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Interview 『キム・ソンダル 大河を売った詐欺師たち』パク・デミン監督 ~現実で叶わない痛快さを映画で味わって欲しい

Text by Kachi
2017/1/9掲載



 ユ・スンホ主演の『キム・ソンダル 大河を売った詐欺師たち』が、1月20日(金)より全国公開される。

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 時は1600年代。李氏朝鮮の民は、大国・清との相次ぐ戦乱に、いつも死と隣りあわせであった。辛くも命長らえたキム・ソンダル(ユ・スンホ)、ポウォン(コ・チャンソク)、キョン(シウミン)の3人は「死んだも同然の命、愉しもう!」と意気投合し、紅一点のユン菩薩(ラ・ミラン)も加わり、天下の詐欺集団として名を轟かせることになる。そんな彼らの新たなヤマは、当時、清への上納品であった煙草の売買で生まれる莫大な利益。順調にことが運んだかに見えた矢先、権力者ソン・デリョン(チョ・ジェヒョン)を敵に回したことで、予期せぬ事件が起きてしまう…。

 勧善懲悪の正統派時代劇であり、かつ俳優陣の個性が楽しめる痛快さが魅力である。今回、コリアン・シネマ・ウィーク2016でのプレミア先行上映会に来日したパク・デミン監督にインタビューを行った。

── 映画を拝見して、俳優に魅力があり、男女や年齢を問わず楽しめる内容だと思いました。監督の前作、ファン・ジョンミンさん主演の『影の殺人』(原題:日本未公開作)も、日本統治下で起きた殺人事件を描く映画でした。監督は歴史的な題材に惹かれるのでしょうか。

「当時こういう事件が起きた」ということより、時代背景そのものが重要だと思います。1600年代や日本統治時代は、自分が経験していない時代なので、現代劇を作るよりも「こういうことがあったんじゃないか?」と、自由に描く余地が広がります。時代劇であるからこそ、より新鮮に考え、自由な表現ができるのではないか?と考えています。実際の史実、当時がこういう時代であったというのは、あくまで背景であって、その中で色々なことが自由に描写できるのが面白いのではないかと思います。

── しっかりと時代考証をした上で、自由に表現されていると思いました。こうしたバランスを取る上での苦労や工夫について教えて下さい。

もちろん、ある程度の時代考証はします。特に建物や衣装は、当時の暮らしを外れることなく復元したいですね。当時の人々の暮らしぶりを見たり感じたりすることができれば、「こういう暮らしをしていたなら、こういうこともあり得るだろう」と、自由な発想が生まれる余地が出てくるからです。例えば、劇中に登場する大規模な堤防は、おそらく当時の技術や条件を考えたら無理でしょう。しかし、当時の朝鮮では作られていなかったにせよ、中国の清で同じような事例があり、その技術を導入したと考えれば、不可能ではなかったかも知れません。前作『影の殺人』についても、発明品が出てきて、その中で更に新しい物を見せていったわけですが、実際に時代考証をして、ちゃんとあったものにどのように新しい物を組み合わせていくかが肝心です。「こういう物が当時できていて、もっと頭のいい人が考えたならこういう物もできたのではないか」という風に、自由の余地を持たせたということです。

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── キム・ソンダル、通称・詐欺師のポンイは軽薄で享楽的、でもやる時はやってくれるというキャラクターです。女装してウィンクもします。演じたユ・スンホさんは、あるインタビューで「普段の自分とポンイはだいぶ違うので、演じるのに苦労した」と話していましたが、大変楽しそうでそのようには見えませんでした。

演技するのに苦労されたというのは、おそらく嘘だと思います(笑)。女装するところも、脚本ではモンタージュとしてほんのワンカット見せる予定だったんです。ただ、準備をしている段階で、本人が「せっかくだからもっとやりたい」と意欲をみせたので、シナリオを長くして一つのシーンとしたのです。もちろん、彼が今まで演じてきたキャラクターとポンイはかなり違っていますので、最初は少しぎこちない部分もあったかと思いますが、テイクを重ねるごとに本人も楽しみながら演じているのが見てとれましたし、もっと笑わせたいと思ってややオーバーに見せることもありました。本人もあれこれ試みていたようです。スンホさんの性格は、基本的に真面目なのですが、いたずらっ子な一面も持ち合わせているので、演技をしながらそういう部分が出てきたのではないかと思います。韓国でのDVD発売の準備で、先日、スンホさんに会ったのですが、「撮影現場に行くのが本当に楽しかった。今でも思い出します」と話していました。彼は子役の頃からずっと演技をしていて、大変な経験もたくさんしているはずですが、「キム・ソンダルのおかげで現場へ行く楽しみを知った」と言っていました。

── 今作が映画初出演であるEXOのシウミンさんですが、詐欺団の末っ子という可愛らしさがよく出ていました。彼の純粋さ、可愛らしさは、映画の中で重要で、大切な役柄だったと思います。韓国のアイドルには「演技ドル」と呼ばれる方々がいて、初出演の映画であっても存在感を放っているのをよく見ます。撮影の時のシウミンさんには、演出でアドバイスなどされましたか。

