホン・サンス/恋愛についての4つの考察』も開催され、再び注目が集まったホン・サンスの新作『3人のアンヌ』。映画作家を目指すウォンジュ(チョン・ユミ)が書いている脚本は、「アンヌ」の名を持つ3人のフランス人女性(イザベル・ユペール)が異国の地・韓国で織りなす出会いとひとときの恋愛。ウォンジュとその劇中劇の主人公であるアンヌは、入れ子構造の枠をたやすく越え、ニアミスを繰り返し、妙な笑いを誘ってくる。軽やかなストーリーの中、愛の痛手を受けてもアンヌの後ろ姿は凛としている。ホン・サンス映画の女性像に新たな美しさが加わった。

 コンペティション部門『グレープ・キャンディ』の背景になっているのは、1994年10月に起き、通学途中の女子学生など多くの死者を出した聖水大橋崩落事故だ。この事件は、後に起きた大邱市の地下鉄工事現場ガス爆発事故(1995年4月)、三豊百貨店崩落事故(1995年6月)とともに、災難管理法が制定されるきっかけとなった。実はパク・チャヌクの『オールド・ボーイ』で、オ・デスが監禁部屋で見ているTVニュースにもこの事故報道がある。韓国の多くの人に知れ渡っている衝撃的な出来事だったのだ。

 『グレープ・キャンディ』は、聖水大橋崩落事故にショックをおぼえたキム・ヒジョン監督が、トラウマを抱えて生きる女性の心情を等身大で描いた作品だった。ちなみに監督は「観客の皆さんへ」と、映画に登場する青ブドウ飴を持って来て下さった。一緒に来日された男性主人公、チェ・ウォニョンさんとともに親しみやすい人柄で、上映後のサイン会は大にぎわいだった。

 特別招待作品、キム・ギドクの復帰作『ピエタ(原題)』。非道な借金取りカンド(イ・ジョンジン)のもとに現れた、母を名乗る女(チョ・ミンス)。かつて彼を捨てたことをひたすら詫び、失った絆を取り戻すように世話を焼くが、彼女の潤んだ瞳は、心の奥底を雄弁に語っていた。母は命がけの愛を子に捧げ、子供もそれに応えるように母を求め、無条件で甘える。そこに存在するのは「慈しみ」だけではないことをギドクはえぐり出し、劇薬のようにして提示した。

 映画祭を欠席したギドクは、上映前のメッセージビデオで「始まって20分くらいはとても辛いが、どうか最後まで見て欲しい」と話したが、ラストまで貫かれた母性愛の宿命の痛みは、観客の誰もが感じたことだろう。見事、観客賞を獲得した。

 『チョンジュ・プロジェクト2012』は、毎年気鋭の監督3人を選出してオムニバス映画制作を依頼する、全州(チョンジュ)国際映画祭の看板企画。その中の一本、中国のイン・リャン監督の『私には言いたいことがある』は、『ピエタ(原題)』に呼応するかのような重厚な一作だ。

 2008年に上海で起きた警官殺害事件で逮捕された青年ヤン・ジア。理由もなく精神病院に収容された母ワン・ジンメイは、退院後にヤン・ジアの死刑判決を知る。十分な法的手続きを踏まない裁判。規制される報道で真実は何一つ分からない中、「私には事件のことで証言することも、言いたいこともある」と、ひたすら息子に会おうとする。

 ジンメイは、ほとんど激しい様子を見せないが、行き場のない感情を、息子が連行されてから無情に過ぎた歳月にぶつける。作品の画は事件の闇のように暗く沈黙しているが、悔しさや怒り、悲しみをか細い体からあふれさせる母の姿は厳かで、言葉以上に多くを訴えかけてきた。

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映画祭ポスター

 キム・ギドクが、大作上映に偏る韓国のシネコンに抗議するため、『ピエタ(原題)』の上映を早々に終了させ、映画人としての気骨を見せたのは記憶に新しい。東京フィルメックスの特色は、彼のような、小さいが作家性が強く、チャレンジングな作品が多数集まる点だ。今年も、イン・リャンのように社会への問題提起をはらむ作品、映像表現に凝った作品など、監督たちの独自性が発揮された佳作揃いであった。

 2012年は、富士フィルムでの映画用フィルム生産が終了し、今後のデジタル上映に対応できないミニシアターが、いくつも閉館を余儀なくされた。個性的な映画が発見し辛くなった世の中だからこそ、フィルメックスが続いていって欲しいと切に願っている。


第13回東京フィルメックス
 期間:2012年11月23日(金・祝)~12月2日(日)
 会場:有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ 日劇、東劇
 公式サイト http://filmex.net/

特集 第13回東京フィルメックス
 Report 第13回東京フィルメックス ~女性の成長・美しさ・強さを考える4本
 Interview 『グレープ・キャンディ』 キム・ヒジョン監督 ~ある女性の不安定な心と成長物語

Writer's Note
 Kachi。先日、都内某所で古い映画を見ていた時、フィルムが切れるアクシデントがありました(その後無事つながりました)。デジタル上映時代の昨今には珍事でしたが、逆に言えば、少しの修復で視聴可能になるという、フィルムの良さを改めて感じた年の瀬でした。


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