演技経験のないアイドルといっても、やはりアイドルとしての才能を持ち合わせていて、自己表現という面では皆さん長けているので、「演技ドル」と呼ばれる人たちは、そういう意味で初めての作品でも存在感を残せているのだと思います。シウミンさんは、元々、可愛らしさ、末っ子の弟のように見えるところがあったので、それをどう引き出せるかが作品の鍵になると思い、何か新しく作り出すというよりも、彼が持ち合わせている愛らしさを自然に引き出してあげることが大切だと思いました。毎回シーンの撮影に取り掛かる前にあれこれ言うのではなく、「これは本当に起きていることだ、という風に思えばいいよ」と伝えました。そして「キョンというキャラクターはとにかく愛らしくなくてはいけないから、君はそのようにしていてくれればいいよ」と言いました。

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── K-POPアイドルは、歌やダンスで常に高い水準を求められているので、身体的な勘も鋭いのかなと思いました。

カメラのフレーム内に収めるのが難しいシーンがあったのですが、シウミンさんは自然にカメラに合わせてくれて、一発OKでした。やはり体を使って表現するところは特に上手かったです。

── その他、チョ・ジェヒョンさんら演技巧者が顔を揃えています。彼らは自分の演技スタイルを確立していますが、そういった方々への演出はどのようにされましたか。

チョ・ジェヒョンさんは、現場で自分の演技スタイルにこだわる感じではありませんでした。最初に「自分はこのシーンでどうすればいいか」ということを聞いてくださって、その上でまたご本人の考えや意見などをおっしゃって下さいました。まず、ご本人が考える演技をしてもらい、それでよければ何テイクか重ねてもらった中からいいテイクを取って、監督の私が考えている演技と違うところがあったら、「そこはこのように」とか、「セリフのトーンをこうしていただけますか」とお願いすると、「分かった」とそのまま取り入れて試して下さったので、特に難しいことはなかったです。チョ・ジェヒョンさんご自身も映画を撮られた経験があり、監督と俳優の関係についてよく心得ていらっしゃるので、私のリクエストをそのまま聞いて下さいました。

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パク・デミン監督

── ソン・デリョンのように富を持つ人間が、国のあり方を悪い方に変えてしまうストーリーには、現在の韓国社会における財閥と政治のあり方のような問題が暗示されているのでしょうか。

そうですね。ソン・デリョンという悪役をチョ・ジェヒョンさんにお願いする際、「言ってみれば現代の財閥みたいなもので、色々な悪行をするのを懲らしめる物語です」と話しました。時代背景としては朝鮮時代なのですが、これを現代に置き換えてみれば財閥が富を独占して悪いことをしているという感覚です。実際に起きていることとは違って、なかなか現実には(悪者を懲らしめるということは)叶わないのだけれども、悪い奴らをやっつける痛快な感じを、映画を通して皆さんに感じていただけたらと思います。



『キム・ソンダル 大河を売った詐欺師たち』
 原題 봉이 김선달 英題 Seondal: The Man who Sells the River 韓国公開 2016年
 監督 パク・デミン 出演 ユ・スンホ、チョ・ジェヒョン、コ・チャンソク、ラ・ミラン、シウミン(EXO)
 2017年1月20日(金)より、TOHOシネマズシャンテ、TOHOシネマズ新宿ほか全国順次ロードショー
 公式サイト http://kimseondal.jp/


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Interview 『大芝居』ソク・ミヌ監督 ~オ・ダルスは予測を越えた演技を見せてくれる俳優

Text by 井上康子
2016/10/18掲載



 アジアフォーカス・福岡国際映画祭2016で、オ・ダルス初主演作『大芝居(原題 大俳優)』が日本初上映され、監督が来日した。ソク・ミヌ監督は『オールド・ボーイ』の演出部に参加したのを皮切りに、『親切なクムジャさん』『渇き Thirst』などのパク・チャヌク監督作品で助監督を務め、本作で長編デビュー。『オールド・ボーイ』の撮影中に初めて会ったオ・ダルスが独自の演技を見せるのに引き付けられた監督が『渇き Thirst』撮影時の酒席で「映画を作る時は出演してほしい」と依頼し、彼は快諾。時間は経過したが、彼はその約束を覚えていて本作へのキャスティングが叶った。オ・ダルスの魅力や、本作に込めた思いを監督が語ってくれた。

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ソク・ミヌ監督(写真提供 映画祭事務局)


── 監督が脚本も書いていますが、最初からオ・ダルスさんを主演にと決めていたのですか?

最初からではなく、脚本を書いていく中で、演劇を20年以上やっているのに成功していないという雰囲気を漂わせていて、外見もイメージにぴったりで出演依頼しました。5年前に脚本を書き、その後、映画化の準備をしたのですが、5年の間に彼は主演ではないけど韓国映画界で欠かせない大俳優になっていて、主演でも成功すると確信しました。

── 『オールド・ボーイ』撮影中、オ・ダルスさんのどういうところに魅力を感じてファンになったのですか?

まず頭が大きくて、誰にも真似ができない個性があります。そして、彼の演技は独自の演技でとてもおもしろくて、すぐファンになりました。『オールド・ボーイ』で彼はヤクザを演じていたのですが、典型的なヤクザのイメージで演技をするのかと思ったら、彼の演技は全然違っていて、こんなヤクザがいるの?という独特な表現だったので金槌で頭を殴られたような衝撃を受けました。撮影中なので他の人たちは我慢していたと思うのですが、パク・チャヌク監督と私はよく大笑いしていました。予測できないおもしろい表現をするのです。彼の次の台詞はどうだろうと期待しました。『大芝居』に出演したイ・ギョンヨンさんも「オ・ダルスは全世界で唯一無二の俳優。自分の世界を持っている」と高く評価していました。

── パク・チャヌク監督はアドリブを使わないのでは?

パク監督の現場ではアドリブはほとんどありません。既に分っている決められた台詞なのですが、彼が言うとおもしろいのです。彼の表現は予測を越えているのです。

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『大芝居(原題 大俳優)』の韓国版チラシ

── 本作で有名俳優ソル・ガンシク(韓国のトップ演技派、ソル・ギョング、ソン・ガンホ、チェ・ミンシクから命名された)を演じたユン・ジェムンさん、そして、パク・チャヌク監督をモデルにしたカンヌ・パク監督役のイ・ギョンヨンさんはどういう経緯でキャスティングしたのでしょうか? イ・ギョンヨンさんは少し太っているけど、パク・チャヌク監督に顔が似ていると思いました。似ていることが重視されたのでしょうか?

ユンさんは素晴らしい演技をする人で、でも、悪役が多いのが残念でした。私は黒澤明監督の作品が好きですが、ユンさんは韓国の三船敏郎といえる人だと思います。それで私が作品を作る時にはカッコいい役で出てもらおうと思っていました。イさんをキャスティングしたのは彼がパク監督作品に主演したこともあり、パク監督のことをよく知っていたからです。パク監督の話し方とか、知らない人に理解してもらうのは難しいので。パク監督は絶対に怒らない人なのです。パク監督を知っているイさんが演じなかったら、怒る監督になってしまったでしょう。実際のイさんはパク監督に似ていません。髪が短くて監督らしい権威が出ないのでかつらをかぶってもらったらそっくりになったので、別の設定にせず、パク・チャヌク監督をモデルにした監督という設定にしました。オさんを含めて、主演3人の俳優さんは現場で自分の意見を主張するのではなく、私の指示に従って、でも、自分で探してそれ以上の演技を見せてくれました。ベテラン俳優と仕事ができたことは光栄でした。

── パク・チャヌク監督の演出部からスタートされましたが、それはパク監督作品が好きだったからですか?

もちろん、パク監督作品は好きですが、それまでに5本の映画の演出部に応募して落ちて、知り合いの助監督が声をかけてくれて、『オールド・ボーイ』の演出部の一番下っ端に参加できることになったのです。『オールド・ボーイ』は準備段階でだめになったり、興行的に失敗することもないと思えたので安心して参加できました。

── パク・チャヌク監督から学んだことはありますか?

パク監督を見て、自分も死ぬまで守らなくてはと思っているのは「良い監督は良い人だ」ということです。現場はトラブルが多いですが、何が起こってもそれに屈せず、懸命に乗り越える。誰かのせいにせず、新しい方法を見つけて映画製作を続ける姿を学びました。

── 主人公の設定ですが、演技があまり上手くないのが実際のオ・ダルスさんと異なっていることもあって意外でした。

あれは実力がないということではなく、演劇と映画のメカニズムの違いによるものです。主人公のような演劇俳優はすごく情熱を持っていて、最初に実力を出し切ってしまうのです。でも、映画は何テイクか撮り、状況によって良い時と悪い時があるというものです。何テイクか撮って、OKをもらっても演劇出身の人は納得できないところがあり、肩を落として帰宅するのを見てきたので彼らの姿を表現したいと思っていました。

── エンドクレジットに本作に出演した脇役の俳優さんたちのインタビュー映像が挿入されていましたが、中でも「映画に主演したが、それから2年休んでまた俳優を再開した」という俳優さんの話が印象的でした。有名俳優にはなれないかもしれないけど、演じることが好きで続けるという意思が伝わってきました。この作品の主人公の生き方につながるところがありました。

彼は私と20年の付き合いがあり、彼が活躍したのも、辞めたのも、再開したのも見て来ました。こういう作品では主人公は失敗しながら最後は成功で終わるのがほとんどですが、私はそういう終わりにしたくありませんでした。夢に向かって頑張って、失敗かもしれないけど負けではないという生き方があると思います。



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取材後記


 「失敗かもしれないけど負けではない生き方」という監督の言葉が長く胸に留まっている。「社会的な意味での成功は収めることはできなくても、人として誠実に生きていけばよい」という意味ではないだろうか。アジアフォーカス・福岡国際映画祭2016の関連企画、福岡アジアフィルムフェスティバル2016で上映された韓国映画『オフィス 檻の中の群狼』の主人公は企業のインターンで、正社員になれるかどうかという緊張した日々を過ごして、追い詰められていく。現在の韓国では大企業に正社員として就職できる人はわずかで、多くの若者が非正規職などで不安定な仕事を続ける。「負けではない」という監督の思いは作品を通じて、さまざまな状況でつらい思いをしている人々を励ましたに違いない。


アジアフォーカス・福岡国際映画祭2016
 期間:2016年9月15日(木)~9月25日(日)
 会場:キャナルシティ博多ほか
 公式サイト http://www.focus-on-asia.com/

Writer's Note
 井上康子。オ・ダルスのファン。『オールド・ボーイ』から注目していたが、信頼厚い高校教諭・夫であり、異性装者を演じた『フェスティバル』で、彼の演技に完全に参ってしまった。フリフリのレース下着を身に着けて悩む彼の表情はソク・ミヌ監督の言うように予測を越えていた。


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Interview 『でんげい』予告編制作担当・林原圭吾氏 ~訴えるべきキーワードは「多様性」と「共生」

Text by 岸野令子(キノ・キネマ)
2016/8/28掲載



 大阪アジアン映画祭で絶賛された感動のドキュメンタリー『いばらきの夏』を、『でんげい』と改題して、私の会社で配給することになった。その経緯は「Essay 『いばらきの夏』から『でんげい』へ ~人との出会いから日本配給へ」をお読みいただくとして、宣伝の要は、チラシ・ポスター、そしてなんと言っても予告編である。これらの出来次第で作品の印象が決まり、興行の趨勢が決まる。

 チョン・ソンホ監督から預かった大事な作品だ。なんとしても多くの日本の観客に届けたい。本作にはプロ・アマ含めて多くの方に尽力いただいているが、予告編の制作は、映像翻訳者で西ヶ原字幕社代表の林原圭吾さんにお願いした。

 なぜ彼に依頼したのか、どんな点を注意し、何を思って制作したのか、普段なかなかお目にかかることのない予告編制作秘話。インタビュー形式でお届けします。


『でんげい』日本版予告編


── 予告編、チョン監督もよくできてるって褒めてたよ。

恐縮です。映画の主役は建国の子たち。撮ったのは監督。僕はたかだか予告編を作っただけですので。

── どのくらい時間かかった? 本編は何度も見た?

本編を通しで見たのは2回だけです。1回目は観客目線、2回目はキューシートを書きながら。編集ソフトと向かいあっていたのは1日半くらい。タネあかしですが、本編に長めのイメージカットがあったんです。BGMがまるまる1曲かかっていて、ここをベースにすれば整音の手間が省けるなと。僕も映画の配給をやってみて、チケット収入で必要経費をまかなうのがどんなに大変か分かるので、手間をかけず、安価に予告編を作ることも援護だと思うわけです。

── もっとタネあかしして。

予告編でまっ先に伝えるべきは映画の題材とジャンル。ドキュメンタリーの華はインタビューなので、先ほどのイメージカットにポイントになるインタビューをかぶせるという全体像はすぐに出来あがりました。当初、あらすじを説明するのに1ブロック追加して2部構成のつもりでしたが、公式ポスターが川辺のシーンのイラストだったので、予告編にも入れておこうと考え、現在の3部構成になりました。


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『でんげい』チラシ表面

大まかな構成ができたら、次はストーリー作り。本編の内容を30文字くらいで要約し、訴えるべきキーワードを決めます。今回の映画なら「伝統芸能と聞いて地神パルキを思い浮かべる人が日本社会に存在する」、キーワードは「多様性」と「共生」です。僕の本職は映像翻訳。映像編集のテクニックではクリエイターの足下にも及びません。そんな僕に岸野さんが予告編を頼んだのは、この部分を買ってのことだろうと思い、自負を持ってやりました。

── 意識した点は?

近年、『60万回のトライ』や『ウルボ~泣き虫ボクシング部~』など、在日の高校生を韓国人の監督が撮ったドキュメンタリーが続いており、差異化のためにも、他でもなく「建国高校」の「伝統芸術部」を取り上げることの意義を考えました。具体的には、高校授業料無償化やヘイトスピーチといった異議申し立てという文脈よりも、共生という文脈を強調し、日本社会の多様性が裏テーマとして浮かび上がるよう意識しました。無論、ダイバーシティなんて聞こえのいい話ではなくて、帝国主義の結果としての多様性、ですが。

もう一点は、上記のようなテーマ設定をしたがゆえに、内向きな映画に見えないよう注意しました。主役は部員たち。それを指導者や先輩、先生や家族が眺める。その姿を監督やナレーターが眺めて映画にし、その映画を観客が眺めるという、外向きのベクトルはずっと念頭に置いていました。

── お気に入りのシーンは?

1分20秒頃の舞台袖のシーンは、当初エンディング候補だったキラーカットです。岸野さんからのリクエストで現在のエンディングになり、このカットを他で使えることになった時、今の位置に置いて前半のハイライトにしました。ジャンプした後ろ姿で静止画にするのは、アメリカのロックシンガー Bruce Springsteen の"Born to Run"(1975)のライブビデオが元ネタです。



Bruce Springsteen "Born to Run"ライブビデオ

結果的にうまくいったのは、パク・チョルミンのカット。体育館からナレーション・ブースへ画が移る際、時空が飛んでしまう感がありました。そこで、体育館の画に載せた「その輝きと共にありたい」というキャッチコピーを、ナレーション・ブースの画まで引っ張りました。それによって、共にありたいと願う主体が、一義的にはコピーを書いた僕ですが、パク・チョルミンのようにも見え、ひいてはあれを見た1人1人のようにも見えます。広がりとか普遍性とか当事者意識とか、そういうものにつながれば本望です。


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本作ではパク・チョルミンがナレーションを担当


『でんげい』
 原題 이바라키의 여름(いばらきの夏) 英題 The Summer in Ibaraki 韓国公開 2015年
 監督 チョン・ソンホ 出演 建国高等学校伝統芸術部の生徒たち、先生たち、パク・チョルミン(ナレーション)
 2016年11月5日(土)より、シネ・ヌーヴォにてロードショー
 公式フェイスブック 「でんげい」(いばらきの夏 改題)
 公式ツイッター @kishinoreiko222

Interviewee Profile
 林原圭吾。映像翻訳者、有限会社西ヶ原字幕社代表。数々の韓国映画・ドラマの字幕・吹き替え翻訳を担当する傍ら、韓国映画『鯨とり ナドヤカンダ』のDVD制作や、『南営洞1985 国家暴力:22日間の記録』『南部軍 愛と幻想のパルチザン』の配給も手がける。11月に公開予定の映画『弁護人』の字幕翻訳を担当。


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Interview 『生きる』パク・ジョンボム監督 ~社会の矛盾を力強く暴き、底辺に生きる人々を繊細な心で見守る

Text by 井上康子
2015/10/20掲載



 パク・ジョンボム監督は、長編デビュー作『ムサン日記~白い犬』で脱北青年の深い悲しみを丁寧に救い上げて描き、多数の国際映画祭で賞に輝き、世界の注目を集めた。「アジアフォーカス・福岡国際映画祭2015」で上映された長編第2作『生きる』も過酷な状況に陥った底辺に生きる労働者の絶望が希望へと変わる過程を重厚に描き、期待を裏切らない作品だった。いずれの作品も、どうしても作らなくてはならない作品だったことが伝わってくる力作だ。韓国映画界の中で独自の姿勢を貫く監督に話を聞いた。


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パク・ジョンボム監督


監督・主演・製作・脚本と一人四役


── 『ムサン日記~白い犬』同様に監督・主演・脚本と一人三役をこなしたのはたいへんでしたか?

製作もやっています。憂鬱で長い映画で製作してくれる人がいなかったので(笑)。全州国際映画祭や国の支援金に応募してお金を作りました。

── 脚本がすばらしいと思いました。昨日の上映時に「弟のような存在だった友人が自殺し、終わりのない悩みの中に陥った。“生きる”ということはどういうことかを考えたことがきっかけで作った」とお話しでしたが、脚本はどの位時間をかけて準備しましたか?

友人が2009年に亡くなり、2010年に『ムサン日記~白い犬』の公開があり、その後にすぐ書き始めて、完成までに4年ほどかかりました。50回位書き直しています。最初は兄弟の話でしたが、友達が加わり、兄が姉に変わり、姉の娘が出てきて、映画も長くなりました。今回ご覧いただいたのは2時間54分バージョンですが、ディレクターズ・カットの4時間バージョンもあります。劇場で公開するには4時間は長いし、映画祭でも短くといわれ、今回上映のバージョンを作りました。4時間バージョンでは今回のバージョンの後に1時間話が続き、主人公は戦い葛藤するもので、ラストが異なっています。製作費に6億ウォンを注ぎ込みましたが、収入はほとんどなく、赤字になっています。DVD、ブルーレイ製作も難しい状況です。今後、DVDかブルーレイを作るめどが立ったなら4時間から4時間半にまとめたものを作りたいと思います。

── 日本で一般公開されたらいいと思いました。

日本ではオファーがなく、公開は難しいように思います。将来、私が歳を取って、作品をまとめた回顧展を催す時があれば皆さんに見てほしいです。数回の上映ですが、映画祭で見てもらえるのは良い機会だと思います。初めて私の映画を見てくださる方がいるのも有難いです。



罪悪感を抱えて、罪悪感に苦しむ人を描く


── 精神を病む、主人公の姉スヨンは強い罪悪感に苦しんでいる人でした。『ムサン日記~白い犬』の主人公も罪悪感をもっていました。どうして、このように罪悪感をもつ人物を登場させたのでしょうか?

私はそういう人に強い関心があります。罪を犯した人、困難な立場に置かれて生きる気力を失った人にたいへん興味があります。純粋さや道徳性を失った人が罪を犯し、それが許される過程にも興味があり、それが人生だと思いました。この世の中は不条理ですが、それを克服してこそ人間だと思います。『ムサン日記~白い犬』の主人公は殺人を犯したことによる明確な罪悪感をもっていました。スヨンの場合は世の中に対する恐怖があり、さらに水害で両親が亡くなり、ショックを受けたことが影響しています。私自身がパニック障害を抱えていますが、スヨンもそういう人物です。

── 監督のパニック障害は、『ムサン日記~白い犬』の脱北者スンチョルのモデルになった友人が亡くなったことや、この映画を作るきっかけになった弟のような友人が自殺したことが関係しているのですか? 監督自身が罪悪感をもっているのでしょうか?

2008年に脱北者の友人が胃癌で亡くなり、2009年に弟のような友人が自殺したことで、パニック障害を発症してしまいました。脱北者の友人は一緒に住んでいたにもかかわらず、入院中は大学が忙しくて毎日看病に行けませんでした。自殺した友人はうつ病でしたが、そばにいてあげられませんでした。映画の撮影中で、会議の最中に彼から電話があり「後でかけなおす」と伝えたのですが、その2時間後に自殺したのです。取り戻せないという思いが罪悪感になっています。



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『生きる』


資本主義の腐敗を暴く


── 罪悪感をもつスヨンの対極に位置づけられる、平然と人の物を奪う人物がいました。主人公ジョンチョルが働く味噌工場の社長とその娘です。本当は社長の過失から豆が腐敗してしまったのに、娘がそれを隠して工場の労働者たちに「工場存続のために、あなた達の中で過失を見つけるように」と迫ったことには恐怖を感じました。

資本家の悪行を描いています。「利益は自分たちが得て、損害は労働者に負わせる」ことが現実に行われています。整理解雇、不当解雇、権利はく奪、人権蹂躙もしばしばあり、私はそういうことのデモにも参加しています。労働者問題に関心があり、以前からの考えを反映しました。豆の腐敗には資本主義腐敗の比喩も込めています。

── 工場の労働者に「過失を見つけるように」と迫るのは社長自身でも構わなかったのではと思いましたが、なぜあえて娘を登場させたのでしょうか?

私も娘を登場させるかどうかは随分悩みました。最終的に登場させたのは、資本家たちは自分の手を汚さず、誰かにやらせると考えたからです。中間者は自分を守るために資本家の犬になります。搾取を意識せずに生活するというのは怖いことです。映画を見たスタッフの家族から「社長の娘がなぜ悪いかわからない。自分が家族でも同じことをする」という声があがったことがありましたが、その日はショックで眠れませんでした。その後、このことについてはスタッフ・俳優を呼び出して話し合いをしました。良い格好をして、調子の良い話をして、人を騙す人がたくさんいます。真実が歪曲されること、そのことで他人が苦しむことに興味をもたないというのはとても怖いと思いました。

── 監督の実家が味噌工場と聞きました。

父は映画の社長のように悪い人ではありませんよ(笑)。2~3人雇って、一緒に手作りする小さい工場でしたが、作業はとても骨が折れて、今はすでに作ってあるものを販売する程度です。ロケは父の工場でしました。映画に出る味噌工場の物や風景も、全部父の工場のものです。戸外に味噌の甕が並んでいる風景がありますが、甕は父が20年かけて収集した物です。



北野武監督の『HANA-BI』を見て夢が変わる


── 監督演じる主人公が、水害で壊された家を再建するために、全力で凍った地面の石を押し出そうとするのは、人生の苦悩を象徴する場面でしたが、監督の身体が完全に鍛えられた肉体労働者の身体になっていて、説得力がありました。アルゼンチンのマール・デル・プラタ国際映画祭で主演男優賞を受賞されたのも当然と思えました。

父が運動をする人で、その影響で小さい頃からよく運動をしていました。大学は体育教育科でした。映画を撮るためにお金が必要で、一年の半分は建設の日雇いや重労働の船に乗る仕事をし、半分は撮影をするということを7~8年続けました。大学に入学してしばらくは体育教師になろうと思っていたのですが、兵役中に北野武監督の『HANA-BI』を偶然に見て衝撃を受け、自分も映画を撮りたいと思うようになったのです。

── 『HANA-BI』を見て、「感動した」を越えて「映画を撮ろう」という決意にまで至ったのは特別ですね。

それまでも、小説や詩を書くことはしたいと思っていました。生徒を教えることもすばらしいし、教えながら夏休みや冬休みに執筆するつもりでした。でも、映画監督をしながら教えることはできません。映画監督になろうと思った時に夢が変わったのです。



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パク・ジョンボム監督のサイン


アジアフォーカス・福岡国際映画祭2015
 期間:2015年9月18日(金)~9月25日(金)
 会場:キャナルシティ博多ほか
 公式サイト http://www.focus-on-asia.com/

Writer's Note
 井上康子。パク・ジョンボム監督は、イ・チャンドン監督『ポエトリー アグネスの詩』の助監督を務め、イ監督からは多大な影響を受けている。そのイ監督が製作予定の殺人魔が登場する作品が次回作の候補にあがっているそうだ。ぜひ、その作品を完成させて、イ監督と一緒にまた映画祭に登場してほしい。


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Interview 『メイドロイド』ノ・ジンス監督、俳優ヨンゴン、女優ヨン・ソンハ ~「ゆうばりファンタ」では映画を作る人の情熱が感じられる

Text by hebaragi
2015/3/3掲載



 オフシアター・コンペティション部門にコンペインした『メイドロイド』のノ・ジンス監督、俳優ヨンゴンさん(サンス役)、女優ヨン・ソンハさん(ヒョナ役)に、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭(以下、ゆうばりファンタ)の印象や作品についてお話をうかがった。

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左からヨンゴン、ノ・ジンス監督、ヨン・ソンハ


── 「ゆうばりファンタ」の印象

監督:5年ぶりに参加し、今回が2回目の参加。今回は開催期間を通して最後まで滞在できるので、観客と交流できるのが楽しい。

ヨンゴン:ゆうばりファンタへの参加は3回目で4作品目だが、今回新しい作品をもってこられてよかった。毎回、映画を作る人の情熱を感じられるのはゆうばりファンタならではだと思う。

ソンハ:海外の映画祭は初めて。韓国の大きな映画祭と違って小さな映画祭なので、ゲストと観客の距離が近いのがいい。今まで個人的に日本人についてあまり知らず距離感があったが、今回は良い面を見ることができた。夜は街の居酒屋でスタッフや観客と一緒にお酒を飲んだりして楽しく過ごしている。ノ・ジンス監督とは2014年の全州国際映画祭で上映された『被害者たち』への出演をきっかけに知り合って、今回、一緒に仕事をさせていただくことになった。

監督:今日の上映で、朝から一生懸命ピンク映画を見てくれた観客に感謝している。会場の雰囲気もとてもよかった。

── テーマについて

監督:日本のピンク映画文化に関心があり、よく見ていた。韓国にはこのようなテーマはなかなかない。そんなとき、ちょうどいい台本に出会った。台本は、ヨンゴンのアドバイスで当初のものから変えた部分もある。元々の台本では荷物が配達されてきたとき、主人公がすぐにロボットの存在を信用することになっていたが、演出の際にはロボットの存在を少し疑うように変えたりした。ラストシーンは、全てを失った主人公サンスがかわいそうだったのでファンタジー風にした。

── ロボット役を日本の女優(希志あいの)にした理由は?

監督:『サムライプリンセス 外道姫』(2009年/梶研吾監督)というVシネマに、今回ヒロイン役を演じた希志あいのが出演しているのを見て決めた。韓国製ロボットという設定にしたら、韓国はロボット技術が発達していないので信用されないのではと思った、日本製なら信用できると考えた。


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『メイドロイド』には希志あいのも出演

韓国ではあまり作りたがらないテーマ。韓国の俳優が出演する似たような映画もあるので新鮮な印象の作品にしたかったことと、韓国人のキャスティングが難しいので日本人をヒロイン役に起用した。私は日本の映画学校で学んだことがあり、キャストとスタッフとのコミュニケーションもスムーズだった。サンスについては日本語が分からないという設定にしたほうが面白いと思い、日本語の会話本を見ながらロボットと会話する設定にした。ただ、ひとつだけ残念なところがあった。ラストのベッドシーンは演技が型にはまっていて心が入っていない印象があったことだ。日本のAV文化については昔から知っていた。韓国では性文化を表面上隠すのが嫌で、日本のように明るく自由に楽しんで表現することに共感できた。

── 韓国ではこのような作品に対する規制はどの程度あるのか?

監督:そもそもピンク映画を作ってはいけないことになっており、違法とされている。ただし、インターネット上では日本のAVが見られる。女優・蒼井そらはとくに有名で、韓国だけでなくアジアで知らない人はいないくらいだ。韓国は、性的な事柄について関心がありながら、ないふりをするのが国民性だ。

── 実際に作品を見た印象は?

ソンハ:ピンク映画への出演が初めてだったので、最初見たときは緊張して心臓がドキドキした。今日、見たのは2回目で観客の立場で見たが、サンスの立場・役割がよく分かった。

監督:1回目に見たときは緊張した。2回目は映画ファンの目で見た。面白かったところ、惜しかったところ、こうすればよかったと思うところもある。

── 撮影について、今までの作品と比べてどうだったか?

ヨンゴン:(『エイリアン・ビキニの侵略』『探偵ヨンゴン 義手の銃を持つ男』など)今まではアクション映画が多かったので体を使った演技が多かった。今回の作品は主人公サンスの性格のディティールを短い時間で表現しなければならないので難しく感じた。一応、監督が考えていたことは表現できたように思う。

監督:撮影が終わるといつも思うことだが、反省点もあり学んだことも多かった。しかし、一段階ずつ進歩しているようにも感じた。希志あいののスケジュールが多忙なため、60時間連続撮影となったのが大変だった。

── カラオケボックスの接待女性について

ヨンゴン:作品中のヒョナのように歌やダンスの接待をする女性はいる。実際、自分も作品と同様にバイトをしたことがある。作品中のように、窓にブランケットをかけて室内を見えなくする行為も違法だが実際に行われている。韓国でも、他国同様に男女関係はあり、していることはしている。性文化は建前上、表には出てこないが色々と存在している。

ソンハ:日本では軽い気持ちでそのようなバイトをすることもあるが、韓国では学費を支払うためにそういうバイトをせざるをえない普通の女子大生も多いと聞いたことがある。サンスとヒョナは違うようでいて、同じように心に暗い気持ちをかかえている。

監督:ヒョナも、やらざるを得なくてバイトをしているという設定にしている。

── ラストシーンについて

監督:ハッピーエンドにしてはいけないと思っていた。サンスのキャラクターとして、貯金をして、そのお金で女の人をなんとかものにできると思っていること自体がそもそも間違いだというメッセージを込めた。最後に全てを失ってしまう主人公だが、それではかわいそうなので、ラストシーンはファンタジーにした。もし女性が主人公なら違う結末になったと思う。今回は男性の感情にしたがって展開していく映画にした。

ヨンゴン:サンスがヒョナに告白する場面を見て自分の演技なのになぜか涙が出た。

ソンハ:ヒョナが泣いた理由は、初めて人間的に裏切られた(ヒョナを性的な対象としてしか見ていなかったサンスの思いに対して)と感じたからだと思う。

監督:ヒョナには自分がかわいそうだという自己憐憫の感情があったと思う。

── お気に入りのシーンは?

監督:サンスがヒョナに「ニュージーランドへ行こう」と告白するシーン、ロボットがベッドで寝ているところで、後ろから寄り添ったサンスに気づいて目をあけるシーンが印象に残っている。ほかにもお気に入りのシーンはたくさんある。

ソンハ:希志あいののダンスシーンがとてもセクシーだった。韓国では見ることができないものなので、女性から見てもセクシーに感じた。

監督:事前に台本を送っておいたら、希志あいのがダンスシーンを自分で考えて準備してくれた。何かダンスの型があるようにも感じた。

── カラオケボックスで流れていた曲について

監督:『百万本のバラ』はヒョナのテーマとして情緒的に彼女の気持ちに合っていたので使った。もともとロシア民謡で、歌詞が流れずメロディだけだと著作権料が不要で自由に使えるのも理由。カラオケボックスの部屋の中を主人公サンスが覗いているのを知っていて、歌詞にある「私を見て 月を見るように私を見て」という意味を込めた。ちなみに別のシーンでヒョナが歌っていた『アリラン』も民謡なので著作権料が不要だ。

── 日本映画について

監督:好きな作品は成瀬巳喜男監督の『浮雲』。監督では三池祟史と北野武が好きだ。一緒に仕事をしたい俳優はたくさんいるので特定することは難しいが、竹中直人や蒼井優と仕事がしてみたい。今回ゲストで来ている女優・村田唯(『密かな吐息』主演・監督)とも仕事をしてみたい。

ヨンゴン:三池祟史、園子温が好きだ。北野武の監督作品に出てみたい。

ソンハ:私も園子温が好き。作品では『嫌われ松子の一生』が好き。20歳のときに作品を見て「白鳥に憧れてたのに、目覚めると真っ黒なカラスになってました」というセリフが印象的で、自分がいろいろと辛い時期だったので、自分よりも大変な人生があるということを知ったのが印象に残った。俳優ではオダギリ ジョーが好き。

── 最後に『メイドロイド』についてアピールしたいことは?

監督:楽しいピンク映画にしたつもりなので楽しんで見てほしい。まともな男性がダメになっていく様子を見てほしい。韓国で公開したらどんな反応が来るのか興味深い。

── 今後の予定について

監督:次回作は『赤いラクダ』というタイトルの暗いドラマだ。


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ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2015
 期間:2015年2月19日(木)~2月23日(月)
 会場:北海道夕張市内
 公式サイト http://yubarifanta.com/

Writer's Note
 hebaragi。監督も出演のお二人も、難しいテーマを楽しんで制作している様子が伝わってくるインタビューだった。三人の今後の活躍に注目していきたい。


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